自分との違いは間違い:日本への韓国の一方的な歴史認識

 

違う意見を持つ2人が話し合って、どうしても互いに譲ることができなかったから、「わたしは正しいけど、あたなも正しい」と認め合うしかない。
その反対に「自分の意見=唯一の正解」と規定して、「わたしとの違いは間違いだ!」と相手を否定すれば関係は崩壊するしかない。
日本と韓国の間では、歴史認識をめぐってよくそんな争いが起こる。
といっても、日本のメディアや雑誌は韓国の主張も伝える両論併記のスタイルが多いけど、あちらはそうでもなく、一方的物言いが多い。

例えば、ソウル新聞のキム東京特派員が書いた「知らないことが問題」というこのコラムだ。(2022-01-04)

[특파원 칼럼] 모르는 게 문제/김진아 도쿄특파원

あるときキムさんは日本のテレビ番組で、日本の大学生1万人を対象に行った『幕府・明治時代のすごい人物』のアンケート調査で吉田松陰が14位、伊藤博文が4位という結果を知る。
伊藤博文は初代韓国統監で、日本初の総理大臣でもある。
“侵略の元凶”とされる伊藤博文と、征韓論を主張した吉田松陰は韓国では“完全超悪”の人物なのに、日本ではとても尊敬されていることを知り、キムさんは「衝撃的だった」という。
知性のある大学生が、この2人を高く評価していることに驚がくしたとか。
特に伊藤博文は韓国で「日帝強占期を代表する人物」として悪名高いのに、日本では敬意を払われているとわかり、「このギャップについて、何と説明すればよいのだろうか」ととまどうキムさん。

それで伊藤が尊敬されている理由は、日本人が歴史を十分に学んでいないからだと結論づける。
悪化した韓日関係の根底にあるのは歴史問題だと指摘し、

「過去を反省しない日本について批判だけをするよりも、彼らがどうすれば歴史を正しく知ることができるのか、そのほうが重要ではないだろうか。」

と一方的なことを書いてキムさんはコラムを終える。

この文章にあるのは正義と悪、真実と偽物の二つだけで、相手国への敬意や配慮がまるでない。
日本に対するこういう考え方は例外的ではなくて、5年前にはこんな理由で日本にやって来た韓国の大学生がいた。

レコードチャイナの記事(2017年8月18日)

「日本の若者に正しい歴史を教え、謝罪を受けたい」韓国の大学生が日本中を回ってフリーハグ=韓国ネット「日韓市民は必ず分かり合える」

 

自分が正しい歴史を教え、日本人からは謝罪を受けるためにやって来た。って、戦国時代の宣教師じゃないんだから、もっとリラックスしようか。
この3人の大学生は「12・28日韓慰安婦合意は無効だ」と書かれたポスターを掲げながら、東京や福岡など6都市を自転車で回り、訪問先の都市で日本人とフリーハグを行ったという。
日本の若者に「日本軍慰安婦の強制動員の歴史」を知らせるため、こんな自転車旅行を敢行した3人は動機をこう語る。

「今後の日本を引っ張っていくのは若い世代だが、彼らの多くが慰安婦問題を知らない、または間違った知識を持っている」とし、「正しい歴史を教え、“謝罪の抱擁”を受けるため」と説明した。

 

こんな大学生に対して韓国のネットでは「彼らこそが勇者であり、真の愛国者だ」といった好意的な声が多いなか、「日本人の気持ちも考えよう。韓国に対するイメージが悪くなったらどうする?」という冷静な意見もあったようだ。
ただ彼らは日本語ができなくて、「その都度スマートフォンの翻訳アプリを使って対話を試みた」とあるから、「きみら、自転車で東京や福岡を回ってるの!すごいじゃん!」と日本人がバグしてハグした可能性もある。
まあよくワカランけど。

でもとにかく、

「過去を反省しない日本について、彼らがどうすれば歴史を正しく知ることができるのか」

とメディアで「自分の意見=正義&正解」の立場で書くことより、この大学生のほうが、元気があるだけで影響は皆無だからまだマシだ。
悪化した韓日関係の根底にあるのは歴史問題だという指摘は正しいとしても、こんな感じで、「自分との違いは間違い」という独善的で一方的な歴史認識をしている限り、歴史の両論併記はできないだろうし、日本との会話は成り立たない。
当然、未来志向の両国関係もない。
ただ、「日本人の気持ちも考えよう」という意見があるのも確かだし、知人の韓国人には日本人の考え方を変えてやるだなんてエラソーな発想は1ミリもない。
そういう人たちをどうすれば増やすことができるのか、それが重要ではないだろうか。

いまネットで、「サムスンの折りたたみスマホが日本で売れない!韓国製品が冷遇されている!なぜなのか?」というニュースを見た。
「正しい歴史を教えて謝罪を受ける」といった活動が、回り回って同胞の足を引っ張っていることが韓国人にはよくあると思う。特に日本については。

 

 

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1 個のコメント

  • 韓国人の日本に対する認識、そして日本の歴史に対する偏見を変えることは非常に困難です。
    なぜなら、学校での歴史教育で徹底して反日的叙述の歴史教科書を勉強するからです。過去には経済的格差と植民地支配の屈辱を克服するために”克日”性向の教科書として勉強してきましたが、いわゆる「民主化時代」が始まってからは、北韓との民族統一を主張する勢力が出るようになり、彼らには、韓民族の協力のために必要な共通項が必要でした。それがまさに日本です。
    北韓と日本はまだ外交関係を結べずにいます。北朝鮮は日本を不倶戴天の敵だと思っているからです。韓国では北朝鮮よりは程度が低いが、学校の歴史教育から日本に対する反感を注入するため、ほとんどの韓国人は反日的思考を無意識的に持つようになります。それで、誰かが日本が韓国を無視するというデマを流すと、韓国人は理性を失ってしまいます。自分が高いお金を払ってサンレクサスを壊した2019年のソウルを思い出してみてください。

    韓国人のこのような偏見が根本的になくならなければ、あの韓国新聞のキム記者のように「日本は絶対悪」という偏見はなくなりません。あのキム記者が本当にかわいそうだと思います 誤った歴史教育の犠牲者だと思われます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。