今週の月曜日、7月18日は「海の日」の日だった。
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」というマジで日本らしい日で、『海の日』を国民の祝日としている国は世界で日本だけ。
そんなめでたい日の数日後、あるマダガスカル人がSNSに、
「私たちの魚取らないでください😭😭😭😭😭」
と、日本に涙のメッセージを発しているのを見た。
日本が東アフリカのマダガスカル人に、こんな悲しい思いをさせた出来事とは一体なんなのか?
それはコレだ。
マダガスカル語だから、これを読める日本人はウルトラ激レアだと思う。
でも、「Japan Tuna🇲🇬🇯🇵 」とあるから、これはマダガスカルと日本の「ツナ(マグロ)」に関することだと想像できる。
マダガスカル人に話を聞くと、日本の会社がマダガスカルの海で2年間、自由にマグロを獲ることができる契約を当局と結んだから、これは“悲報”だと。
日本人の魚好きは世界的に有名だ。
ドイツやベルギーのサッカーリーグで活躍した日本人選手は、称賛と驚きの気持ちを込めて現地で「スシボンバー」と呼ばれることがある。
知人のドイツ人はこの言い方を日本人に失礼だと思って嫌っているが、日本についてヨーロッパ人が真っ先にイメージするのはスシだから、「スシボンバー」には分かりやすさや親しみがあるらしい。
寿司の中でも日本人に大人気のネタは「トロ」。
トロはクロマグロから取れて、日本人は世界のクロマグロの8割近くを食べている。
日本人がマグロを食ってきた歴史は古く、縄文時代の遺跡から食用とみられるマグロの骨が出土したし、『古事記』や『万葉集』にも登場している。
寿司ネタになったのは江戸時代だけど、マグロの寿司の人気が出てきたのは実は近年になってからだ。
「マグロ」の名前は、この魚の目が大きくて黒いこと(目黒:まぐろ)に由来するという説がある。
でも最近では、日本近海で獲れるマグロの数は激減中。
マグロの”聖地”の大間では40隻ほどの船が漁に出て、たった4本のマグロしか獲れなかった日もあり、漁師たちは悲鳴を上げている。
そこで水産庁が罰則付きの規制を定めると、その内容をめぐって、漁師の間では不満の声が高まっているらしい。
マグロは大きくなるのに時間がかかったり、皮膚が弱く小さな傷で死ぬこともあって、卵から成魚まで育てる「完全養殖」の技術は日本にはまだない。
日本人のマグロ需要は高いけど、供給はむずかしい。
となると、たぶん日本の規制は及ばないから、海外の海でマグロを獲ろうという発想が出てくるのは必然だった。
マダガスカルの海が選ばれたのもそういう理由だろう。
ただ、マダガスカルの漁業は古典的で、日本のような高性能の船も機器も無い。
だから日本がホンキになれば、マダガスカルの漁師が大打撃を受けることが予想される。
それで、今回の日本との約束は受け入れられず、マダガスカルの魚はマダガスカル人のものと考える人が反発していて、このような決定には住民投票が必要と訴える人もいる。
「私たちの魚取らないでください😭😭😭😭😭」と訴えたマダガスカル人に聞くと、彼女はマダガスカルの漁師の漁獲量が減ったり仕事がなくなることに不安を持っていて、この契約で政府の役人が金持ちになることに怒っていた。
だから、日本企業がマダガスカルの魚を獲ったとしても、現地の漁師の生活をそれなりに保障してくれたら問題ない。
根本的な問題はマダガスカルの資源を売り渡して、私腹を肥やす政治家にあるという。
かといって、日本人がマグロを食べるのはやめられないし、止まらない。
スーパーやすし店にある寿司の背景はかなりグローバルで複雑だ。
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