インド人、ネパール人、中国人、アフリカ人とハイキングをしていたとき、コース沿いにミカン畑があるのを見て、「こんな無防備だと、ウチの国だったら全てなくなる!」とみんな驚いた。
と同時に、「日本人は誠実で正直ですね」と感心する。
インドでは果樹園にフェンスを設置するなど、バッチリ盗難対策をしているのが普通だとか。
でも世の中には、こちらの善意が通じなくて手痛いダメージを受ける場合もある。
・盗人猛々しいとはよく言ったものだ
・日本産韓国製造なだけじゃん
・ロンダリング完了か
と新年早々、日本人がネットで怒りをあらわにするのは朝鮮日報のこの記事だ。(2022/01/04)
日本品種のイチゴが韓国市場から消えた…15年間で逆転
15年ほど前の韓国のイチゴ市場では、章姫やレッドパールなどの日本イチゴが約90%を占めていてまさに独占状態、一人勝ちの状況にあったが、いまでは韓国産イチゴが90%を超えて市場を完全に掌握した。
なんかでも雪香(ソルヒャン)が84.5%と圧倒的に強い。
最近では香港、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシアなどでも韓国産イチゴの人気が高いという。
こんな内容の記事に不愉快になる日本人が多いワケは、「韓国 イチゴ」で検索すればすぐに分かる。
見方や表現は人によって違うとしても、いまの日本では「イチゴの品種を韓国に盗まれた」と考える人が多いことはたしかだ。
2018年に斎藤健・農林水産相が「日本から流出した品種をもとに韓国で交配されたものが主だ」と発言したこともあってこの問題が日本で注目された。
農林水産省のHPにある「国内育成品種の海外への流出状況について」の中には「韓国におけるイチゴ問題の経緯」についての説明があるし、ウィキペディアにも「韓国における日本産品種の無断栽培問題」の記述がある。
大臣は「流出」とぼかした言い方をするけれど、貴重なイチゴの品種が自然に流れ出るワケがなく、これは特定の人間が特定の意図や目的をもって行ったものだ。
被害額が大きいこともあって、日本のメディアは韓国にかなり厳しい目を向けている。
例えばデイリー新潮は下の記事で、「流出といえば穏やかだが、平たくいえば盗まれたのである。」と忖度なしで断罪する。(2018/03/03)
「韓国の盗作イチゴ、日本の被害額は220億円… 農林水産相も指摘」
ただこれは対馬の仏像のように、韓国人の窃盗団が日本のイチゴ園に忍び込んでレッドパールや章姫の苗を盗み出したわけではない。だとしても、日本のイチゴ農家や関係者からすれば、許しがたい不正な方法で韓国に広がったことに変わりはない。
それぞれの品種の“流出”のくわしい経緯はネットで調べてほしい。
レッドパールや章姫の流出や無断栽培を受けて、日本政府は韓国側に強い姿勢でロイヤリティーの支払いを要求した。
そのときの韓国側の反応が朝鮮日報の記事にある。(2014/01/31)
イチゴは少し前まで、日本の品種ばかりだった。知的財産権に基づき品種開発者に栽培料を支払わなければならなくなるピンチにも直面した。
「イチゴで日本に勝つ」 新品種開発10年で日本離れ
日本のイチゴでもうけたのだから、品種開発者に栽培料を支払うのはピンチじゃなくて常識。
そんな日本の考え方が通じず、韓国側は章姫とレッドパールを掛け合わせて「雪香(ソルヒャン)」という品種をつくり出す。
これが現在、韓国市場で84.5%を占めるイチゴだ。
ほかにも栃の峰と章姫の交配から「苺香」、とちおとめと章姫から「錦香」が開発された。
韓国産イチゴといっても、それは日本のイチゴから生まれたものだから、日本の農家・関係者には不満が大きい。
でも、こうやって新品種を作ることは合法だから、日本としては指をくわえて見ているしかない。
「日本品種のイチゴが韓国市場から消えた」というのは、日本産イチゴが日本産イチゴと競合するようなものだから、値段の安いほうが勝つのは当たり前。
韓国での”流出”について、現代ビジネスの記事で「レッドパール」の生みの親である西田朝美氏はこう話す。(2018.07.02)
「日本人のように良心的にやってくれる、と信じてしまった」という西田氏だが、その後西田氏のもとに使用料が入ることはなく、無念のまま2015年に他界されてしまった。
韓国に二百億円が奪われた?「苺事件」に見る知財戦争の過酷な現実
手の届くところにミカンがあっても、盗まれない日本は世界でも例外的で、海外では人の良心や善意を信頼する「性善説」に基づくことはない。フェンスを設置するなどして、物理的に盗みができないようにしている国がほとんどだろう。
被害者にムチ打つつもりはないけれど、西田さんの考え方は甘いというか、現実とは合っていなかった。
日本には、こんなお人よしの農家さんが多い気がして不安だ。
ただこのイチゴ流出・無断栽培問題を機会に、「日本の知的財産権をどう守るか?」の議論が本格化したから、もうこういう問題は起こらないと思う。そう願ってる。
それにしても、この一件の影響は大きかった。
「韓国 イチゴ」で検索すると、「盗む」「盗む 品種」と出てくるのはさっき見たとおり。
逆に日本のイチゴを掛け合わせて、新種をつくり出した韓国側はこんな“勝利宣言”をする。
中央日報(2018.03.28)
日本代表も惚れた、大韓民国「イチゴ独立」成功記
一方、日本ではこんなニュースが全国に流れるから、韓国のイメージは悪くなる。
「また」というのは、イチゴを指しているに違いない。
この動画のコメントには、
・匠の精神どころか恥という概念が無い
・この件については、日本がもっと怒ってほしい!
・韓国ではシャインマスカットも、いちごも毎日スーパーで売られてるし、本当に腹立たしい。
といった怒りのコメントが並んでる。
韓国側で「日本品種のイチゴが韓国市場から消えた…15年間で逆転」なんて報道が出るたびに、日本ではこんな感情が蒸し返されるから、日韓関係にも負の影響を与えている。
返す返す韓国側は不正に“流出”させてはいけなかったし、日本もそれを許さない環境をつくっておくべきだった。
付け込まれる甘さがあったことを考えると、日本にも原因はある。
日本の農家が「日本人のように良心的にやってくれる、と信じてしまった」、「常識外れ 非常に腹立たしい」という思いをしないように、日本政府や自治体は「性悪説」に基づいてかなり厳格に対応すべき。
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> 付け込まれる甘さがあったことを考えると、日本にも原因はある。(中略)日本政府や自治体は「性悪説」に基づいてかなり厳格に対応すべき。
ははははは、その通りだと思います。しかしそれでも、
> 知人の韓国人には日本人の考え方を変えてやるだなんてエラソーな発想は1ミリもない。
> そういう人たちをどうすれば増やすことができるのか、それが重要ではないだろうか。
なんて、未だにブログで甘いことを言っている国民が多数いるようでは、そんな対応に日本政府や自治体もなかか踏み切れないでしょうね。アメだけの教育では無力、現在の彼らには「ムチ」こそがより必要かつ効果的です。伊藤博文も明治政府も、その両者のバランスに失敗したのだと思います。
今も農協が視察の名目で受け入れようとしているのが問題。
韓国にもいろんな見方があります。
現実にある多様性に目を向けることが大事でしょう。
>伊藤博文も明治政府も、その両者のバランスに失敗したのだと思います。
これは具体的に何のことでしょう?