1月11日のきょうは鏡開きの日だ。
年神さまの宿ったお餅を家族みんなで食べて、神の霊力を吸収してこれから一年の健康や幸せな生活を願う。
日本人は古墳時代の6世紀ごろには餅を食べていたと考えられていて、現代のように、正月などのめでたいハレの日に餅を食べるようになったのは平安時代になってから。
先日8日に六本木ヒルズで行われた餅つきイベントも、起源をたどると平安時代にいきつくと思われ。
そんな歴史や文化とは関係ないところで生まれ育った外国人は、日本の餅についてどう思うのか?
餅が大好物という日系ブラジル人が知人にいる。
彼がサンパウロに住んでいたとき、よく祖父母や両親と一緒にしょう油や砂糖をつけて、日本とまったく同じお餅を食べていた。
あるとき遊びに来たブラジル人の友だちにそんなお餅を出したところ、初めて見る物体に彼らの警戒心はマックスで手を伸ばそうとしない。
「絶対ウマイって、食べてみて!」と拒否を拒否する勢いで食べさせると、「うっ、気持ち悪い。この食感はむりっ」と3人ともお餅を口から出して、二度と手をつけることはなかった。
皿の上のお餅を見て、大きな悲しみと壁を感じたと述懐する知人。
米文化の東アジアや東南アジアの人は別として、アメリカ人やヨーロッパ人に聞いても、餅については独特の食感がかなり高いハードルになっていると言う。
あの食感を英語ではどう表現するのか?
アメリカ人に聞くと、「なんだろう?chewy かな」とチューインガムのチューイを挙げる。
辞書をみると餅の英訳によく「rice cake」があるんだが、日本の餅を知るネイティブいわく、そのイメージと実際の餅にはギャップがあり過ぎる。
だから最近のネットサイトでは「mochi」と書いてから、それが何か説明することが多いらしい。
毎年正月になると日本では、お餅がのどに詰まって病院に運ばれる人や、命を落とす人が何人もいる。
めでたい正月に長寿を祝って食べる餅で亡くなるなんて、とても不思議な気がするけど、日本人は想像できないほどお餅が大好きなんだ。
「日本人とモチ」というと、知人のイギリス人はよくこんな海外メディアの記事を見るという。
海外ではそんな独特の食感が受け入れられないせいか、「mochi」は雪見だいふくのようなアイスを意味することが多いようだ。
「男の隠れ家」の記事(2022.01.08)
海外における「mochi」は多くの場合、もち米粉などで作った薄い皮にアイスを包んだ一口大のスイーツを表す。そのため、「mochi」は「mochi ice cream」とも表現される。
日本の「餅」は海外で大人気!? 外国人から見た「mochi」の評価と人気メニューを解説!
外国人の「餅は素晴らしい!」とか「案外イケる!」という感想は、こういうモチ・アイスの可能性が大。
だから日本のガチの餅(切り餅など)を見ると驚く人が多くて、なかには「スライムみたいだけど案外イケる!」と絶賛する人もいるとか。
近ごろ海外で「mochi」が注目されていることには、モチ・アイスの見た目がかわいくてSNS映えするという理由がある。
画像検索すると、ピンクや黄色の『雪見だいふく』のような mochi が山ほど出てきて、たしかにキレイだしかわいい。これは萌えるし映える。
それにモチにはヘルシーでおいしいというイメージがある。
パリには「La Maison du Mochi」という餅の専門店があって、「海外では美味しいスイーツとして流行っている」と記事にある。
美味で健康的で、それに映えるということから、女性向けの雑誌で「mochi」が紹介されているらしい。
ということで、日本に来てまだ日の浅い外国人が「モチは大好きです!」と言ったら、それは餅か mochi かしっかり確認した方がいい。
日本文化に興味のある外国人なら、鏡餅には穀物神である年神の魂が宿っていて、鏡開きでそれを食べて無病息災を祈るという話をするときっと興味を持つ。
歴史の浅い mochi にこんな精神性は絶対にない。
逆に日本人が海外へ行っていろんな「mochi」を食べたら、新しい価値観や世界と出会えそう。
日本で鏡開きの餅は「切腹」を連想させて縁起が悪いから、刃物で切ることはない。
いろいろと現地化してる。
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