2日前の1月7日は昭和天皇の命日で、1989年に「平成」という新しい新元号が発表された日でもある。
つまり1989年1月7日は昭和最後の日で、きのう1月8日から平成が始まった。
特定の時代に名前をつける元号の考え方は中国から伝わったものだけど、その本家では20世紀はじめ、清王朝と皇帝がなくなると同時に元号の伝統も消失してしまった。長門有希のように。
かつては元号を採用していた朝鮮半島やベトナムも皇帝と一緒に廃止したから、この文化を守っているのはもう地球上で日本だけになる。
そんな独自のシステムについて、日本に住む外国人はどう思うのか?
これまでいろんな外国人にそのことを聞いてきたんで、今回は日本に5年ほど住んでいるイギリス人と、約30年のアメリカ人の感想を紹介しよう。
まずイギリス人のほうは日本で生活を始めてから、これまで元号について不便を感じることがなかったから、特に意識していない。ユニークな日本文化のひとつと思うぐらい。
ただオーストラリア旅行に行ったとき、困ったというほどじゃないけど、ちょっとした出来事があった。
現地を車で回ろうとレンタカー会社で手続きをしていると、相手が運転免許証のコピーがほしいと言うので日本の免許証をわたす。
すると手に取った免許証を見て、不思議そうな顔をするオーストラリア人。
「なにか問題でも?」とイギリス人が不安に思ったら、「この”29”という数字は何だ?」と聞かれた。
それは「平成29年」という日本の暦で西暦にすると2017年になると説明すると、「へ~、おもしろいね」と興味を持ったオーストラリア人から、「元号はどうやって始まって終わりのか?」「日本人はなんでそんな暦を使っているのか?」といった質問を受けて閉口する。
「そんなことはグーグルに聞け!早く車を貸せ!」という内容の言葉を笑顔を浮かべつつ遠回しに言って、そのレンタカー会社を出たという。
浜松市に住むイギリス人が役所でもらった書類に記入しようとしたら、「エイリアン用」と書いてあって爆笑。
地球外生命体じゃないんだから…。
そのイギリス人が帰国後、日本人女性と結婚して日本に30年ほど住んでいるアメリカ人に、「オーストラリア人に日本の免許証を見せたらこんなコトになってさー」と土産話をすると、「スマホがある時代で君はとてもラッキーだったよ」と冷静な顔で言われた。
ひと昔ふた昔前の日本では、元号で書類に記入しないといけない機会はいまよりずっと多かったから、スマホという優秀な道具がないと本当に苦労したらしい。
1月1日に新しい元号がスタートするのならまだよかった。
でも1989年1月7日なら昭和、8日からは平成というように、元号は天皇の命日でリセットされるから(もちろん令和は例外)、外国人が自分の生まれた年を“手作業で”西暦に換算することにはかなりの手間がかかる。そんなことでイギリス人は、「いまは書類に西暦で記入できるようになったし、スマホがあれば一瞬でわかる。あのストレスを知らない君は幸せだ。元号は悪魔だったよ」なんて皮肉を言われた。
実際あのとき、レンタカー会社でスマホなしで西暦に換算しないといけなかったら、きっと車をあきらめていたからアメリカ人には何も言い返せない。
でも元号がサタンかデーモンか、サーモンだったのは昔の話。
「最近日本に来た連中は~。あのころは~」と語り部になったアメリカ人も、いまは日本歴5年のイギリス人と同じで元号で不便を感じることはない。
だから特に意識することもない。
日本にいるほとんどの外国人も同じ意見でしょ。
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> 実際あのとき、レンタカー会社でスマホなしで西暦に換算しないといけなかったから、きっと車をあきらめていたからアメリカ人には何も言い返せない。
ん?
さらっと読み流そうとして引っ掛かりました。
換算しないといけなかったから、きっと車をあきらめていたから
→ 換算しないといけなかったら、きっと車をあきらめていたから
ですよね、おそらく。
あ、その通りです。
ご指摘ありがとうございます。
早速、訂正しました。