知人のドイツ人が日本で生活していたとき、ショッピングモールでショッキングなものを見たという。
いつものようにフードコートでお気に入りのソバを食べて、日本での至福のひと時を過ごしたあと、建物の中を歩いているとペットショップがある。モールの中にそれがあるのはいいんだが、ショーウィンドウの向こう側には、ゲージに入れられたたくさんの犬や猫がいた。
ドイツでこんな光景は見たことなくて、犬猫が鉄のオリに入れられているのは彼にとっては”動物虐待”も同然。
ペットショップはそれを客に見せてアピールしているし、小学生ぐらいの子どもは指をさして「カワイイ!」とよろこんでいる。
自分にとっては心が痛くなるような残酷な場面なのに、日本人の親子は笑顔を浮かべているから、それがあまりに対照的で言葉を失った。
ドイツで犬や猫を手に入れるには、ブリーダーから購入する、動物保護団体からもらったり買ったりする、新聞で「犬(猫)を譲ります」という情報を載せた人にプライベートで連絡するといった方法が一般的で、ペットショップで買うことはない。
ペットショップではデカいヘビやクモなら売っているというから、日本人ならこっちの方が衝撃的かも。
このドイツ人と同じ話を、新婚旅行で日本へ来たイギリス人からも聞いたことがある。
そのカップルを車に乗せてお寺へ向かっている途中、信号が赤になったからその前でとまっていると、2人の会話が急になくなった。
アレ?と思ったら、その原因は通りに面したペットショップ。
10匹以上ほどの犬が個別のオリに入れられているから、それを見てドイツ人と同じ理由でショックを受けて思わず絶句する。
イギリスでは犬や猫は自由に走り回れる環境でブリーダーが育てていて、客はそこで購入するから、鉄のオリに入れられた彼らを見たことがない。
狭い空間の中に座っていて、ジッとこちらを見ている犬を見るのは心が痛むという。
といってもドイツ人もイギリス人カップルも、「郷に入っては郷に従え」(When in Rome, do as the Romans do:ローマではローマ人のように振る舞え)の原則はしってる。
国が違えば、文化や価値観が変わるのは当たり前。
だから母国のNGが日本ではOKになることや、その逆もあることはわかっているから、上の光景はショッキングだっただけで、「これは動物虐待だ!日本はいますぐこんな野蛮なことは廃止すべきだ!」と非難することはない。
こんなドイツ人やイギリス人の話を聞いていたから、これが「ヨーロッパ基準」と思ったら、どうもそうではなかったらしい。
毎日新聞の記事(2021/11/19)
仏、ペット店で犬猫販売禁止へ 2024年から、動物愛護目指す
フランスで動物愛護を目的に、ペットショップでの犬や猫の販売を2024年から禁止することが決定。
もちろんワンやニャンを飼うことは問題なく、動物保護団体や個人から譲り受けたり、ブリーダーから購入することはできる。
同じく動物福祉の観点から、イルカやシャチのショーを26年から、サーカスでの野生動物の利用を28年から禁止するという。
ウサギや魚などはこれまで通り、ペットショップで販売することはできる。でも客が衝動買いをしないよう、ショーウインドーに陳列することは禁止される。
これに日本のネット民の感想は?
・動物園も禁止にしろよ
誘拐して監禁してんぞ
・なんで犬と猫だけなの?
・イルカやシャチのショー禁止って物凄い偽善を感じるな
・日本もやれよ
・ウサギを区別する理由がわからん。食うからか?
・犬と猫を優遇するのは動物差別なのではないだろうか
・小売店はダメで直販ならOKという謎
最後のコメントは本当に日本人らしい。
ペットショップでオリに入れられた犬や猫を子どものときから見ていて、偶然それを見つけると、自然と「カワイイ!」と言うような環境にいたから、小売店はダメで直販ならOKのワケを「謎」に感じるのだろう。
ヨーロッパの動物愛護では犬や猫をペットとして、買ったり飼ったりすることはまったく問題視していない。
もちろんフランスやドイツと日本ではやり方が違うのは当たり前だから、どちらか一方に合わせる必要はない。
でも、ヨーロッパ人と一緒にいたきにペットショップで犬や猫を見つけても、「見て見て!」と笑顔にならない方がいい。
ペットショップとその日本人にドン引きする可能性が高いから。
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「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
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