米国も韓国も注目する小国リトアニア、中国と渡り合うワケ

 

面積でいえば北海道(8.3万km²)よりは小さいけど、九州(3.7万km²)よりは大きい。
でもって、人口でいえばほぼ茨城県(約287万人)。

東ヨーロッパにあるリトアニアはそんな国だ。(6.5km²、約279万人)
ビリニュスという首都名はすぐに忘れるとしても、日本との関係は覚えておこう。

日本とリトアニアを結ぶ3つ:本田圭佑・カニカマ・杉浦千畝

こんなヨーロッパの小国が、人口・面積・経済力で世界トップクラスの超大国にケンカを挑んでいま世界の注目を集めている。

アメリカCNN(2022.02.04)

欧州の小国リトアニア、台湾を巡り中国と渡り合う

台湾を自国の一部と考えている中国にとって、「一つの中国」の原則は神聖不可侵で、地球上の誰もが守るべきこととしている。
にもかかわらず、リトアニアは昨年11月にそのタブーに触れ、ヨーロッパで初めて首都ビリニュスに台湾の事実上の大使館を開くことを決めた。

といっても、台湾に公式な外交的地位を与えたわけではなくて、これは「一つの中国」の原則に反するものではないとリトアニアは説明する。
でも中国がそれに納得するわけもなく、この動きを「一つの中国」への侮辱と考えた。
リトアニアとの外交関係を格下げし、リトアニア製品の中国流入をストップさせ、両国関係を厳しい状態に追い込んだのはリトアニアの責任だと中国は批判した。

でも、捨てる神あれば拾う神あり、義を見てせざるは勇無きなり。
今度は台湾がリトアニアのために動き出す。
中国への輸出を止められたリトアニアのラム酒を爆買いし、リトアニアを支援するために数億ドルの投資を約束する。
知人の台湾人も「買って応援」で、生まれて初めてリトアニアのビールを飲んだという。

 

リトアニアは小さな国でもEU加盟国だ。
もともと中国との経済関係は薄いし、EU諸国はリトアニアを支援しているから、堂々と巨大な龍と渡り合うことができる。
イギリスの脱退もあってEUは最近、「地政学的な問題で団結した行動をとるようになっている」とCNNはいう。
これはリトアニアにとって心強い。
そんなこともあって、クビリュス元首相は、

「中国は教訓を学ぶ必要がある。なぜなら、これまで彼らが我々の価値観やルールに沿わない方法で振る舞うことが許されていたのは、単に彼らがとても金持ちだったからだ」

とイケメンなことを言う。
中国に対して一貫して弱腰の韓国政府は、この小国に学ぶべきだと朝鮮日報がうながす。(2022/01/15)

【コラム】小国リトアニアに学ぶ中国の扱い方

 

リトアニアが中国にここまで強気に出ることには、それなりのワケがある。
第2次世界大戦のころにソ連に支配され、リトアニアはずっと屈辱的な立場に置かれていたけど、1990年に独立を宣言する。
すると翌年にソ連軍がやってきて、抵抗した市民14人が殺されて700人が負傷した。(1991年血の日曜日事件

だがしかし、リトアニアは負けずに抵抗をつづけて1991年9月6日、ついにソ連に独立を認めさせた。

リトアニアの独立運動はバルト三国全体の独立運動を主導し、最終的にソビエト連邦の崩壊に大きな役割を果たした。

リトアニア独立革命

 

人口でいえば茨城県ほどの国だけど、ソ連という超大国を打ち負かした経験がある。
それに独裁体制や共産主義への嫌悪が、今回の行動や決断の原動力になっているはずだ。
と思ったんで、リトアニア人に聞いてみた。

Oh yeah 😃 I really love how our government fights against China’s communism. And it’s really funny how a big country with much stronger economy is scared of a small baltic country.

そうそう!
中国の共産主義に対する、リトアニア政府の戦いぶりは本当に素晴らしいね。
大きな経済力のある大国が、バルト海の小国を怖がるなんて本当におかしい。

Of course there are some problems in politics inside Lithuania, as some are spreading populistic ideas, that we should not fight against china, etc, but they just dont understand that Taiwan is in similar position as we were before 1991.

もちろん、リトアニアにも政治的な問題があって、「中国と戦うべきではない」といったポピュリズム的な考えを広めている人もいる。
でも彼らは、台湾が1991年の前の我々と同じような立場にあることを理解していない。

So we must stand together, and it’s really good, that even though Lithuania started it, but other countries are on our side. And if China will really start economic war against Europe, China will be the one to suffer

私たちは一緒に立ち向かわなければならない。
リトアニアが始めたこととはいえ、他の国々が味方になってくれているのは本当に良いことだ。
もし中国が本当にヨーロッパに対して経済戦争を始めたら、被害を受けるのは中国だ。

 

やっぱり今の台湾を、かつてのリトアニアと重ねていて、これが中国に立ち向かう要因になっている。
アメリカや世界が注目しているのも、国民にこんな気概があるからだ。

「中国は教訓を学ぶ必要がある。なぜなら、これまで彼らが我々の価値観やルールに沿わない方法で振る舞うことが許されていたのは~」ということを韓国政府が言うことは期待できない。
「さすがリトアニア!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる! あこがれるゥ!」と思っている韓国人はきっと多い。
まあ事実上の台湾の大使館設置なんて、日本も絶対ムリだけど。

 

 

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外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

ヨーロッパ 目次 ②

ヨーロッパ 目次 ③

ヨーロッパ 目次 ④

 

1 個のコメント

  • > 第2次世界大戦のころにソ連に支配され、リトアニアはずっと屈辱的な立場に置かれていたけど、1990年に独立を宣言する。
    > すると翌年にソ連軍がやってきて、抵抗した市民14人が殺されて700人が負傷した。(1991年血の日曜日事件)
    > だがしかし、リトアニアは負けずに抵抗をつづけて1991年9月6日、ついにソ連に独立を認めさせた。

    ソ連との関係だけが記述してありますが、その他にも、ナチス・ドイツやユダヤ人虐殺に関わっていたことも、省略すべきではないと思います。むしろ、そのように他の強大国との関係で戦乱に巻き込まれたり、誤った思想を国内に拡げてしまったりとか、それを恐れることが大陸中国への反発につながっているのでは。
    また、現在、リトアニアからポーランドを超えた南のベラルーシやウクライナでは、またもやロシアの侵略がありそうなのか? と懸念していることでしょう。危機感はハンパないと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。