2月17日のきょう、グーグルのトップ画面に白衣を着た日本人の研究者っぽい人がいたから、クリックすると、ウイルス学を専門とする医学者の高橋 理明(たかはし みちあき:1928年 – 2013年)が登場。
今日はこの偉人の誕生日だった。
水痘(すいとう)にかかって苦しむ息子を見たことがきっかけで、水痘ワクチンの開発に取りかかって、紆余曲折・艱難辛苦を乗りこえて、高橋は1973年にワクチンを完成させた。
水痘は空気感染して、しかも感染力がすごく強いというやっかいな病気でまさに人類の敵。
でもそれを無効化するワクチンを高橋が開発し、世界保健機関(WHO)にも認められて世界各国で実用化された。
その偉業を記念して「日本ワクチン学会高橋賞」がつくられる。
水痘の患者
今月3日は節分デーで、豆をまいて鬼を追い出す日。
節分には「季節(節)を分ける」という意味があって、江戸時代まではこのころに正月を祝っていたから、冬が終わって新春になるというイメージがある。
寒さのピークを迎えるこの時期を過ぎると、だんだんと暖かくなっていく。
そんな季節の変わり目には変態が出やすい。ではなくて、気温の変化は体調の乱れを招いて病気にかかりやすくなる。
病気の原因がウイルスという、顕微鏡でないと見えないような微細なモノであることを知らなかった昔の日本人さんは、それを目に見えない「鬼」のしわざと考えた。
だから豆をまいて、不幸の原因となる鬼を追い出してその年の無病息災を願うのだ。
「マメ」には「魔滅(魔を滅する)」の意味があるとかですよ。
いまの豆まきは平安時代の「追儺(ついな)」という鬼払いの儀式に由来する。
追儺の様子
風邪ぐらいのちょっとした体調不良や、水痘のような空気感染するオソロシイ伝染病などを含めて、そうした災いの原因を「鬼」と考えた日本人は呪術でそれに対抗しようと考えた。
平安時代の日本人がその効果を期待したのが密教だ。
降雨止雨経典などの呪術的な密典も伝訳された。これらは除災や治病といった現世利益を仏教に対し求める民衆の期待と呼応していたとも考えられる。
仏教では本来的に、病気を治したり寿命をのばしたり、福を招くといった現実的な利益の実現で呪術の力を使うことを禁止していた。
でも人々の熱いリクエストもあって、だんだんそれを認めるようになっていく。
密教はこうした現世利益的で、呪術的な要素の強い仏教だ。
空海がこれを中国(唐)で学んで極めて日本へ持ってきた。
密教の力で病気が治ったかどうかは知らんけど、安心感を与えるとか精神的な支えにはなったはず。最悪、そのまま亡くなったら、仏教僧が心を込めてお経を唱えて、より幸せな来世へ導いてくれただろうし。
平安時代には京都・比叡山延暦寺の座主(天台宗の最高の位)を務めていた僧侶の良源(912年-985年)も、すさまじい法力で病魔を払っていたという。
その良源が鬼の姿になった「角大師」のお札を貼っておくと、疫病神を退けることができると信じられていた。
ということで昔は空海や良源のような仏教僧や陰陽師などの術者が、そして近代になって科学が発達地していくと、高橋 理明のような医学者が病魔や病気と戦って日本人の健康と命を守ってくれていた。
日本の過去を見ると、そんな偉大な先人が山盛りいる。
「日本ワクチン学会高橋賞」という具体的な形じゃなくて、いまの日本人が歴史をふり返り、これまでの日本人の苦労や努力を知って感謝する機会があってもいい。
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