以前、日本の学校で英語を教えていて、いまはソウルに住んでいるアメリカ人が知人にいる。
日本と韓国のことをよく知っていて、反日や嫌韓の感情はなく、どっちも好きで中立的な立場の彼女と話をしていたとき、日韓の違いや似ている点について聞いてみた。
するとこんなことを言う。
「そういえば韓国のスーパーやコンビニでは、日本のお菓子とパッケージや中身がソックリなものがあって驚いた。そういうお菓子を見かけると、なんか懐かしい。こういうとき、日本と韓国はすごく近い国だと感じる。」
そのアメリカ人が「初めてなのに懐かしい」と思ったお菓子のひとつがコレだ。
エビ(セウ)と煎餅(カン)をくっつけたと言われる「セウカン」は、おそらく韓国初のスナック菓子でいまでは国民的菓子として愛されている。
日本の「かっぱえびせん」が発売された1964年の7年後、1971年に韓国企業の「農心」が発売した商品で、原材料や製法、形やパッケージまで、まな/かな、ラム/レム以上にソックリだということで、ずっと前から日本では「パクリ疑惑」が指摘されてきた。
それでネットでは、「やめられないし止まらないのはパクリですか」と揶揄(やゆ)されることがある。
これについては知人の韓国人も、「擁護できません。あれは日本のマネしましたね」と素直に認めた。でも、「もう昔のことですから」とスルーを求める。
韓国へ行った日本人がセウカンを見てビックリしたり、または逆パターンで、韓国人が日本で驚いたという話は何度か聞いた。
日本のものとよく似た韓国のお菓子は、ポッキーとペペロ、ハイチュウとマイチュウ、おっとっととゴレパプなどなど、ネットで検索すればいくらでも出てくる。
日本統治時代に伝わった「たい焼き」をルーツにもつ韓国のプンオパン。
プンオは魚のフナで、それにパンを組み合わせた「プンオパン」(フナ焼き)はいわばタイ焼きの韓国版だ。
たぶんそのプンオパンから進化(または退化)したのが、ソウルの仁寺洞(インサドン)にあったこの「うんち焼き」。
韓国語で「トンパン」と呼ばれるこの一品は、直訳すると「うんちパン」で日本では一般的に「うんち焼き」と呼ばれている。
このとき一緒にいた2人の韓国人のうち、男は「面白い発想じゃないか!」と好意的で、女性は「最悪。外国人がたくさんいるこのエリアで売ってほしくない」と冷めた目でホカホカのトンパンを見る。
閑話休題。
ソウルにいるアメリカ人がまったく別の機会にSNSへ投稿した写真にも、きのこの山の韓国版「チョコソンイ」が映り込んでいた。
こうした偶然とは思えない、日韓の類似菓子についてそのアメリカ人はどう思うのか?
彼女にとっては、どっちが本家でパクリかということはマジでどーでもいい。
韓国に住んでいて、とつぜん日本を思い出させてくれるのはうれしい喜びだし、やっぱり日韓は近い国だと改めて感じると、どちらかというと肯定的に見る。
日本では「パクリ菓子」とネタにされていて、一周回っていまでは、農心ジャパンが「辛いえびせん」という名前でセウカンを日本でも発売しているから、もう日本人もあまり気にしてないのでは?
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