【チート行為】日本人とアメリカ人で違う“ずるい”の感覚・表現

 

日本人はよく使うけど、アメリカ人やイギリス人には「なにそれワカラン」となるのが和製英語。
パワースポットとかスキンシップとかそんな謎英語は日本にいくらでもあって、なかにはそんな日本人の斬新な発想を楽しむネイティブもいる。

このまえ記事で紹介した和製英語が「カンニング」。
試験中に隣の人の答案のぞいたり、隠し持っていたメモを見る不正行為を日本ではこう呼ぶ。
でも、外国人にそれは通じないから、日本の学校で英語を教えていた知人のアメリカ人は、同僚の日本人先生の話が見えずに困ってしまった。
そういうズルを英語では「cheating」という。
日本ならゲームで子供もよく使う「チート」、「チート行為」のこと。

日本神話で太陽神アマテラスが天岩戸の洞窟に引きこもってしまい、困った神々がアマテラスを上手にだまし、自分から外に出てこさせた作戦を外国人は「カンニング」と表現するらしい。
日本人ならこれを「カンニング行為」とは言わない。

【日本人の英語】アメリカ人「カンニングは不正行為じゃない」

英語の「カンニング」に不正行為という意味はないから、試験中のズルはチーティングになる。
その違いに興味を持ったんで、では、これをどう表現するのかアメリカ人に聞いてみた。

日刊スポーツ(2022年2月3日)

マイナス16度で試合決行にホンジュラス激怒「考えられない」選手2人低体温症、試合後に数人点滴

2月の平均最高気温が約30度というホンジュラスは「ほぼ熱帯」だ。
アメリカはそんなホンジュラス代表をマイナス16・7度という極寒の都市(ミネソタ州セントポール)に招いて、試合を行って3-0で勝つる。
ホンジュラスはさんざんだ。
ハーフタイムには選手2人が低体温症で試合続行が不可能になり、試合後には体調の悪化した数人の選手が点滴をした。
親善試合ならまだいいとして、これはワールドカップ(W杯)カタール大会の最終予選だったからホンジュラス側は激怒する。
(これはわかります。)
米ヤフー電子版もさすがにこれは支持できず、

「米国のサッカーにとっては恥だ」
「これは恥ずかしい戦略だ。」

と試合を行ったアメリカ側を批判した。
Tシャツをぬらすとすぐに凍りつくという、マンガのような寒さだったというから、ホンジュラス代表としては氷属性の魔法をくらった思いだったのでは。

ボクからするとこの試合は「チート行為」。
アメリカ人からみると、これはカンニングかそれともチーティングなのか?

 

 

日本の学校で英語を教えていて、ある程度の日本語の感覚や日本人の考え方を知ってるアメリカ人に聞いてみた。
*これは科学ではなくて主観だから個人的差はある。と予防線をはっておく。

まずこの試合はルールの範囲内にあるから、チーティングではない。
試験中のカンニング行為のようなルール違反なら、それはチーティングになる。(ややこしいわ)
アメリカサイドからみると、恥ずかしくてもこれは戦略だから、あえて言うならこれはカンニングだけど、この場合、その表現は適していないから自分なら「unfair」か「playing dirty」と言う。
わざと極寒の地を選んで試合をするのは、「unsportsmanlike」という気もする。

たしかにこれは規則違反ではないけど、スポーツシップに反するやり方だ。
「unfair」、「playing dirty」、「unsportsmanlike」を日本語にするなら「ずるい」になる。
個人的にこれはチート行為だと思っていたから、どちらかと言えばカンニング行為というのは予想外だった。

 

さて、むかし中国を旅行していたとき、街でこんな感じのおいしそうな串焼きを見つけたのだ。

 

 

高級な羊肉のわりには、この店は他に比べてかなり安い。
気に入って買って食ってみると、スパイスが効きすぎていて、おいしいかどうかもよくワカラン微妙な味。

次の日、「ここは物価が安いですね。羊肉の串焼きが安くてビックリしました」と日本語ガイドに話すと、「それは安すぎます。羊肉と書いてあるだけで、羊の肉は使っていませんよ。何の肉かわかりませんが。中国で格安の肉を食べるのはやめたほうがいいです。」と忠告された。

危険①中国で日本人旅行者が屋台や食堂で食べるときの注意点

 

宣伝文句と実際に売っているモノが違う。
そんな「羊頭狗肉」の四字熟語が生まれたのはまさにこの国だ。
これは明らかなルール違反だから、カンニングではなくてチート行為になるはず。
「牛の首を門にかけておき、馬肉を内に売る」という「牛首馬肉」なんて言葉もあるし、なんなら「羊頭馬脯」という四文字熟語もある。
ホント中国はチート行為ばっか。
…と思っていた時期が私にもありました。

最近、熊本県産といっておきながら、中国・韓国産を混ぜたアサリを売っていたことがばれて、「熊本ブランドの信頼を揺るがす」と蒲島知事が言うなどいま大問題になっている。
「羊頭狗肉」のような産地偽装をどう表現するのかアメリカ人に聞いたら、これはカンニングではなくチーティングだった。
そうですよねー。
なんか最近の日本では、カンニングよりもチート行為が増えている気がする。

 

 

中国を知ろう! 「目次」 ①

中国を知ろう! 「目次」 ②

中国との違い③日本人の強み「変える力」唐の着物を日本の文化

歴史の違い。日本にあって韓国や中国にないもの。幕府と天皇!

「日本」カテゴリー目次 ⑤ 韓国や中国から知る日本

 

2 件のコメント

  • 「カンニング」って、日本語ではペーパー・テストにしか使わない言葉じゃないですかね?
    英語にもcheatingとか、trickとか、unfairとか、ずるさを表す単語は色々あります。でも、unfair(アンフェア)という言葉はちょっと注意する方がいいです。この言葉、英米人にとっては「お前は人間じゃない!」くらいにひどい侮辱と受け止められる場合があるようで、下手に使うと即ケンカになってしまいます。私も何回か失敗して、ようやく理解できました。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。