学校の「ブラック校則」、日本人や外国人から見た問題点

 

日本の古くて新しい話題が「ブラック校則」。
集団行動がキホンの学校で規則やルールを求められるのは当然だとしても、なんでその髪型・服装・行動がダメなのか、イマイチ合理的な理由が分からない。
それで理不尽に思いながらも、「規則は規則」という絶対的なルールに従っていたという人は昔から日本中にいる。
でも最近はそうした謎規則がフォーカスされ、「ブラック校則」というパワーワードで呼ばれるようになり、メディアやネットでたたかれて校則もどんどん変化しているし、内部から変えようとする動きも出てきた。

毎日新聞(2022/07/01)

ブラック校則、教員も「おかしい」 靴下自由、靴は?手探り変革

岐阜県にある中学校では「自分たちの生活を見つめ直してはどうか」と校長が生徒に提案した。
それがきっかけで生徒会を中心に議論が行われて、これまで白色だけしか認められていなかった靴下は黒と紺色もOKとなる。
かといって何でもOKにすると、『北斗の拳』の世紀末世界になってしまうから限度はある。
この学校の場合、靴下の選択肢は広がったけど、頭の両サイドを刈り上げて上の髪は伸ばす「ツーブロック」は禁止のままだ。

「OK/NG」の基準は同じ県内にあっても学校ごとに違っていて、岐阜県にある別の中学校では「ツーブロック」が解禁された。
ほかにもジャージ姿で登下校したり、授業を受けることができるように校則を変えた学校もある。
授業は制服で受けないといけない、という規則に”ブラック”を感じる生徒や教員がいたらしい。

上の記事によると、校則が厳しくなったのは1980年代、非行や校内暴力などの学校のトラブルが社会問題化したころ。
そのころは髪型から靴まで学校が管理・規制して、非行の芽を摘むことにやっきになっていた。
3~40年前には有効だった規則でもいまは状況が変わって、意味や効果がよく分からなくなったモノもあるから、それが近ごろの校則見直しや、ブラック校則の撲滅運動につながっているらしい。
ウィキペデアには「不合理な校則に関しての疑問を呈する動きは、1980年代から始まっており」(校則問題)という説明があるから、校則が厳しくなると同時に、それへの疑問や反発も生まれたということだろう。

 

時代や社会の価値観が変わったから、もうその校則は廃止/変更しようという問題提起は、以前から日本に住んでいる人の発想だ。
最近では外国人やハーフの子どもも入学してくるから、日本の文化圏の外側の視点から校則の見直しを迫られることも増えてきた。
たとえばこんなケース。

 

 

まったく知らなかったが、黒人の髪は性質上、三つ編みしないと傷みやすくなるらしい。
そんな事情を学校側に伝えたところ、三つ編みは原則禁止だけど、2本まではOKになり、その後4本まで許容範囲が広がった。
でも、「三つ編み禁止」の規則が納得いかないから、いまも”闘争中”らしい。
学校側の説明がないから、このへんの事情がよく分からない。
おそらく初めての事例だから、学校も手探りで対応していると思われ。

このツイートには、黒人とのハーフの子どもがいる親から面白いコメントがあった。
その親も同じように学校での「髪問題」に悩まされていたから、子どもの縮毛を美容室で矯正してストレートにしたという。
その学校は校則でパーマを禁止しているのに、髪を真っ直ぐにする縮毛矯正(パーマ)ならOKらしい。

 

知人のアメリカ人が日本の中学校で英語を教えていたとき、まったくもって意味不明な校則があったから、同僚の日本人の先生にそのワケをたずねてみた。
すると、「出る杭は打たれる」ということわざを知って本当にウンザリした。
その日本人教員も意味や目的はよく分からないが、おそらくほかと違って目立つ生徒がいると、いろいろと面倒くさい問題が起こるから、そうなる前に校則でその芽を摘んでおこうという考えではないかと言う。
そのアメリカ人は、子どもを均質化しようとする発想が大嫌い。
これまでこの学校で感じた不満をふり返ってみると、それは「出る杭は打たれる」が理由になっていることが分かって、ある意味よく納得できた。
かといって、アメリカ式の教育が日本の社会に合わないことも分かっていたから、これだけで日本の教育を否定することはない。

 

校則でパーマを禁止していても、黒人やハーフの生徒が”日本人っぽい外見”に近づくのなら、パーマをしてもOKということだろう。
日本人の生徒には、ほかとの違いを出さないように校則を厳しく守らせる一方、外国人の生徒には、それで目立たなくなるのなら校則を破っても見逃される。
「出る杭は打たれる」の原則が最優先されるから、日本の学校にこんな二重基準があってもおかしくないと思う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。