韓国人の歴史認識:日本に対し古代は優越感、近代は被害感情

 

日本のイチゴが不正な方法で韓国に持ち込まれ、広く栽培されるようになり、結果的に、日本のイチゴは韓国市場から追い出されてしまった。
韓国メディアがそれをドヤ顔”で報道をするから、日本人を刺激させている。
ハンギョレ新聞(2018-12-05)

日本産を追い出した“韓国産イチゴ”…“イチゴ韓流”狙う

その後、今度は日本のブドウの品種が韓国で無断栽培されていることが発覚。
フジテレビの取材班から、そのことで質問を受けた韓国の苗木販売業者はこう言う。

「韓国に悪口を言わないでください」
「日本は“日帝時代”に韓国の品種をたくさん盗んだ」
「それも泥棒だ!」

これに対し、日本のブドウ農家は「人間性を疑うというか常識外れ、非情に腹立たしい」と怒りをあらわにする。

韓国でのイチゴ流出・無断栽培問題、日本にも原因はある

ただ、安心材料はある。
コロナ禍が広がる前まで、たくさんの韓国人が日本にやってきたため、韓国内で日本の事情が知られるようになった。それで、韓国企業が日本の商品を“パクって”もすぐにバレて、「国の恥だ!」とメディアや国民からぶったたかれ、商品変更に追い込まれることもある。

「国の恥!」韓国人も怒った日本の菓子”パクリ”騒動

こうした問題、韓国の自浄作用で解決されることが最も理想的。
日本人がツッコむと、「日本は日帝時代に韓国の品種をたくさん盗んだ」みたいな感情的な反発が返ってくることがあるから。
そしてこういう場合、日本人からは「ソレとコレは関係ない。そこで歴史問題を持ち出すなー」という反応がかえってきて、話がまったくかみ合わない。
数年前に「パクリ騒動」をめぐり、ネット上で日韓のバトルがぼっ発したとき、日本人に非難された韓国人が「日帝時代」の被害感情とは逆で、古代の優越感から反論する場面があった。

「はるか昔、韓国人が日本に進んだ文化や文明を伝えてあげたから、日本は国家の基盤ができたのだ。だからいま、ほんの少しぐらい日本のマネをしただけで怒るべきではない」と。
こういう非論理的なコメントがくると、日本人としては「常識外れ、非情に腹立たしい」となって争いはヒートアップしていく。
日韓では歴史認識が根本的に違うから、この手の話はどうしてもかみ合わない。

日本に対する韓国人の認識としては、古代では優越感、近代では被害感情があって、そうした気持ちから知的財産権など現代的な問題をとらえることがある。
だからその前提のない日本人は、「何でも歴史を持ち出すな」と反発し、負の無限ループに突入。

 

古代の日本と韓国との関係をめぐって、よく話題に出るのがこの七支刀だ。

 

 

これは4世紀に百済から日本(倭)へ伝わった剣で、武器ではなくて、苗を植える儀式で神を降ろす祭具として使われたと考えられている。
いま七支刀は奈良県の石上神宮にある。

この剣の「7」という数字がとても重要で、これは古代の陰陽論で陽気が最も強い数字だ。
強い陽気を象徴するこの剣をふるえば、全ての敵を退けることができ、どんな邪気も防ぐことができるという。
また古代中国で7は、宇宙の中心で万物の運行をつかさどる北斗七星を表していたから、剣に北斗七星を刻み、その呪術性を強調することもあった。
そんな内容が朝鮮日報に書いてある。(2018/08/12)

【寄稿】日本で神になった剣、七支刀

形がホントに独特で中二病心をくすぐるから、七支刀はアニメやゲームでよく出てくる。

 

さてきょねん2020年、韓国で放送されたクイズ番組で、この七支刀を答えられなかった人が「大韓外国人」優勝をのがしたという。
ビズエンター(2020-03-18)

‘칠지도’ 백제가 일본에 하사한 칼…佛 출신 알베르토, 김복준 꺾었다続

そのときの問いがコレ。

「六つの枝がついて合計七個の刀の配列が特徴的である、百済が日本に下賜した剣の名前は何でしょうか?」

これに答えられたら、「大韓外国人」になれるレベル。
でも日本のネット民関心はそこじゃない。
「下賜」という言葉とその認識に集中した。

・献上だろ?
・百済が日本を味方につけようと朝貢して献上したのが「七支刀」
・下賜とか笑う、献上だろうが。
・下賜と献上の区別もつかないのか?
・七つの傷なら知ってる
・韓国には何も残らないのは何故でしょうか?

 

 

七支刀が朝鮮半島から、日本へ伝わったことについては日韓で異論はない。(例外はしらん)
でもその上下関係になると意見が分かれて、韓国では身分の高い人間が下の者へ与える「下賜」という言葉が使われている。
例えばこれは韓国の歴史教科書の記述だ。

倭王に下賜した刀と推定される。7つの枝が出た中心部の前後に文字が刻まれている。百済の優秀な鉄器文化は日本の古代国家成長にも大きな影響をあたえた。

「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」

 

こんな日本に対する優越感の延長に、「日本で神になった剣」という表現があるはず。

日本では日本書紀などの歴史書に、百済が日本に朝貢して人質を献上し、七支刀も献上したと書いてあるから、この説を信じる人が多い。
七支刀は古代の百済人が日本との友好を願って贈ったことは間違いないのだろうが、これを「下賜」と解釈するいまの韓国と、「いやいや献上でしょ」とする日本では争いの元になってしまっている。

ハンギョレ新聞(2016-10-19)

百済が倭を目上の国と見て捧げたものか、あるいは目下の国と見て下賜したものか、などの解釈により倭が4~6世紀に朝鮮半島南部を支配したという任那日本府説、百済が日本を諸侯国としていたという説の有力な物証になるためだ。

百済が倭国に贈った「七支刀」めぐり韓国と日本が“討論バトル”

 

こんな感じで韓国の人たちには、古代においては日本に対する優越感、近代では被害感情があって、それが対日認識を形成しているのだ。
だからもし日本のクイズ番組で、「六つの枝がついて合計七個の刀の配列が特徴的である、百済が日本に献上した剣の名前は何でしょうか?」という質問が出されたら、きっと韓国メディアは「日本の歴史わい曲」と報道する。
歴史の解釈で対立して、日韓戦が始まるのは仕方ない。が、それに知的財産権をからめるのはやめてほしい。

 

 

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5 件のコメント

  • ほとんどの韓国人が古代史に関する限り、韓国の優越感を持っているのが事実です。私も最近になって学校で学んだ歴史をもう一度検討しなければならないということを知りました。韓国人のこのような優越感は、朝鮮500年の歴史の中で中国だけを事大し、他の国は全て蛮族として認識されてきた延長線上に反日歴史教育が合わさったからだと思います。韓国と日本はお互いについて多くの研究が必要なようです

  • 歴史認識の違いは当然あるので、明らかな間違いでなければ、両論併記の形で2つの歴史を並べるのがいいと思います。
    過去の歴史を関係ない現代の問題に結び付けるのはダメですね。
    日本の反応をみると反発が強いです。

  • > 明らかな間違いでなければ、両論併記の形で2つの歴史を並べるのがいいと思います。

    その通りだと私も思いますが、韓国で教育されている歴史は「明らかな間違い」が多すぎるでしょう。と言うかほとんど間違いです、少なくとも近現代史については。
    過去(昭和の頃まで)、韓国史は、中国文献を典拠の主体として日本の歴史学会で研究成果が確立されたものであったことへの反発でしょうね。

  • >多すぎるでしょう。と言うかほとんど間違いです、少なくとも近現代史については。
    個人的な印象ならいいですが、事実なら根拠が必要になるでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。