きょう12月7日は「神戸開港記念日」だ。
室町時代には足利義満が日明貿易の拠点にしていたとか、もともと海外との貿易で使われていた神戸港は、“鎖国”の廃止をきめた江戸幕府によって、1867(慶応3)年12月7日に西洋諸国に対して開かれた。
*「神戸港」の名称はこのころから使われていたらしい。でも、これが正式名称になったのは明治時代になってから。
開港すると同時に多くの西洋人がやってきて、現在の「神戸北野異人館街」のようなオシャレスポットが誕生した。
知人のアメリカ人がここを旅行したから、その感想を聞くと、「神戸牛は信じられないほどウマかった!でも高すぎる」というグルメレポートのほか、日本語を学んでいた彼は神戸の由来に興味を持ったという。
神戸を「神の入り口」と考えた彼は、それはどんな「神さま」なのか気になった。
なら自分で調べて答えを見つけて、自己完結してくれたらいいのに、「神戸にはどんな意味や歴史があるんだ?」と聞いてくるから面倒くさし。
「そんなことより野球やろうぜ!」と誤魔化そうしたけど、神戸の「神」にはボクも関心があったから、ちょっと調べてみますた。
まず神戸市が誕生したのは1889年(明治22)年4月1日で、そのころの面積は約21㎢と現在の国際都市・神戸とは比較にならない。
アメリカ人が「神の入り口」と考えたこの地名は、ボクは日本人の「寄り神(漂着神)」信仰に由来するとみた。
島国の日本では、海の向こうには神々の住む異世界があって、海辺に流れ着いた漂着物を偶然とは考えず、神からの「プレゼント」と考えたり、それ自体を神としてまつる信仰があった。
それで岸に打ち上げられたクジラ(座礁鯨)を「寄り神」と呼ぶことがある。
くわしいことはここをクリックだ。
神戸もそんな寄り神(漂着物)が来たところなんだろうなあ、という予想は大ハズレ。
この「戸」とはハウスのことで、古代の日本では、神(神社)に租・庸・調などの税を納めた民戸(民家)を神戸(カンベ)と呼んだ。
いま神戸市には生田神社に税を納める神戸があったことから、それに由来してこの地名が爆誕。
だから、この場合の「神」は生田神社の神さまのことになる。
こういう歴史や背景を知ると、「なるほどね」とアメリカ人も納得のようす。
神戸とは特定の神社に属する民戸のことだから、兵庫のほかにもにこの地名はある。
三重県には伊勢神宮領だったことに由来する「神戸」があって、かつて神戸城(かんべじょう)があったところには現在では神戸公園や神戸高等学校がある。
卒業生だと自己紹介で、「いいなあ。その学校、異人館の近く?」とかいう誤解を誘っておいてから、「いや三重県立なんだけどね」とオチを言いそう。
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