マダガスカル人の話:日本について・魔除けの文化・キリスト教

 

アフリカ南東部に、世界で4番目に大きい島を中心とするマダガスカルという島国がある。
日本とはほとんど縁がなくて、「首都の名前はいったい何でしょう?」なんてクイズはもはや自己満足で反感を買うレベル。
そんな国でもアニメやマンガから日本に興味を持ち、日本語を勉強しているという素晴らしい人(20代の女性)がいて、このまえ話をしたので今回はその内容をシェアしようと思う。

 

 

マダガスカルってこんな国

面積:587,295平方キロメートル(日本の約1.6倍)
人口:2,697万人(2019年)
首都:アンタナナリボ(Antananarivo)
*「アンタ」と「リボ払い」と手がかりに覚えてもすぐに忘れてしまう。

民族:アフリカ大陸系、マレー系、部族は約18(メリナ、ベチレオ他)
言語:マダガスカル語、フランス語(共に公用語)
宗教:キリスト教、伝統宗教、イスラム教

以上の数字は外務省ホームページ「ダガスカル共和国(Republic of Madagascar)基礎データ」から。

 

・日本について

日本を紹介するユーチューブ動画をよく見ている。
いろいろな変わった食べ物があって、東京とか大阪とか、ビルが林立する大都市がいくつもあってすごく発展している。
マダガスカルには肉を生で食べる文化はないから、寿司は日本らしいユニークな食べ物だと思う。こちらでは中国人が経営する料理店にスシがある。

日本人については礼儀正しいし、マナーも良いと外国人がみんな言う。
ネガティブなことだと、日本はほとんど日本人しかいない国だから、外国人はマイノリティーとして居場所がないとか、差別を受けているということを聞いた。
最近見た動画では日本に住む日本人と黒人のハーフの人が、日本で生まれて日本国籍もあるのに、肌の色の違いから学校で無視されたり、いじめられると話していた。
差別はマダガスカルにも、以前住んでいたフランスにもあったし、世界中の国がかかえる病気だ。

 

・魔除けの文化

マダガスカルには迷信を信じている人がたくさんいる。
それで魔除けとして、「Vangovango」(ファングヴァングと聞こえた)と呼ばれる腕輪や首飾りをする人もいる。
Vangovango の意味は分からない。
この国では呪術師(シャーマン)がいて、魔法で悪霊や悪い精霊を動かして人に呪いをかけたり、不幸なことを起こさせる。
自分は直接見たことはないけれど、呪いをかけられた人の話はよく聞く。
悪霊か精霊に身体を支配された女性が急に服を脱き出して、全裸になって街を歩くとか、職場で突然わけのわからないことを言い出すといった話を聞くと震えた。

コモロには霊や精霊をあつかうシャーマンがいて、マダガスカルの人たちはとても恐れている。
そんなコモロのシャーマンを怒らせた人がいた。
そのシャーマンは魔法を使ってその人に霊を憑依させて、車も家も、すべての持ち物を差し出させたという。
Vangovango には弱い悪霊や精霊を払う力があるけど、シャーマンが使役するようなレベルのものは防げないと思う。
みんな「ないよりマシ」といった気休めで身につけていると思う。

 

・マダガスカルのキリスト教

自分はキリスト教徒だから Vangovango の力は信じていない。
でもオシャレだし、アクセサリーとして気に入っているから腕につけている。
キリスト教徒ならそういう道具ではなくて、神に祈って守ってもらうという考え方がフツウ。
マダガスカルのキリスト教には、土着の伝統信仰が入り混じっているから西洋のキリスト教とは違う。

迷信を信じている人が多いから、プロテスタントでも魔除けとして十字架のネックレスを首にかけたり、部屋に置いてある人がいる。
(これは欧米ではふつうはカトリック教徒のすること)
自分の家もプロテスタントなのに、あるとき仕事から帰ってきたら、家の入り口のメールボックスにマリアを描いたメダルがテープで張り付けてあった。
こういうことをするのはカトリックで、プロテスタントの人がするのは変だけど、母は悪霊や精霊が家に入って来ないように、魔除けとしてこんなメダルを付けたらしい。
母親の世代ではキリスト教をメインとして、いろいろな信仰を取り入れているような人がよくいる。

 

この呪術師は霊と交信することができる(らしい)。
村人はこうした呪術師を通じて先祖の霊から、病気の治療、不妊症、悪魔払い、家を建てる時期や場所などのアドバイスをもらう。
壁には聖書の一節が書かれているしキリストっぽい像も置いてあるし、いろんな信仰がミックスされている。

 

 

 

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1 個のコメント

  • > そのシャーマンは魔法を使ってその人に霊を憑依させて、車も家も、すべての持ち物を差し出させたという。

    貢ぎ物(?)のリストの最初に「自動車」が上げられているところが何とも・・・。
    シャーマンだっていちいち歩いて出かけるのは面倒だろうから、そりゃ自動車にも乗りたくなるでしょうね。
    シャーマンの自動車は「自動運転機能付き」なのかな?

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。