韓国起源説が崩壊したら、「桜を抜いて、王桜を植えよう」

 

「世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」

世の中に桜がなかったなら、春を過ごす人びとの心はどれだけ穏やかなんだろう。

平安貴族だった在原業平のそんな歌から、FNNプライムオンラインの報道は始まる。(2019年3月27日)

春の風物詩?「ソメイヨシノは韓国起源説」を検証する

ことしの桜はいつ咲くのか?満開になるのか?
そしていつ散ってしまのだろうか…。

桜を大好きな日本人がアレコレ気になって落ち着かなくなるのは、令和のいまも平安時代も変わらない。
ただ現代では春が近づくと、韓国や日本では「ソメイヨシノは韓国起源」という説が浮上して世間を騒がせる。
最初にネタバレをしておくと、この説は完全な間違い。

韓国にも全国各地にキレイな桜があって、春になると多くの市民の目を楽しませている。
でも桜は日本のシンボルだから、これを「日帝残滓」と思うと韓国の人たちは興ざめして、心は重くなってしまう。
日本が朝鮮半島を統治していたころに伝わった様々な文物を、韓国では「日帝残滓」と呼び、残滓(残りカス)の意味からも分かるように、これは社会から除去しなければいけない対象となっている。
たとえば3年前には済州道議会で「日帝植民残滓清算条例案」によって、小中高校にある「日帝残滓」認定されたカイヅカイブキの木が引き抜かれる動きが出た。

朝鮮日報のコラム「萬物相」(2019/06/08)

校庭のイブキ2157本が無慈悲に切り倒されそうな様相だ。大統領が親日清算を要求するせいで道路名、校歌まで変え、今度は植物まで攻撃している。

「親日」の木

たしかこのあと無慈悲に切り倒された。

 

といっても日帝残滓には「科学、権利、大統領、首相、長官」といった言葉や、貨幣単位のウォンや運動会など韓国社会にすっかり定着したものもあるから、すべてを取り除くことはできない。

でも、国内にある桜を日帝残滓と思うと国民感情が傷つくから、韓国の文化財庁は「ソメイヨシノは韓国が起源」と主張する。
統治時代に植えられた木(花?)でも、もともとは韓国の木だったと考えると、精神的な負担をなくすことができるらしい。そんなことがFNNの報道にある。

文化財庁は、「日本が植えた桜を複雑な視線で見る人もいるが、韓国起源だと理解してほしい」とも主張している。韓国が起源説にこだわる理由はまさに「日本が植えた桜だが、起源は韓国なんだから楽しんでほしい」という論理を維持するためであり

 

一応、その根拠はあった。
100年以上前に、韓国の済州島に自生していた桜(王桜)が日本のソメイヨシノと同じである事が分かった、という説がこの論理を維持するための根拠となっていた。
それで文化財庁は「ソメイヨシノ=王桜」とし、「ソメイヨシノは韓国起源」と主張する。すべては「(花見を)楽しんでほしい」という国民感情のために。

春になると韓国メディアも盛んにそういう報道をして、それが「春の風物詩」となって日本にも伝わるから、日本人の心が落ち着かなくなる。
「世の中に たえて韓国起源のなかりせば 春の心は のどけからまし」という状態になる。

でも2018年に、韓国山林庁国立樹木園が王桜とソメイヨシノの遺伝子を解析したところ、その2つは全く違う種であることが確認された。
「ソメイヨシノの韓国起源説」を自国の専門機関が粉砕したことで社会が動揺する。
韓国の王桜と日本のソメイヨシノは見た目はソックリでも、ゲノム解析で否定されたら文化財庁も何も言えない。
そんなことで、「韓国の春を彩るソメイヨシノが引き抜かれない事を願う。」と最後に言ってFNNの報道は終わっている。
まぁさすがに、韓国全土にあるソメイヨシノを引っこ抜くことはない。
って思うじゃないですか?

 

「韓国起源説」が間違いだったということは、「日本が植えた桜だが、起源は韓国なんだから楽しんでほしい」という論理も崩壊することを意味する。
となると韓国にあるソメイヨシノは完全な「日帝残滓」だから、こうなった。

朝鮮日報(2022/01/26)

「日本の桜を抜いて、済州の王桜を植えよう」キャンペーン始まる 

「ヤマザキ 春のパンまつり」じゃないんだから…。
韓国では今年から、ソメイヨシノを引き抜いて全土に王桜を植える「王桜プロジェクト2050」のキャンペーンが始まるらしい。

これを主催する東北アジア生物多様性研究所は、「2050年までに全国の公園と公共施設をはじめ街路樹用として、日本原産の桜の木ではなく済州の王桜を植えよう」と国民に呼びかける。
(これじゃ「春のBANまつり」じゃん。)
いまは全国で発起人を募集していて、「山林庁長の許可を得て法人を設立する予定」ということだから、かなり大々的なキャンペーンだ。

「韓国起源説」が絶えたのはいいことだけど、何の罪もないソメイヨシノがこんな目にあうというのは、日本人としては激しく悲しい。
引き抜かれたソメイヨシノさんをそのまま枯らすのではなくて、日本に里帰りさせられないものか。
こういう暗黒キャンペーンをネットではなくて、全国メディアが告知するというのは日本じゃあり得ない。朝日・読売新聞が「韓国の花を抜いて、日本の花を植えよう」なんてキャンペーンを載せたら、きっと大騒ぎになる。
もちろん韓国起源や日帝残滓とかにはこだわらず、そういう政治は抜きにして純粋に桜を楽しむ韓国人もいるはず。
ただこれから30年間、春になるとこんなキャンペーンの話を聞くとなると、まったく心が穏やかじゃなくなる。

 

 

【知ってた】桜の起源を主張し、「虚しい結末」と嘆く韓国紙

【ゲテモノは食文化】世界・韓国・日本の気持ち悪い食べ物

日本 「目次」

韓国 「目次」

東南アジア 「目次」

 

11 件のコメント

  • こんな知らせを日本人から聞くととても惨めです。
    韓国社会の反日、排日の雰囲気が分かり、これは非常に原始的な反感です。
    日本に対するコンプレックスと劣等感から抜け出せずにいる証拠でもあります。韓国(朝鮮)が日帝により統治された期間はわずか35年です。自尊心が傷つく歴史ではありますが、韓国人が耐えなければならない歴史でもあります。国を誤って運営すると、国民が誤った考えで生きるとどうなるかを知る、生きた歴史でもあります。
    しかし、現在の韓国社会は、そのような反省よりも、異民族に対する部族的な反感を強調しています。
    未開で間違った考えです。上記の文章の本質は、韓国人が日本は敵ではなく友好国だという考えをしないために起こる荒唐無稽なことです。

  • > 日本の桜を抜いて、済州の王桜を植えよう
    何故そこで王桜ではなく、韓国国花のムクゲを植えようと言わないのだろう。ソメイヨシノを抜いてもそこに桜を植えてしまったら、「桜を愛する日本文化」からは脱却できないし、周囲の国からは日本の文化に倣っているようにしか見えないのに。

  • あきれて開いた口が塞がらない。
    ソメイヨシノを取り入れるだけじゃなく、花を愛でる心も学ぶべきでしたね。

  • 1974年には朴正煕の大統領令による「桜の大植樹運動」が展開され、日本から輸入されたソメイヨシノが韓国各地に植えられた。韓国で植えられた桜のほとんどがソメイヨシノであり、済州島にもソメイヨシノが大々的に植樹された現状からすると、「ソメイヨシノとの交配が起こり自生の王桜が消滅する可能性がある」と報じられた[15]。王桜の種子は非常に実りづらく、自然界で広がる事はほとんどないとされている[16]。韓国では王桜の世界化を目指す国際シンポジウムが開かれている[17]。韓国国立山林科学院暖帯亜熱帯山林研究所が組織培養で王桜の苗木を大量生産することに成功したと発表した[18]。

    wikiより
    大量生産に成功。
    うーん、怪しい。
    王桜残ってるのかな?

  • ほとんどの韓国人はこんなキャンペーンに興味はないと思います。
    ただこう言うと注目されて、利益を得る人がいるのでしょう。
    ただ桜を死なせるのは日本人としてはイヤですね。

  • どうなんですかね?
    王桜もあると思いますが、引き抜かれたあとのソメイヨシノさんが気になります。

  • > ほとんどの韓国人はこんなキャンペーンに興味はないと思います。

    本当にそうなのかどうかは分かりませんが、だとしても、メディアやネットの場において大声で公言する人がいれば、その声が国民を代表する考えであるとみなされるのが現代です。個人の発言、地方ローカル紙の記事であっても、あっという間に相手国へ伝わります。
    その意見が代表的でないことを明確に示すためには、反対意見を同程度に大声で公言しなくてはならない。黙っていれば相手の言い分を認めたことになるのと同じです。
    反対意見(このブログのコメント欄の一番上に出ているような)が他にはほとんど見当たらないということは、大多数の韓国人が「そんなことがあっても構わない、別に反対はしない、どちらかと言えば消極的賛成」と考えていることの証拠です。
    自分たちの方向は自分たちで勝手に決めればいいでしょう。

  • >その声が国民を代表する考えであるとみなされるのが現代です。
    これには根拠が必要でしょう。

    乾燥は人それぞれですが、面倒くさいし関心ないから特に反応しない人が多いのでしょう。
    実際にこのキャンペーンに賛同して桜を抜く動きがどれほど出るか、これから分かります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。