「日本人は前科者」と言う人は、アジアの政治家の声を聞け

 

今月2月24日、ロシア軍がウクライナに対し軍事侵攻に踏み切った。
そのころの各国のトレンドがこちら。

米 ロシアのウクライナ侵攻
英 ロシアのウクライナ侵攻
露 ロシアのウクライナ侵攻
仏 ロシアのウクライナ侵攻
伊 ロシアのウクライナ侵攻
日 ウマ娘アニバ
中 ロシアのウクライナ侵攻
韓 ロシアのウクライナ侵攻
比 ロシアのウクライナ侵攻

これはSNSに流れていたものを拾って貼っただけだから、100%正しいかは分からない。
でも、タイミングの問題もあるだろうけど、ロシアによるウクライナ侵攻より、ウマ娘の1周年アニバーサリーのキャンペーンに注目する日本人が多いことは想像できる。

 

ほかにもいま、日本で注目が集まっているのが憲法9条だ。
たとえば立憲民主党北海道第7区総支部支部長で、9条をダンコ支持する篠田奈保子氏がこんなツイートをした。

「世界的にみれば、日本は過去には、今のロシアのように加害者であったし、今はいわゆる前科者です。
その国が、日本も侵略されたらと被害者的立場で、過去の侵略者に逆戻りするかのような軍事力増強や核武装を今声高に主張することは方向が違う。
憲法9条を世界に広めることこそが日本の役割です。」

いま見たら809件の「いいね」があるから、この議員の支持層にはそれなりに受けていることが分かる。
でも、ネット掲示板に寄せられたコメントを見るとほぼアンチだ。

・東南アジアに対する日本の進軍を加害者だと言ってるなら
当時植民地にしまくってた欧米も同じく9条を導入しなきゃおかしいよな
・で、9条否定のお前らはどうやって日本を守るの?
いざとなったら志願兵として命かけて戦うの?
・戦争経験無いのですが、私も前科者なんですか????
・教室だけの話です。外では通用しません。

公平に反対意見も載せておこう。
自民党の細野豪志議員はこうツイートした。

「論ずべきは、憲法9条があれば日本はウクライナのように他国から攻められることはないのかということ。残念ながら答えはノーだ」

ことしの夏には参院選があることだし、これを機会に憲法9条について改めて考えてみることは国民一人一人にまかせよう。
ここでは過去の歴史を持ち出して、日本を「加害者」や「前科者」と強調する発想を取り上げたい。
あの戦争が終わってから現在までの約80年という時間は、幕末から昭和初期と同じだ。
当時の日本軍が蛮行をしたことは否定できないが、その責任者は裁判にかけられて処刑されるなり相応の処罰を受けている。
なのに、いま生きている日本人に「前科者」とレッテル貼る政治家や、これに「いいね」をつける人たちは、アジアを代表する偉大な政治家の声に耳を傾けた方がいい。

 

1981年~2003年にマレーシアの首相だったマハティール氏は、日本を手本に国の開発を進める「ルックイースト政策」を採用し、マレーシアを「東南アジアの優等生」と呼ばれるまでに成長させた。

 

一度は政界から引退したものの、92歳でまた首相になって2年間政権を率いたマハティール氏。
いま96歳の氏は、一時は危険な状態におちいるもみごとに回復し、今月23日には記者会見を開いて政治活動に復帰する意欲を示した。
マハティール氏の政治思想や手腕に、期待するマレーシア国民の声はいまも根強くあるという。
そしてNHKニュースが言うように、この人物はアジアを代表する政治家だ。(2022年2月24日)

日本の先進的な工業技術などを学ぼうという「ルックイースト政策」を掲げてマレーシアを発展させ、欧米中心の価値観やグローバリズムを批判するなどアジアを代表する政治家として存在感を高めました。

マレーシア元首相 一時危険な状態も回復アピール 復帰に意欲

 

1994年に東南アジアを訪問した村山富市首相が、過去の戦争責任について謝罪すると思わぬ反応が返ってきたという。

マレーシアでは、マハティール首相に「日本が五〇年前に起きたことを謝り続けるのは理解できない。過去のことは教訓とすべきだが、将来に向かって進むべきだ。日本はこれからアジアの平和と安定のために国連安保理常任理事国入りして、すべての責任を果たしてほしい」と求められ、面食らってタジタジとなってしまった。

「アジア人と日本人 大前研一 (小学館)」

 

何という圧倒的正論。
いまから30年前とはいえアジアの政治家にこう迫られて、タジタジとなった日本の首相がなさけない。
アジアの人たちがいま日本に求めているのは、謝罪ではなくもっと別のことだ。

戦後に生まれて、現在を生きている日本人が過去の歴史と無関係とは言わないけど、少なくとも一般国民にその責任はない。
不当な罪悪感を押し付けるぐらいなら、ウクライナ侵攻があっても「ウマ娘アニバ」に夢中になってる方がいい。
幕末に起きたことを取り上げて、昭和の日本人に「加害者」「侵略者」「前科者」とレッテルを貼って非難する発想は完全に間違っている。
こういう人が、「日本が五〇年前に起きたことを謝り続けるのは理解できない。過去のことは教訓とすべきだが、将来に向かって進むべきだ。」とアジアのレジェンド級の政治家に諭されると、きっとまたオドオドする。
憲法9条の理念が大事なことは言うまでもないとして、それを擁護する人がザンネンだと9条に風評被害が出そう。

 

 

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7 件のコメント

  • > 幕末に起きたことを取り上げて、昭和の日本人に「加害者」「侵略者」「前科者」とレッテルを貼って非難する発想は完全に間違っている。

    でも、30年前にはその考え方が多くの政治家、メディア、教育者たちの主流だったのですよ。ちょうど当時の村山首相がマハティール首相に向かって謝罪をした頃には。
    現在では多くの人々がその間違いに気づきました。だけど、今なお頭の中がその当時のままでいる人もいるようですね。特に高齢者を中心に。

  • > 日本も侵略されたらと被害者的立場で、過去の侵略者に逆戻りする

    そんな逆戻りを主張する政治家って、今の日本にいるのでしょうか?
    自国民の安全を守る決意に欠けている政治家に、政治を任せるわけにはいきません。

  • 「前科者」って、現在はNGワードじゃないのですか?
    判決に基づく所定の刑罰を受けた者は、その後は社会的に非難されるべきではないと思いますが。
    ただ現実には、なかなかウワサは消えないし、個人の賞罰履歴もすぐに特定されてネットで公開されてしまうじだいですけどね。このブログも、そのような傾向を助長する側に加担しないよう、できれば諌める側に回ってほしいと思います。

  • <<<篠田奈保子氏
    三浦 淳(新潟大学人文学部)
    「外国では受容者=弟子としてペコペコし、逆に国内では輸入品を振りかざして啓蒙家=教師を気どる——これが明治(建国)以来、日本の二流知識人が一貫してとってきた行動様式だった。 同じ知識階級でも一流ならこういう莫迦な真似はしない。 日本の欠点は欠点として指摘し、しかし対外的にも言うべきは言う。 考えてみればそれは当然のことだが、この当り前のことが一番難しいのが日本の二流知識人なのである。」

    反捕鯨の病理学 (第1回)

  • 三島由紀夫「日本人には威張り、外国人にはヘイコラするというのが、明治(建国)初年の通訳から、戦後占領時代の一部日本人にいたる伝統的な精神態度でありました。 これが一ぺん裏返しになると、外国人を野獣視し、米鬼撃滅のごとき、ヒステリックな症状を呈し、日本を世界の中心、絶対不敗の神の国と考える妄想に発展します。
     外国人と自然な態度で付き合うということが、日本人にはもっとも難しいものらしい。 これが(日教組や野党などに代表される)都市のインテリほど難しいので、農村や漁村では、かえって気楽に珍しがって、外国人を迎え入れます。」
    出典:「不道徳教育講座」(1960年)

  • <<<篠田奈保子氏
    三島由紀夫「日本人には威張り、外国人にはヘイコラするというのが、明治(建国)初年の通訳から、戦後占領時代の一部日本人にいたる伝統的な精神態度でありました。 これが一ぺん裏返しになると、外国人を野獣視し、米鬼撃滅のごとき、ヒステリックな症状を呈し、日本を世界の中心、絶対不敗の神の国と考える妄想に発展します。
     外国人と自然な態度で付き合うということが、日本人にはもっとも難しいものらしい。 これが都市のインテリほど難しいので、農村や漁村では、かえって気楽に珍しがって、外国人を迎え入れます。」
    出典:「不道徳教育講座」(1960年)

  • 三島由紀夫「日本人には威張り、外国人にはヘイコラするというのが、明治(建国)初年の通訳から、戦後占領時代の一部日本人にいたる伝統的な精神態度でありました。 これが一ぺん裏返しになると、外国人を野獣視し、米鬼撃滅のごとき、ヒステリックな症状を呈し、日本を世界の中心、絶対不敗の神の国と考える妄想に発展します。
     外国人と自然な態度で付き合うということが、日本人にはもっとも難しいものらしい。 これが(日教組や野党などに代表される)都市のインテリほど難しいので、農村や漁村では、かえって気楽に珍しがって、外国人を迎え入れます。」
    出典:「不道徳教育講座」(1960年)

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。