日本で生活している欧米人に、「日本人について、なんかイヤなところってある?正直に言ってみ」ときくと、「イルカやクジラを食べること」という答えがよく返ってくる。
その理由についてはこの記事を。
これは事実だから「なるほど」と思うけど、タイで会った日本に来たことのないアメリカ人から、「日本人は犬を食べるだろ?考えられないヨ!」と言われたときは、ドタマかち割ったろかと思わざるをえない。
どこの世界線の日本だよ。
良い・悪いの判断は別として、そういう食文化があるのは中国・韓国・ベトナムで、日本はその点では「脱亜入欧」していて欧米の価値観に近い。
このアメリカ人は東アジアを大ざっぱに一つと考えていて、いろんなモノをごちゃ混ぜにしていたらしい。
でも、一般的な欧米人の認識はだいたいこんなもので、日中韓越のそれぞれの文化を正しく理解しろというのは、ハードルの設定が間違っている。
でも実は日本人も同じような考え方をしていて、ナチュラルに西洋人を戸惑わせたり、イラっとさせることがあるらしい。
2週間ほどまえにあったのがハロウィン。
以前、日本の小中学校で英語を教えていたポーランド人は、そのころになると日本人の先生から、
「もうすぐハロウィンじゃないですか?だからその目的や、ポーランドやヨーロッパではその日に何をするのか、子どもたちに説明してくださいよ」
といったお願いを何度もされたという。
で、「それはアメリカの文化ですから、ポーランドは関係ないです」と無慈悲に答えと、「え?あれはキリスト教の祭りだから、欧米で祝うんじゃないの?」と驚く先生の反応もやがて慣れた。
同じことを頼まれた知人のイギリス人は、そういう軽薄なアメリカ文化に興味がなかったこともあって、「なんで自分がハロウィンを?」といまいちフに落ちなかった。
それに自分が説明するとかえって子供たちは、これをイギリスの文化やキリスト教の行事とカン違いするかもしれない。
日本人の先生が誤解のないよう説明した方がいいと思って、「それをするなら、あなたの方が適任では?」と提案すると、「いやいや。ハロウィンはやっぱり、西洋人から話してもらったほうがいい」と言われたから、このアメリカ文化について生徒に簡単に説明したという。
「ハロウィンはキリスト教の行事で、ヨーロッパでもやっている」前提で日本人から話をされて、「ちょっとマッテ」と戸惑ったという西洋人はほかにもいた。
上のイギリス人から見ると、それは日本のバレンタインと同じような、宗教色のない商業的なお楽しみイベントだ。
現代のハロウィンはアメリカ文化に属するもので、イギリスやヨーロッパにはあまり馴染みがないし、むしろ日本のほうが盛り上がっている。
でも、「欧米」を大ざっぱにひとまとめに考えている日本人は、そのへんを鍋のようにごちゃ混ぜにしているから、たまにピントのボケたことを言う。
社会人に英語を教えていたオーストラリア人は生徒から、「サンクスギビングについて教えてください!」と言われて目が点になった。
「それはアメリカの話だから、オーストラリアには関係ありません」と言うと、「そうなんですか!」と日本人が驚く。
サンクスギビングは常識として知っていたから簡単な説明はしたけど、でもやっぱり、オーストラリアとアメリカを同一視されるとウンザリするらしい。
海外で日本語を教えている日本人が現地の人に、「もうすぐチュソク(韓国の行事)だろ?子どもたちにどんな行事か説明してくれよ」とか、「清明節(中国の行事)にはどんなことをするのか、教えてください」とか頼まれたら「なんで自分が?」となるはずだ。
欧米社会は宗教(キリスト教)・歴史・文化などで共有している部分は多いけど、やっぱりそれぞれ違うし、その独自性を大事にする人も多い。
日本人に「ラテン系」でフランス人と一緒にされて、イラっときたというスペイン人もいた。
特に「米」と同一視されると、「欧」の人たちはきっと戸惑う。
でも、いろんな文化や価値観を「欧米」という大きな鍋の中でひとまとめにして、ハロウィンやサンクスギビングについて、非アメリカ人に気軽に尋ねるような日本人は多いと思う。
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