元徴用工訴訟で韓国の裁判所から、賠償を命じられている日本製鉄(旧新日鉄住金)。
これについて先日、原告側に押さられていた資産の売却命令が出ると、日本製鉄はこれを不服とし断固「NO」を貫いた。
中央日報の記事(2022.01.13)
日本製鉄「韓国資産売らない」…徴用被害補償判決に抗告
この判決について「どっちもどっち」は不公平。
「資産は売らん」と言った日本製鉄が正しい。
元徴用工問題問は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」されていて、さらに日韓が「いかなる主張もすることはできない」と確認したのだから。
*くわしい内容は外務省ホームページ 大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について を見てくれ。
この約束が日韓関係の基礎となってこれまでやってきたのに、2018年に韓国の裁判所がこの合意をひっくり返す。そしてその後、韓国政府も実質的にこの問題を放置してきたから日本企業への圧迫がつづき、両国関係はなるべくして戦後最悪となる。
資産売却命令を拒否した日本製鉄は、
「極めて遺憾だ。この問題は日韓請求権協定により、完全かつ最終的に解決したものと理解している」
ともっともなコメントを出す。
日本はこの協定に基づいて巨額の経済支援金を渡したのだから、それを受け取った韓国側がまた賠償金を要求してはいけないのだ。
「いかなる主張もすることはできない」という自分の言葉を、自分で否定することになってしまう。
この不当判決には日本製鉄の前会長・宗岡正二氏もご立腹らしく、3年前にこんな発言をした。
朝鮮日報(2019/06/01)
強制徴用:日本製鉄前会長「韓国は国対国で定めたルールを変える国」
社内で行われた会議のような内々の場ではなくて、宗岡氏はこのとき日本の記者に向かって「国対国の次元で定められたルールを変える国だ」と批判した。
「日本製鉄の役員が韓国大法院判決と関連して韓国を公に批判したのは初めてだ」と記事にあるから、それなりに深刻に受け止めた人も韓国には多かったのでは。
でも韓国側が気になるのは、それよりきっとこっちだ。
「(日本の)各企業は韓国進出をちゅうちょしている。(最近の日韓関係の悪化で)両国国民の感情にマイナス面がかなり出ている。速やかに安定させた方がいい」
判決について当初は、「無対応」でいるよう指揮していた宗岡氏。それが公然と韓国を非難したことは、両国関係がかなり危機的であることの表れだ。
韓国にも不安を感じる人はいる。
たとえば元外交部次官のシン・ガクス氏は昨年、「韓日関係がこれ以上悪化しないように」と中央日報でこう訴えた。(2021.09.01)
韓国政府としては、何よりも強制徴用問題の外交的解決に向けた時間稼ぎのために現金化から防がなければならない。
【コラム】日本企業に対する差し押さえ財産の現金化から中止するべき
日本企業の資産が売却(現金化)されたら、日本の報復と韓国の報復返しがぶつり合って、両国関係はきっとカオス状態になる。
そうならないよう、韓国政府は現金化を全力で防いでほしいところ。
でも、シン・ガクス氏は「来年春に改善の契機」と書く。それはあと2か月後の選挙で韓国の大統領がきまって、新政権が発足することを指す。
つまりいまの文政権下では、関係改善はできないと見限っているってこと。実際、文大統領はもう何も動いていない。
となると次期政権が「国対国の次元で定められたルールを変える国だ」という批判をくつがえし、日本に納得できる外交的解決を提案できるか期待するしかない。
日本の大企業でトップレベルにいる人が公の場で韓国を非難したというのは、来るところまできたなという気がする。
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もし韓国で物理力で日本企業の資産を売却することを強行するなら、韓日関係はその日から完全に終わることになるでしょう。絶対にそんなことがあってはいけません。それは結局、韓国の国際的な信用度墜落を誘発することになり、韓国としては災難に見舞われることになるでしょう。
理性的で合理的で国際的な基準を持った政府が韓国を導かなければなりません。
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日本の大企業でトップレベルにいる人が、公の場で韓国非難をしたというのはかなりマズいと思う。
その原因を作っているのが向こうなのに何故拙いのですかね。言うべき事はどれだけ反発されようとも言うべき。どうせ不買運動も徹底できないのだし、両国の関係はこの先も改善される事なんて絶対に有りない。
賛成です。
現金化だけは避けないといけません。
もう文政権下でそれは無理ですから、次の政権にまかせるしかないです。
これは発言がマズいのではなくて、両国関係のことです。
たしかに誤解しやすい言葉なので訂正しておきました。
日本が好きな人も多いので不買運動が徹底されることはないでしょうし、関係は次期政権しだいで変わるでしょう。