ことしの春ごろ、東京を旅行したインド人がSNSにこんな写真を投稿した。
ここは千代田区にある「千鳥ヶ淵ボート場」で、桜の時期には行列必至の人気の観光スポットだ。
で、これを見た外国人からは「ここどこ? マジで行きたいんですがっ」とか、「近代的な高層ビルが後ろにあって、なんだか合成写真みたいだ。」といった反応があったほか、
「チョット待ってくれ、彼らはみんなマスクをしてるじゃないか!?」
と驚く外国人が何人かいた。
日本のコロナ対策はわりと成功していて、海外に比べれば1日の感染者数はかなり少ない方なのに、マスク着用率は世界ナンバーワンか、控えめに言ってもトップクラスにある。
フランスの場合、国内の重症者数が約1300人にまで減少したことを受けて、マスクの着用義務はもう現状に合っていないということできのう5月11日に、公共交通機関でマスクをしなくてもいいという発表があった。
一方、5月11日の重傷者数が159人だった日本では、岸田首相が「今の段階でマスクの着用を緩和するのは現実的ではない」と釘をさす。
この発言に分かれるネット民の反応。
・まーた何もしないことを決めてしまった
・マスク着用して経済も回すのが
一番理に適ってるしな。
・そんなの個人の自由やろ
・緩和してもマスクし続ける人多いと思う
・日本以外で今でもマスクマスク言いつづけてるのはテスラぐらいだろ
・別に国が号令かけんでもいいだろ
日本ではちょうどいま、マスク着用をこのまま続ける/見直すの議論が進んでいる。
でも、日本より状況が悪い海外ではもう「マスク・フリー」が常識的だ。
国によって事情は違うけれど、全体的にはフランスのような対応が多く、日本みたいに重傷者159人でも気を抜かないのは例外的。
マスク着用について、日本の海外では考え方にかなりのギャップがあるから、6月から受け入れを予定している外国人観光客への対応でいま政府が悩み中らしい。
読売新聞(2022/05/13)
屋内ではマスク着用を要請し続けるとみられるが、問題は、「脱マスク」が進む外国人とどう整合性を取るかだろう。
マスクとリスク…海外で進む「脱マスク」、国内の着用新指針は?
政府が日本人に屋内でのマスク着用を求めるなら、外国人観光客にも同じように要請するべきか?
たぶん海外では、1日の重症者数が1300人なら、バスや電車でもノーマスクでOKというフランスの対応が現実的で、159人でも「着用を緩和するのは現実的ではない」という日本が非現実的に見える人が多いと思う。
まーお願いしたところで、どれだけの外国人が守ってくれるのか。
知人のアメリカ人は日本に10年以上住んでいて、日本人の考え方や行動パターンについてはかなり知っている(つもり)。
そんな彼でも世界の流れとは逆を行く、日本の“変わらなさ”や鎖国状態には驚いた。
1人なのにマスクをして犬の散歩やウォーキングをする人はよくいるし、マスク姿でバイクを運転していたのはもはやギャグにしか思えない。
日本より感染状況は悪くても「脱マスク」が着実に進む海外と比べると、日本人の慎重さやリスク回避の傾向は際立つ。
日本人にはもともとマスクを着けることに抵抗感がないとしても、やっぱりこれは国民性だろうとアメリカ人はみる。
「いまの日本の状況を考えれば、もう外でマスクを外していいんじゃないの?」という声は、ゴールデンウイーク中に会ったインド人、トルコ人、台湾人からも聞いた。
日本でマスク着用は法的義務にはなってないけど、そういう“空気”はよく感じるらしい。
日本人の国民性については特に離してなかったが、きっと彼らもアメリカ人の意見に同意するはず。
改めて見ると、もれなくマスクをしながらボートをこぐ光景が、外国人の目には異様に映るワケも分かる。
東京や岡山にある「後楽円」は「先憂後楽」という言葉にちなむ。
これはもともとは中国の言葉で、「士はまさに天下の憂に先んじて憂い、天下の楽に後れて楽しむ(国のことを考える立派な人間は誰よりも先に心配して、人に遅れて楽しむ)」という心がけのこと。
世界に先駆けてマスクを着用し、その解放はかなり遅い日本人の慎重さはまさに先憂後楽だ。
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