つい先日、「ミシュランガイド京都・大阪2020」が発売された。
そのお値段は¥3,498と、ファミレスのランチなら5回ぐらいは食べられる一品だけど、食にかける日本人の情熱の前ではもはや無意味。
評価はミシュランの覆面調査員によってきまり、ビブグルマン、一つ星、二つ星、三つ星と4段階がある。ちなみにミシュラン日本版の調査員は日本人らしい。
この情報をどのぐらいの人が必要か分からないけど、名誉ある三つ星に選ばれた京都の三つ星店は以下の8つだ。
飯田、一子相伝なかむら、祇園さゝ木、菊乃井本店、兆嵐山本店、瓢亭、前田、未在
くわしいことはここをどうぞ。
大阪の三つ星はこの3店。
「柏屋」(吹田市)、「太庵」(中央区)、「Hajime」(肥後橋)
この結果に日本ミシュランの社長は、「京都・大阪は美食の都市」と絶賛していたとか。
でネットの反応は?
・近所のラーメン屋のチャーハンが一番美味い
・外人さんがやかましいこと言うてはりますな
ちゃんとした店はそんなところに載りませんわ
東の方だとちゃうんですやろうけどね
・1日10人とかしか取らない店とか載せる意味なくない
・東京で旨いな、って思う店の主人は
よくよく聞いて見れば大阪出身だったりする
・食べ歩き好きなら自分で開拓しろよ。
ミシュランといえば世界的なタイヤメーカーだけど、こんなグルメガイド本も出している。
タイヤを売るには消費者に車を走らせてもらう必要がある。
それで会社の宣伝もかねて、自動車旅行者に役立つガイドブックをつくることにしたのだ。
メーカーは製品と顧客を創造しないといけないのはどこの世界も同じ。
1929年(昭和4年)のミシュランガイド
上の3つ星店のうち、日本料理が10店で大阪のHajimeだけは「イノベーティブ」。
「ああ、確かにあの店はセンシティブでイノベーティブだな」と思ったあとに、イノベーティブの意味がわからないことに気づいた。
それでチョイと調べたら、これは以前「フュージョン」と呼ばれていたカテゴリーの料理で、国境を越えた新しいスタイルの料理をイノベーティブ(革新的)と呼ぶらしい。
当たり前だけど日本はやっぱり和食・日本料理が強い。
それと同時に新しいジャンルでも成功を収めている。
外国人に日本の印象を聞くと、「日本には新旧のまったく違う面がある」なんてことをよく言う。
つまり伝統的なものと革新的なものが同時に存在しているのだ。
あるアメリカ人は、ウチの国には五つ星ホテルもゲストハウスもあるけど、温泉旅館とカプセルホテルがない。だから日本では両方泊まりたいと言う。
またある中国人は秋葉原のメイドカフェで飲み物を飲んだあと、明治神宮に行って厳かな結婚式が行われているのを見た。
電車ですぐのところなのに、世界がぜんぜん違う。その中国人にとっては、このギャップが日本のユニークさであり魅力でもある。
ことし9月に東京を訪れたリトアニア人は、本当は桜が見たかったけどそれは無理だから、お台場のデジタルアートミュージアム「チームラボ ボーダレス」へ行ってきた。
「そこは魔法のようなところで、まるで別の星に来たみたい」とブログに書いている。
「it’s a magical place, you feel like you came to another planet there」
リトアニア人から「これは桜?」と聞かれたけど、たぶん違う。
「世界最古の国」とも言われる日本の特徴は、大正時代に来日したフランスの社会人類学者レヴィ・ストロースのことばに集約されている。
私が非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということです
「日本賛辞の33撰 波田野 毅(ごま書房)」
新しいものや革新的なものの背後には長い伝統の積み重ねがある。
明治の日本を訪れたチェンバレンはこう言った。
偉大なる歴史上の変化というものは、決して一朝一夕にできるものではない。そして、過去にしっかりと根をはっている国民のみが、将来において花を咲かせ、果実を結ぶことを、日本の場合も立証している。
「逝きし日の面影 渡辺 京二(平凡社)」
3つ星11店のうち、日本料理が10店でイノベーティブが1店というのは本当に日本らしい。
でもイノベーティブの店がもう少し増えてもいいとは思う。
まあ1店でも100店でも行かなかったら同じけど。
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