【騙すアホに信じるバカ】フェイクニュースの実例とやり口

 

ハレー彗星はとても明るく輝くから、肉眼で見ることもできる。
現代では超レアなこの天文ショーも、その仕組みを知らなかった時代の人間には大きな不安や恐怖をよぶ。

 

1986年に撮影されたハレー彗星

 

1910年にハレー彗星がやってきた時には、大気中にガスが充満して全生命体が死ぬかもしれない! と、フランスの天文学者がデタラメな主張をしやがったせいで、人々はパニック状態となる。
ガスマスクの購入に走る人がいれば、ビンに空気を詰めて、ハレー彗星が通過する際にはその空気を吸って生き延びようと考える人もいた。
この混乱をチャンスを考えた悪人は、これでガスの影響を避けることができると傘を売り出す。
そんなモノは偽商品なんだが、そもそもガスが充満して死ぬという話がデマだから、もうどうしようもない。
このときアメリカのある宗教団体は、ハレー彗星による災害を免れるために処女を生贄(いけにえ)にしようとし、警察に止められたという。(ハレー彗星
実際には、何の悪影響を及ぼすことなくハレー彗星は通り過ぎて、人類はいまでもモリモリ元気だ。

 

科学の理解が深まり広がっている現代では、こんな迷信に惑わされることはまずない。
いま問題になっているのが、ネットで広がるフェイクニュースだ。
14世紀の「二条河原の落書」風にいうなら、「近ごろ都に流行るデマ」にはこんなモノがある。

 

 

福山氏はこのとき、安倍政権について「そのこと自身、国民もうんざりしていると思いますし、私もうんざりしています」と述べたのに、 どっかの悪人がNHKニュースのテロップを書きかえて、「仕事をしない無能な野党に国民もうんざり」と言っているようにした。
この虚偽画像が大拡散され、リアルと信じた人が続出していま問題になっている。

 

何かあるたびにフェイクニュースが作成されて、それがネットに浮上し、拡散されて混乱を招く負の連鎖はいつまでたっても終わらない。
2020年にはアメリカ大統領選挙でバイデン氏が勝利したにもかかわらず、それを「ウソ」として、本当の勝利者はトランプ氏だという偽情報がネットで出回った。
いまでも覚えているウソは、

「バイデンが勝ったという虚偽情報を拡散している人は近く逮捕されます。もう警察が証拠を押さえているので逃げることはできません。ご愁傷様です。」

という強烈なもの。

その後、世界がコロナウイルスに襲われると、「コロナはウソ!コロナウイルスなんて存在しない。」というフェイクが拡散して、ワクチンが接種が始まると今度は「ワクチンデマ」が横行する。

「ワクチンを接種すると体に磁石がくっつく」
「ワクチンにはマイクロチップが入っていて、個人の行動が政府に監視される」
「ワクチン成分によって遺伝情報が書き換えられる」

こんなマンガの設定みたいな情報を何度見たことか。

【歴史はくり返す】いまも日本に広がるウイルスとデマ

 

それからトキは流れて、ここ最近はウクライナ侵攻のデマがネットにはこびっている。

「ウクライナ大統領にはコカイン常用による脳障害の可能性がある」
「ウクライナでの民間人虐殺はウクライナ軍のしわざだった」
「ウクライナの学校や病院を破壊したのはウクライナ軍だと国連が確認した」

こんなウソもあれば、「ウクライナ軍と民間人が立てこもっている製鉄所の地下では、人身売買、臓器売買、悪魔崇拝儀式が行われている。」とかいう映画の台本のような話をSNSで見たことがある。

上にあげた米大統領選挙からウクライナ侵攻までの情報には、それを事実と裏付ける“根拠”が添えられていた。
でもそれらは出どころのアヤシイ情報とか、信用できるソースであっても、「仕事をしない無能な野党に国民もうんざり」みたいな加工されたモノでとても信頼できない。

でも、ウクライナ陰謀論を発信する人たちは、

「テレビやメディアはもう報道機関を名乗るのをやめた方がいい。」
「日本には『報道機関』などありはしません。」

とマスコミを頭から否定し、

「これは日本のメインストリームメディアには一切報道されません。」
「彼はクラウドファンディングで真実を取材してるジャーナリストです。」

と自分が提供する情報が真実だと強調する。
これでは、「マスコミで流れているのは大方嘘で、ねつ造されてるんですよ。」と否定して自分の言っていることが“事実”だと言う、知床の沈没事故を起こした社長と変わらない。

ちなみに、フランス人ジャーナリストの「アンヌ=ロール・ボネル」がウクライナの真実を明かしている、てな情報を見たことある人がいるかもしれない。
が、この人はロシアのプロパガンダを垂れ流す要注意人物であることは「Anne-Laure Bonnel」を見れば分かる。

 

トルーマン元米大統領が日本人を「猿」と呼んで、アメリカが日本を「属国」にしているというこの情報もウソ。誰かのねつ造をコピペしただけ。
そう言えば昭和の時代、白米ばかり食べていると頭の働きが悪くなるとか、パン食国民によってこの世界は支配されているとか、そんなアホなことを言ってた日本の学者もいたな。

 

フェイクを流す人は大手メディアをバカにして、「自分こそが真実を知る者」みたいなカン違いがほとんど。
現実世界では強い劣等感を感じていることの裏返しで、こうやって優越感や自己特別感に酔っている。
たくさんの「いいね」や共感の声をゲットできると気分もアガル。
でも、本人の動機はきっと善や正義感だ。
どっかのアホがウソ情報をつくって流し、それを信じたバカが拡散する。
ウクライナが自国民を虐殺している、人身売買や臓器売買をしているとデタラメを言う人は、ハレー彗星のデマを信じてガスマスクを買いに走った人よりタチが悪い。

こういうウソ情報の拡散はSNSを中心に行われているから、「悪の発信基地」にならないようツイッターも動き出した。

日本経済新聞(2022年5月20日)

Twitter、ウクライナ侵攻めぐる誤情報に警告ラベル

こういう防止策をとってもフェイクニュースはなくならない。
真実を“つくる”アホに、ソースも確認しないで拡散させる残念な人はいつの時代でもいるから、情報リテラシーをレベルアップして自分の身は自分で守るしかない。

 

 

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5 件のコメント

  • <<<「テレビやメディアはもう報道機関を名乗るのをやめた方がいい。」
    「日本には『報道機関』などありはしません。」

    …と言いながら、ロシアと中国のメディアは信用する。

  • 日本を含め殆どの西側先進国では、銃器による無差別殺戮犯罪は少ないです。ですが、唯一、米国だけはそうじゃない。米国では、一般国民が銃を所持することが、「国家の横暴に対して個人が対抗できる民主主義の証」として広く認められているからです。(あまり合理的とは思えないが、それが彼ら自身の結論です。)

    一方、「ペンは剣よりも強し」という言葉が象徴するように、世の中から情報を集めて、世の中へ情報を発信する能力も時には強い武器になります。ただしその能力を所有し行使する権利は、これまでは一部のマスメディアや国家・行政機関、出版社、及びそれらで働く人達に限られていました。しかし時代は変わり、今では一般国民も「ネット」という武器を個人が広く所持しており、時には悪用されるようになりました。
    フェイクニュースを世の中へ広めることは「情報拡散」という武器を悪用することであり、現在の米国が銃社会になったのと同じです。武器を手に入れた個人は昔よりも強くなったとも言えます。
    世の中を混乱に陥れないようにするためには、よほど巧妙に規制をかけないと難しいでしょうね。

  • 一方、ソ連に支配されたリトアニアでは、ロシア支持のフェイクニュース対策を徹底的にやっている。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。