いよいよ今週の金曜日(2月4日)、北京オリンピックが始まりますぞ。
でもその開会式で、「わたしたちは参加しませんっ」と台湾の代表団が発表した。
ちなみにきょねん行われた東京五輪の開会式では、中継したNHKのアナウンサーが「台湾です」と選手団を紹介して台湾の人たちが歓喜した。
今回の北京オリンピックで台湾チームが開会式のボイコットを決めたのは、その反対をすると知ったから。
それは1949年のきょう1月31日、中国の人民解放軍が北京に無血入城したことに関係している。
太平洋戦争でアメリカに負けると、中国大陸でも戦闘をしていた日本軍は撤退する。
すると「敵の敵は味方」理論で日本を共通の敵として、タッグを組んでいた蔣介石と毛沢東が対立するようになる。
そして1946年、蔣介石をトップとする中国国民党の軍隊と毛沢東が率いる中国共産党の軍隊(紅軍:人民解放軍)との間で内戦が始まった。
1946年6月26日、蔣介石は国民党正規軍160万人を動員し、全面侵攻の命令を発した。毛沢東は「人民戦争」「持久戦争」の戦略によって抵抗した。
日本人なら、ぜひ知っておいてほしいことがある。
このとき共産党軍が、捕虜だった日本軍の軍人を教官として東北民主連軍航空学校を設立した。
そして日本人に育てられた搭乗員が共産軍の勝利に大きく貢献する。
さて話は飛んで、1949年1月31日に共産軍が北京を制圧すると、その年の10月1日、天安門広場で毛沢東が中華人民共和国の建国を宣言した。
ルーザーとなった国民党軍は台湾へ逃げ込んで、台北市を臨時首都とする。
*家族に「釣りに行ってくる」と言い残して家を出て行き、台湾へ密航して国民党軍を指揮して、共産軍の侵攻を阻止した伝説的な日本人もぜひ知ってほしい。
とにかくこれで、中華人民共和国と中華民国(台湾)の2つの中国が同時に存在することになったワケだ。
その後、1972年に日本が中華民国と断交して、中華人民共和国と国交を結ぶなど、世界のほとんどの国が共産党の中国を正式な中国と認めて現在までいたる。
台湾を自国の領土の一部とする「一つの中国」の原則は中国にとって最も大事なもので、何があっても、これだけは譲ることができない。
だから台湾が独立を宣言したら、戦争になると中国は何度も言っている。これはブラフじゃない。
一方の台湾では、独自の政府、軍隊、憲法を持っていることから、中国と別で「一つの中国」を認めない人が多い。
これだけなら日台のにらみ合いだけで済む。
けど、オリンピックなどの国際大会ではそうもいかない。
「一つの中国」の原則に従って台湾が参加するということで、中国は「タイワン」表記はNGで、「チャイニーズ・タイペイ」ならいいとした。
日本語で「中華台北」と訳されるこの言葉は、中華圏にある台北というアイマイな意味だろう。
中国も台湾もあした2月1日から始まる正月を祝うから、台湾が中華文化圏にあることは間違いない。
でも台湾では「チャイニーズ・タイペイ」ではなく、「タイワン」として五輪に参加したいと願う人がたくさんいる。だから、東京五輪の開会式でNHKのアナウンサーが「台湾です」と紹介すると、台湾のネットでは「いま、台湾って言った!」、「ありがとう。涙が出ました」と喜びや感謝が大爆発した。
一方、もうすぐ始まる北京五輪では、「中華台北」を漢字で「中国台北」に変えてしまった。この一文字の違いは決定的だ。
この表記は、台湾が中国の一部であることを世界にアピールするものだから、怒った台湾代表は開会式をボイコットすると発表した。
台湾隊にはぜひ競技で魅せてほしい。
後日談
国際オリンピック委員会からの要請を受けて、結局は開会式には参加するらしい。
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