世界の変わった風習/日本で古墳時代が終わったワケ

 

それまで続いていた伝統や風習を変えるってことは、いつの時代の、どんな国でもなかなか簡単にはいかない。
そんなことが朝鮮日報のコラムに書いてありました。(2022/04/12)

【萬物相】やっとなくなる韓国式年齢

たとえば自由・平等を理念とするフランス革命が起こると、女性たちは「女性がズボンをはくことも許そう」という運動を行ったが、「女性はスカートをはく伝統に従わなければならない」という理由で革命政府から却下された。
ただ、警察の許可があれば、女性でもズボンをはくことができたらしい。
この法律は1800年に制定されて、2013年に廃止されたから「因習をなくすのがどれほど難しいかを示す事例だ」とコラムはいう。

アルバニアには日本語で「血の復讐(報復)」と訳されるジャクマリャの伝統がある。
これは身内を殺されたら、その人間を殺してもかまわないというルールで、「目には目を血には血を」の復讐の習慣だ。
でも無差別ではなく殺害していい人数は決められているし、女性や子供、老人を殺すことは禁止されているという。
現在では法律で禁止されていると思うけど、この血の伝統はまだ完全にはなくなってはいない。

中南米のアステカ帝国では16世紀まで、人間を生贄にして神にささげる風習があった。
15世紀に深刻な飢饉が発生して多くの人が飢え死にすると、神官が「神の怒りを鎮めるために多くの男性を定期的に生贄にささげなければならない」と言いやがったことから、アステカと他の都市国家との間で、神への生贄を手に入れるの戦争、「花戦争」が始まった。
これはコラムにある文。

周辺部族に攻め入って捕虜を捕まえ、太陽神にいけにえとしてささげた後、食べた。スペイン人の征服者エルナン・コルテスが新大陸になかった食用豚をヨーロッパから持ち込むと、やっとその因習はなくなったという。

 

韓国にも変わった風習があって、新年の1月1日になると国民全員が1歳年をとるのだ。
だから12月31日に生まれた子どもの場合、その時点で1歳になり(韓国でゼロ歳はない)、次の日に2歳になる。
5200万人の全国民が同じ日、同じ瞬間に一斉に年をとるという現象が起こるのは世界で韓国だけ。
不合理な面があっても、何だかんだで韓国の人たちはこの因習を続けてきたけど、さすがに21世紀の国際化の時代にこのシステムはふさわしくないということで、もうすぐ廃止されるらしい。

 

フランス女性のズボン、アルバニアの血の復讐、アステカの花戦争、韓国の年齢ときて、最後に紹介するの世界の変わった風習は日本のこれ。

 

画像:地図・空中写真閲覧サービス 国土地理院

 

日本の中学校で英語を教えていたアメリカ人が、「宇宙人が作った鍵穴を見つけた!」と言うから、何のことかと思ったら、生徒の教科書で上の前方後円墳(大仙陵古墳)を見て大興奮したと。
およそ3~7世紀にかけて造られた日本独特のお墓・前方後円墳は、弥生時代の墳墓から発展したもので、丸い部分がお墓(死の世界)、台形の部分がそれと人間界をむすぶ橋と考えられている。
そんな発想から生まれた前方後円墳は、世界で日本だけのものだ。
*朝鮮半島にある前方後円墳は日本に関係していて、韓国の風習ではない。

日本にある前方後円墳の中で最大のものが大阪にある大仙陵古墳で、これは仁徳天皇の陵だそうな。
表面積はクフ王のピラミッドや中国の始皇帝陵を超えて世界最大、日本の前方後円墳界のラスボスといえるのが5世紀に造られたこの大仙陵古墳
こんな巨大墳墓の建設は7世紀になると終了してしまう。
その理由は646年のきょう4月12日、大化の改新の一つとされる「薄葬令(はくそうれい)」が出たから。
この令によって墳陵は簡素化され前方後円墳の建設はなくなっていき、古墳時代も終わりとなる。
大和政権の初めのころは、権力の象徴としてこんなドデカい古墳を造っていたんだが、政権が力を握るようになると、わざわざ巨大古墳を築く意味がなくなるから、前方後円墳は役割を終えてフェードアウトしていった。
ちなみに中国では3世紀の三国時代に、曹操が薄葬令を出している。

フランス女性のズボン禁止やアルバニアの血の復讐と違って、巨大墳墓を建設する風習は日本から割とすぐになくなった。
ぼう大な時間・労力・カネが必要で、「こんなんムダやっ」と考えていた人が多かったと思われる。

 

 

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1 個のコメント

  • > アルバニアには日本語で「血の復讐(報復)」と訳されるジャクマリャの伝統がある。

    これについては、仏リュック・ベッソン監督・脚本、リーアム・ニーソン主演のアクション映画「96時間(原題Taken)」でも取り上げられていましたね。続編「96時間/リベンジ」では、フランス国内で暗躍するアルバニア人身売買組織から誘拐された娘を救出した主人公(元CIAエージェント)が、誘拐犯一味であるアルバニア・マフィアを壊滅させた事に対し、復習に燃えるアルバニア本国の親と一族が主人公とその家族を再び狙うというストーリーでした。あの映画も「犯人はアルバニア人組織」というキーワードが頭に無いと、「どうしてこんな殺し合いを繰り返すのか?」理解が難しいでしょうね。続編映画の末尾に「もうこんな事には疲れた」と嘆く主人公のセリフからその心情が伺い知れます。

    > フランス女性のズボン禁止やアルバニアの血の復讐と違って、巨大墳墓を建設する風習は日本から割とすぐになくなった。(改行)ぼう大な時間・労力・カネが必要で、「こんなんムダやっ」と考えていた人が多かったと思われる。

    この後で仏教伝来とともに大陸から火葬の風習も伝わり、平城京時代の末期には孝謙称徳女帝が天皇として初めて火葬にされています。でも欧米はじめ海外諸国では、「公衆衛生の観点からは火葬が望ましい」とされている都市部においても、今なお土葬にこだわる国の方が多いです。
    日本で葬送の習慣が比較的短い期間でがらっと変わるのは、コスト・労力に対する感覚ゆえでもあるのでしょうが、それ以外に「お上の指図に対して従順な日本人」の特性も関係していると思われます。

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