先日2月9日に、「蔚山(うるさん)城の戦い」について書いたのデスヨ。
日本(熊本)にある韓国の影響:山城、セロリ、武者返し、蔚山町
今回はそのスピンオフでこの戦いのメインキャラ、加藤清正についての日本と韓国の見方を紹介しようと思う。
二度目の朝鮮出兵(慶長の役)で、いまの韓国・蔚山広域市を制圧した日本軍はそこに蔚山倭城という拠点を築く。
昼も夜もない突貫工事をおこない、城がかなり完成に近づいた1598年の1月、日本軍は約6万人の明・朝鮮の連合軍に包囲されてしまった。
城内の兵士は「オワタ」と思ったかもしれない。
未完成の城には十分な食料がないし、籠城戦の準備もできていなかったから、指揮をとっていた浅野幸長や加藤清正は大ピンチにおちいる。
加藤清正を日本軍で最強の武将とみていた明・朝鮮軍は、城を築くこのときを絶好の好機ととらえ、もし清正を捕らえることができたなら「日本全軍の士気をくじくことができる!」と考えた。
それで大量の兵士が建設中の蔚山倭城へ押し寄せる。
日本は攻撃をしかける明・朝鮮軍を何度も撃退して城を守っていたが、朝鮮半島は日本人にとっては完全なアウェー。
厳しい冬の寒さには耐えられず、食料不足のよる飢えから亡くなる兵が続出。
落城はもう時間の問題だと誰もが思ったとき、毛利秀元や黒田長政らの援軍が駆けつけて敵軍を撃破した。
さらに長宗我部元親らの水軍も到着して、形勢が一気に逆転するというアニメのような展開が始まった。
そして2月9日、日本軍が攻撃をしかけて圧倒的で無慈悲な勝利をおさめる。
さらに日本軍は敗走する明・朝鮮軍を30里にわたって追撃する。明軍の戦死者は無数に及び、追撃戦時における戦死者数は、軍中で隠蔽されているため正確には判らないが、或いは3,000とも、或いは4,000とも云われ、
加藤清正
古くは「火の国」と言われていた地を、現在の熊本に変えたのが加藤清正だ。
関ケ原の戦いの後、現在の熊本の統治をまかされた清正は、茶臼山にあった畏元(くまもと)城を熊本城につくり変えて畏元の地名を熊本にした。
隈にある「畏」には「おそれる」という意味があるから、武将にふさわしくない。そこで清正は強そうな「熊」の字を当てたという。
治水工事や水田開発、南蛮貿易などを行い、長い戦乱で荒れ果てていた熊本を立て直して、豊かな地に生まれ変わらせたことで清正は領民から神のように尊く思われていた。
今でも熊本では親しみや敬意を込めて、「清正公(せいしょこ)さん」と呼んでいるとか。
そういえば、彼を神としてまつる清正公信仰(せいしょうこうしんこう)というのもあったっけ。
(いまでもあるかも)
ちなみに清正が朝鮮出兵のときに、もち米や砂糖などを原料とする飴(あめ)を持って行ったところ、兵士の英気を養うのに役立って重宝したことから、その後は「朝鮮飴」と呼ばれるようになったという。
この朝鮮飴は今では熊本の伝統銘菓になっている。
ただ統治していただけのそれまでの領主とは違い、熊本を開発していまの豊かな熊本に変えたのが加藤清正だから、現地の人たちにとってはまさに恩人であり神。
もちろん加藤清正は日本史に名を残す、勇敢ですさまじく強い武将だ。
朝鮮半島では虎を倒したという伝説がある。
虎退治のことを当時の朝鮮の民衆や兵士が知っていたかはワカランが、とんでもない攻撃力を持つ清正は朝鮮では「鬼(幽霊)上官」と呼ばれ恐れられていた。
清正とは敵に回したら最悪な人物。
朝鮮出兵では日本軍の主力だった清正は韓国でも有名だけど、日本とは正反対でかなり嫌われているらしい。
産経新聞(2017/12/29)
朝鮮を苦しめた「悪役」のイメージが定着しており、名前を韓国語読みにした「カドゥン・チョンジョン」として、韓国の大河ドラマにもたびたび登場している。
2017年の対日「歴史戦」の締めくくり 「加藤清正像」設置騒動のワケは?
日本軍の勇猛な武将は、韓国ではひっくり返って当然ヒールになる。
にもかかわらず、朝鮮軍にとっては負け戦だった「蔚山城の戦い」の跡地に、蔚山市の中区が加藤清正の像を建てることを決めたというからビックリ。
でも完成間近になって、「倭乱を代表する将軍とされる清正の銅像をわれわれが建てるのは、自ら歴史認識を汚す行為だ」といった批判が浮上する。
(ですよねー)
対して中区の区長は「籠城した倭軍が孤立し、14日間水も飲めず苦しむ清正の姿を表現した造形物」だと説明するも「市民情緒」には勝てず、計画は結局なくなった。
それでも、明・朝鮮軍の英雄と一緒に加藤清正の像を設置しようとした中区の発想はすごい。
もともと日本人観光客の誘致を考えてのことだったから、「苦しむ清正の姿」は後付けのリクツだろう。
蔚山市は熊本市と友好都市関係にあるから、ひょっとしたら「清正公さん」と呼ぶ熊本県市民の気持ちを知っていたかもしれない。
日本で豊臣秀吉は英雄でも、韓国では残酷な侵略者。
国を救おうとした安重根は韓国の英雄だけど、日本では伊藤博文を暗殺したテロリスト。
歴史上の人物について、日韓では正反対の評価になるのが当たり前だけど、「観光客誘致」などがからむとたまに一致することもある。
欧米にはない韓国(日本)の敬語文化。“年下のため口”に怒る人
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