「世界で最も手に負えない紛争」といわれるのが、イスラエル人とパレスチナ人との間で続いているパレスチナ問題。
ことしの5月にも、パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織「ハマス」がロケット弾を飛ばし、イスラエル側は「アイアンドーム」でこれを迎え撃った。
*下の動画で、地上から飛んでいく迎撃ミサイルはアイアンドームのもの。
こんな攻撃を受けたイスラエルが「極めて遺憾」と言って済ますはずがなく、報復としてガザを空爆した結果、双方で何十人もの(100人以かも)死者が出た。
このあと8月と9月にもパレスチナ側がまたロケット弾を撃ちこみ、イスラエル側が軍事関連施設などを報復空爆するというように、負の連鎖はまったく止まらない。
「パレスチナは先制攻撃するなよ!イスラエルもやり過ぎだ!」なんて言いたくなるけど、あちらの社会の成立基盤は日本と根本的に違うから、のんびり平和な島国に住む日本人が相互の立場で考えて理解するのはかなりハード。
ユダヤ人は約2000年前にパレスチナの地を離れて世界各地にちらばり(ディアスポラ)、ヨーロッパでは虐殺や追放といったムゴイ迫害を受けてきて、1948年に悲願だった自分たちの国イスラエルをつくったことで、長く悲しい運命から解放された。
でもこの終わりは、パレスチナ人にとっては悲劇の始まりとなる。
イスラエル建国によって、パレスチナにいた何十万人もの人たちが故郷を追われて難民となり、いまはヨルダン川西岸やガザ地区などに住んでいる。
今度はパレスチナのターンで1988年11月15日、パレスチナ独立宣言が指導者のアラファートによって読み上げられた。
エルサレムを首都とし、パレスチナ人の領域を持つ独立国家「パレスチナ国」が建国されたと宣言ではいうけれど、それは何というか、実質的にはアニメに出てきそうな空想的な国家だ。
この独立宣言によって、それまでガザ地区にあったパレスチナ自治政府は「パレスチナ国」となり、サウジアラビアやUAEなどのアラブ諸国を中心に承認された。
でも、イスラエルがこの新国家を認めるわけがなく、ガザは国内にある「自治区」とみているから、”簡単に”空爆することもできた。
日本もパレスチナ国を承認していないから、立場としてはイスラエルに近く、いまでも「パレスチナ自治政府」と呼んでいる。
日本のほかアメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ドイツ、イタリアのいわゆる「G7」もパレスチナを国家としては承認していない。
「首都」と主張するエルサレムはイスラエルの支配下にあるし、パレスチナ国の領土や国民もかなりアイマイで、それはどちらかというと「概念」に近い。
「世界で最も手に負えない紛争」にはホント終わりがみえないのだ。
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イスラエル建国とパレスチナ紛争の原因を作った英国の動きに全く触れないというのは、いかがなものですかね。この記事ではまるで、イスラエルが自分の力だけで平和的に(?)中東に建国して、そこに反乱を起こしたパレスチナ人だけが非合法テロ組織であるかのように読めます。
イギリスについては過去記事で何度か書きました。
パレスチナ問題についてはイギリスやイスラエル、パレスチナやアラブ諸国などにそれぞれ責任があります。
「反乱を起こしたパレスチナ人」「非合法テロ組織」といった言葉は記事にありません。
今回の件についていえば、ロケット弾で先に攻撃を仕掛けたガザのイスラム原理主義組織ハマスに大きな責任があります。
パレスチナ人はハマスの被害者でもあります。