4月8日は、何の日か知ってますか?
答えはお釈迦(しゃか)さまの誕生日。
お釈迦さまといえば仏教を始めた人(開祖)で、世界三大聖者のひとりでもある。
まあシャカという言葉は、インドの部族のことなんだけどね。
辞書(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)を見るとシャカ族とは「古代北インドの部族。ブッダがこの部族の王族の子として生れたことで知られる。」と書いてある。
日本で4月8日は、お釈迦さまの誕生日を祝う「花まつり」の日になっている。
日本仏教協会のホームページをのぞいてみよう。
お釈迦さまの誕生日である4月8日を中心に、寺院や地域で開催される花まつり・春のイベントを紹介します。たくさんの花々で彩られた全国寺院に足をお運びください。
日本の仏教には、曹洞宗・臨済宗・浄土宗などいろいろな宗派がある。
でもお釈迦さまはすべての宗派にとって大切な人だから、花まつりの日には宗派のちがいを超え、日本の仏教界全体でお祝いをしている。
でも仏教徒の日本人で、4月8日がお釈迦さまの誕生日だということを知っている人はどれだけいるんだろう?
本当に少ないと思う。
そのことに怒っていたインド人がいる。
それでなぜか、インドでボクが彼に怒られた。
今回は、そのインド人が日本人に感じている怒りについて書いていきたい。
インド人は日本人のどんなところに不満なのか?
インドを旅したとき、「ブッダガヤ」という仏教の聖地へ行った。
ここはお釈迦さまが悟りを開いたところで、世界中の仏教徒にとって最高の聖地のひとつになっている。
キリスト教徒にとってのエルサレム、イスラーム教徒にとってのメッカのようなところ。
ブッダガヤ
インド北東部、ビハール州の古都ガヤの南方にある仏教の聖地。釈迦(しゃか)が悟りを開いた地とされ、紀元前3世紀頃にアショカ王が建立した寺院を起源とするマハーボディ寺院(大菩提寺)がある。
(デジタル大辞泉)
この地図だと、北海道の東の「角」のところにブッダガヤがある。
ブッダガヤで日本人の旅行者と日本語ガイドのインド人と出会う。
そのインド人は日本に住んでいたことがあって、日本語がうまいし日本の社会や日本人のことを知っている。
3人で話をしていたとき、そのインド人が日本人に対する不満を言いはじめた。
「日本人は私がインド人だと知ると、すぐタージマハルのことを言います」
だろうね。
日本人にとってタージマハルは、インドのシンボルみたいなものだから。
日本で、「インドといえばタージマハル」というイメージはかなり強い。
「エジプトとピラミッド」、「中国と万里の長城」みたいなもんだ。
「私が日本にいたとき、『私はタージマハルに行ったことがありません』と言うと、日本人はみんな驚きます。すぐに『え?なんで?』と聞きます」
日本人「あるある」だ。
これとまったく同じ話を、ケーララ州出身のインド人からも聞いたことがある。
彼女は日本の中学校で英語を教えていた。
彼女もタージマハルを見たことがない。
上の地図では、インドの南端にケーララ州がある。
タージマハルがあるアグラはジャイプルの右下にあって、ケーララからはかなり遠い。
そのインド人も、学校の生徒や先生から「なんでインド人なのに、タージマハルを見たことがないの?」という質問を何度もされて辟易していた。
話をブッダガヤのインド人にもどす。
「日本人なら、まずはブッダガヤに来ないとダメですよ。仏教徒なんだから。タージマハルやデリーはその後でいいんです」
すべての日本人が仏教徒ではない。
なんて細かいことはいいとする。
インド人はこんな感じの話し方をする人が多い。
「~と思う」という控えめな言い方ではなくて、「~だ」「~で問題ない」と、断定したり言い切ったりすることがよくある。
インド人にとってはそれがふつうの言い方なんだと思う。
でもその言葉を聞かされる側からすると、「押しつけられてる感」を感ることがある。
とくに日本人は、インド人と話をしていると‘圧力’を感じると思う。
ここでそのインド人が怒り出す。
「私はね、日本人に腹が立つことあるんです。なんで仏教徒の日本人がクリスマスを祝って、お釈迦さまの誕生日を祝わないのですか?」
なんで仏教徒の日本人がクリスマスを祝うのか?
そんなことはずっと前からいろいろな人が言っている。
でも街がクリスマスモードにつつまれると、気持ちが高まるのだから仕方がない。
「クリスマスはキリストが生まれた日じゃないですか。仏教徒には関係ないですよ。私は今までに、たくさんの日本人に質問をしました。でも、4月8日がお釈迦さまの誕生日だと知っている日本人は本当に少ないですよ」
少ないだろうね。
クリスマスに比べたら、「ほとんどいない」って言ってもいいぐらいだ。
それに4月8日は時期が悪い。
4月は花見のシーズンだし、入学や入社でみんな忙しい。
だからどうしても、お釈迦さまのことを思いだす余裕がない。
インド人の怒りは続く。
「仏教徒がキリストの誕生日を祝うけど、お釈迦さまの誕生日は知らない。これはどんなことか分かりますか?」
そう言ってボクら2人をジロリと見る。
「これでは愛人や浮気相手の誕生日を祝うけど、自分の妻や恋人の誕生日は忘れているようなものです」
そういうたとえは初めて聞いたが、なるほど間違ってはいない。
「これではお釈迦さまも怒りますよ」
かもね。
でもアンタがブッダガヤで怒っていても、日本はなんも変わらんよ。
*インドではクリスマスを祝うのはキリスト教徒だけだという。
ヒンドゥー教徒やイスラーム教徒はとくに何もしない。
外国人の客が多いホテルやレストランでは、クリスマスの飾りつけをするぐらい。
おまけ
この記事を書くために仏教のサイトを見ていたら、禅宗のお坊さんが仏教をわかりやしく説明しているブログを見つけた。
そのなかで、お釈迦さまが生まれた時に言った言葉を紹介している。
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」
これは有名で大切な言葉だから覚えておいて損はない。
それを紹介してこの記事を終える。
これはこの世で俺が一番偉い!
なんて自己中心的な考え方とは実は真逆の教えでして
この世の生けとし生きるものは皆かけがえのない存在である!
だから皆尊いのである!!
「唯我独尊」といっても「自分が世界でナンバーワンだ!」ということではない。
人間はそれぞれがオンリーワンだから価値がある、ということらしい。
なるほど。
合掌。
合掌ができません。
タイのアユタヤ。
おまけ
ちなみに韓国ではシャカの誕生日は祝日になっている。
でもって、けっこう盛大にシャカの誕生日を祝っている。
韓国に住んでいる日本人のこのブログにその様子がくわしく書いてある。
これは韓国の放送局SBSのニュース映像
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