外国人が称賛する“日本人の配慮”、実は“ありがた迷惑”もアリ

 

数年前にタイ人、アメリカ人、ネパール人と白川郷を旅行したときのこと。
「自分、お金がありませんっ」と一同が言うから、一泊3000円以下のゲストハウスに泊まることにした。
その翌朝、出発する前に全員が布団をたたみ始めて、上の写真のようにキレイに並べたからビックリ。
彼らの国の宿泊施設に畳みや布団はないから、正確な比較はムリとしても、客が自分のシーツをたたむことはフツウはしないし、部屋で使ったものはそのまま放置しておいて、チップを置いとくほうがホテルはよろこぶし、こっちがフツウだと。

そんな彼らがこんな話をする。

「日本で生活していて、とても素晴らしいと思うことが他者を尊重し敬意を払うことです。このゲストハウスの玄関では、靴がキレイに後ろ向きに並んでいました。どの人もこういうことが自然にできることは、我々にとっては驚くべきことです。」

よく分からないけど、もう永住権を与えてもいいのでは?

母国の、特に安いゲストハウスだったら、宿泊客が自分の出したゴミを部屋のゴミ箱に入れておいたら上等で、ペットボトルやポテトチップスの袋が床に転がっていてもおかしくない。
タイ人だったら、靴を一列に履きそろえるなんてことはない。サンダルならいいけど、人気のスニーカーや高級な革靴だったら、盗まれないように部屋へ持って行くと言う。

 

 

 

「配慮と気づかい」

このときいた外国人にとっては、それが日本人の考え方や行動をあらわすキーワードだった。
その基になっているのは教育で、朝起きたら布団をしっかりたたむことは、学校の旅行や合宿で日本中の人たちが学んだはずだ。
だがしかし、実はこれは客の自己満で、旅館にとっては“迷惑行為”だったらしい。

『まいどなニュース』(5/22)

「布団はたたまない」が旅館のマナー 「大変だろうから」の親切心…実はスタッフの手間増やすありがた迷惑

ある旅館がSNSで、布団をたたまないで下さいとお願いをして注目を集めた。
その理由はこうだ。

「気遣いや礼儀で畳んで帰る方が多いのですが清掃スタッフは『忘れ物がないか確認する』し、『洗濯するのにシーツ剥がす』ので畳んであると広げ直しているのです。広げたままでお客様とスタッフも楽になるお願いです。」

このメッセージには、

・なるほどー。なんで畳むのがいいって理解してたんだろー。
・知らなかった!有益!

と納得する人もいるけど、見たところ、反感をもつ人の方が多い。

・旅館のためにやってないから
スッキリした気持ちで旅先を出発したいんだよ
・敷きっぱなしだと荷物まとめるのに邪魔なんだよ
・手間を増やすなっていいたいわけかよ。
・あの畳んだ布団にもたれてチェックアウトまでテレビ見るまでがデフォじゃね?

 

こうなるとアメリカ人やタイ人が称賛した「配慮と気づかい」という日本人の美徳は、旅館にとっては実はありがた迷惑で、“使いっパ”にする外国人のやり方がいいらしい。
さらにチップを置いていくと神。
ロシアの軍事侵攻を受けたウクライナに、千羽鶴をつくって送ろうという運動よりはマシとしても、他者を思っての行動が、実は自分を満たすためのものではないか確認した方がいいらしい。

 

 

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1 個のコメント

  • > ある旅館がSNSで、布団をたたまないで下さいとお願いをして注目を集めた。
    > 「気遣いや礼儀で畳んで帰る方が多いのですが・・・

    そりゃ理屈としては分りますよ。
    でもねぇ、自分達がそれまで寝ていた布団をよく見えるように拡げたまま帰るなんて・・・。猫トイレ以下の所業じゃないですか。絶対に無理!

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。