日本人にとっての「旅の友」といえば、おにぎり一択。(個人の見解デス)
わりと長持ちするし、(表面を焦がせばさらに耐久性アップ)、ガッツリお腹にたまるし手づかみで食べれる気軽さもいい。
ラップで包んだものなら、食べた終わったあとに容器を洗う必要もないし処理も超カンタンだ。
欧米人にそんな食べ物があるか聞くと、みんな口をそろえて「そりゃサンドウィッチだね」という。
実際、彼らとハイキングに行ったときに、どんな食べ物を持ってくるのか気になって横目で見ていると、大体みんなリュックからお手製のサンドイッチを取り出す。
するとサンドウィッチへの熱い視線に気づいた外国人から「おまえも食べるか?」と言われて、「あ、いや。ウン、ありがとう‥」と戸惑ったこともしばしば。
リトアニア人がつくったサンドウィッチ
もう1週間ほど前なんだが、11月3日は「サンドウィッチの日」だった。
小麦粉からパンのような食材をつくって、適当な具をはさん食べるという料理法なら、インドのナン、中東のピタ、メキシコのタコスなどなど世界各地で自然発生的に生まれたから、この食べ物に起源を求めるのは無意味。
ただサンドウィッチという名前の由来なら、「そりゃアイツでしょー」と有力視される人物がいるのだ。
それが下のジョン・モンタギュー(1718年 – 1792年)というイギリス人。
その名前よりも、第4代サンドウィッチ伯爵といった方が分かりやすい。
「サンドウィッチ」というのはイギリス貴族の爵位、いわば身分だから名字ではない。
モンタギュー家の男系男子がこの爵位を継いでいて、いまは第11代目のサンドウィッチ伯爵、ジョン・モンタギュー氏がいる。
サンドウィッチの語源となったという4代目と丸かぶり。
18世紀後半、日本なら田沼意次や寛政の改革の松平定信が活躍していたころ、イギリスにカードゲーム(ギャンブル)に夢中な貴族、第4代サンドウィッチ伯爵ジョン・モンタギューがいた。
三度の飯よりゲームが好きな彼は、「食事のために、カードゲームを中断させられるなんてマジ勘弁。ゲームをしながら食べられる物ってないかな?」と考えた挙句、パンに肉を挟んだものを食べるようになった。
それで当時、ロンドンに滞在していたフランス人がその印象をまとめた『ロンドン Londres』という本の中で、こんな話を紹介する。
「ゲームを続けながらこれを食べる。この新しい食べものは、私のロンドン滞在中に大流行した。発明した大臣の名前で呼ばれた。」
この新しい食べものが、大臣である第4代サンドウィッチ伯爵の名にちなんで名づけられたという。
11月3日は彼の誕生日ということで(1718年)、この日が日本で「サンドウィッチの日」になった。
*ウィキペディアには、ジョン・モンタギューの誕生日が1718年11月13日とあるんだが?
まあいいや。
ただ、昭和の伝説的編集者・斎藤 十一が、
「うちの基本姿勢は俗物主義」
「どのように聖人ぶっていても、一枚めくれば金、女。それが人間」
「だから、そういう人間を扱った週刊誌を作ろう、ただそれだけ」
と週刊誌の極意を説いたように、上のフランス人の記述も俗物主義で、真実よりも面白さを優先したものらしい。
というのは、そもそもモンタギューはサンドウィッチは発明していないし、彼がその食べ物を好きだったという根拠さえないのだから。
モンタギューがギャンブル好きだったのは事実らしい。
でも、1765年のころ彼は要職にあってめっちゃ忙しかったから、徹夜のカードゲームをする時間なんてなかったと指摘する人もいる。
真実は置き去りにして、「サンドウィッチ伯爵の食べ物だからサンドイッチ」という話がひとり歩きして、いつの間にかそれが真実として社会に定着してしまった。
この手軽な食べ物はやがて欧米人の国民食となり、いまではピクニックやハイキングで欧米人には“欠かせない旅友”になったのは冒頭に書いたとおり。
日本にサンドウィッチは明治時代には伝わっていて、1899(明治32)年には日本で初めて、駅弁でサンドイッチが販売された。
でも日本人なら、心に大和魂があるのなら、おにぎり一択だ。(個人の見解デス)
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