【日韓関係】“NATO”の文大統領との虚しい5年間

 

3月1日はマヨネーズの日。
1925年の3月9日、キユーピーが日本で初めてマヨネーズを販売したことにちなんで、ホントは9日だけど、日本初ということで1日がマヨネーズの日になったとか。

日本ではそんな平凡な日が、隣国の韓国にとっては一年の中で最も重要にして神聖な日になる。
というのは約100年前の3月1日、日本統治時代の朝鮮半島で独立運動が起きたから。
これは高校日本史でならうことだから確認しておこう。

三・一独立運動

1919年3月1日、日本の植民地支配に反対し、「独立万歳」と叫んだ朝鮮全土にわたる朝鮮民族の独立運動。ソウルのパゴダ(タプッコル)公園で独立宣言が読み上げられた。朝鮮総督府・朝鮮進駐軍・警察によって鎮圧される。

「日本史用語集 (山川出版)」

独立運動のきっかけになった大韓帝国初代皇帝・高宗の葬儀

 

1918年にアメリカのウィルソン大統領が「十四か条の平和原則」を発表し、これによって民族自決の意識が高まった韓国人らによって、この運動が起こされた。
いまの韓国で3月1日は国家の祝日に定められていて、この日の記念式典で大統領が行う演説はとくに注目される。
ただ北朝鮮の見方は反対で、三・一独立運動を「失敗したブルジョア蜂起」と否定的な評価をしているという。同じ民族の同じ出来事でも、評価はいろいろあるのだ。

さて、ことしの文大統領の演説なんだが、あと1週間ほどで次の大統領がきまるから、文氏にとってはこれが最後の「三・一演説」になる。
任期満了直前の文大統領は日本に対して何を言うのか?
それによって冷凍状態の日韓関係は少しでも解凍するのか?

そんな期待が少しはあったけど、残念ながら文大統領は文大統領のままだった。

聯合ニュース(2022/03/01)

日本に「反省と対話」強調 ツートラック堅持=文大統領

「日本は歴史を直視し、歴史の前で謙虚にならなければならない」と反省を求めた文大統領は、慰安婦・元徴用工問題などでも「日本の心からの謝罪と反省」が必要と言う。
日本に対してはほかにも、

「韓日両国の協力は未来の世代のための現世対の責務」
「困難が多い今、隣国の韓国と日本が『一時不幸だった過去の歴史』を踏んで、未来に向かって協力しなければならない」

といった話をして、「対話の扉は常に開いておく」といつもの決めゼリフでおしまい。

この大統領の演説に対する日本の声は、きょねんの毎日新聞の社説を載せとけば十分だろう。(2021年1月19日)

いずれも具体的な対応は示さなかった。関係改善につなげるためには、行動を積み重ねていく必要がある。

文大統領会見と日韓 関係改善には行動が必要

 

文大統領は昨年1月に行った演説で、日韓関係についてそれまでと違い、一歩踏み込んだ発言をして注目を浴びた。
まず、慰安婦問題の最終的な解決を確認した2015年の日韓合意について、それまでずっと否定的な態度を示していて実質的に破棄したのに、このときになって初めて「両国政府間の公式合意」だと認めた。
元徴用工問題についても「三権分立」を理由にほぼ放置してきたのに、韓国で差し押さえられた日本企業の資産の現金化は「望ましくない」とこの演説でキッパリ意思を示す。

でも口で言うだけで、具体的な対応は何も言及せず。
日本との合意を破って国際法違反の状態を生み出し、日韓関係を戦後最悪にまで悪化させた責任は韓国にあるのだから、まずは日本に納得できる解決策を韓国政府が提示する必要がある。
そうでなければ、韓国を信じて全ての約束を守った日本の立場がなくなるではないか。
「NATO(No Action, Talk Only)」では関係改善にはつながらないから、「行動を積み重ねていく必要がある」と文大統領に求めるのは毎日新聞だけではなく、日本政府や多くの国民も同じだ。

あれから一年、日本は文大統領の現実的で前向きなアクションを期待していたのに、残念ながらことしも、

「韓日両国の協力は未来の世代のための現世対の責務」
「未来に向かって協力しなければならない」

と明るい未来を口にするだけで、「そのために韓国政府はこれをします!」がなかった。
日韓合意を「両国政府間の公式合意」と認めた一年後に、「日本の心からの謝罪と反省」を求めるのが文大統領。「最終的な解決」とはいったい何だったのか。
きょねん日本企業の資産の現金化は「望ましくない」と明言したけど、それだけで中身のある動きはゼロだったから、問題は解決へ向けて1ミリも進んでいない。むしろ時間が過ぎて、深刻な状態になっている。

文大統領はいつもこんな調子だから、数年前から対話のトビラを開けっ放しにしていても、誰も入って来なかった。菅前首相と岸田首相との首脳会談は一度も実現しなかった。
「関係改善には行動が必要」という決定的に重要な点をスルーして、「韓日両国の協力は未来の世代のための現世対の責務」と言われてもいまの日本には響かない。
マヨネーズの特売の方がまだ関心あるかも。
文大統領は結局、最後の演説でも、この5年間を象徴するような空虚で中身のないもので終わってしまった。
次の大統領は「脱NATO」で有言実行をお願いします。

 

 

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2 件のコメント

  • > 「NATO(No Action, Talk Only)」では関係改善にはつながらないから、「行動を積み重ねていく必要がある」と文大統領に求めるのは毎日新聞だけではなく、日本政府や多くの国民も同じだ。
    > 次の大統領は「脱NATO」で有言実行をお願いします。

    いくら現実世界のNATOが、ロシアのウクライナ侵略に対して今は無策であるとは言っても。
    これを文大統領の無能ぶりに例えるのは、ヨーロッパ及びウクライナの人々に対してちょっとどうかと・・・。
    むしろ「OINK大統領」とでも表現する方が的確だと思います。

  • ウクライナはNATO加盟国ではないので、NATOは動けません。
    NATOとして参戦したら、ロシアとの全面戦争になって第三次世界大戦になってしまいますから。
    無策とは違います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。