【韓国の夏】暑い伏日には犬肉だっ!が最近はサムゲタンへ

 

7月22日の午後3時のいま、ネットを見ると、日本では最高気温が34℃を超えたところもあって、熱中症は危険レベルにあるという。
そんな猛烈な暑さは隣国も同じ。
韓国では一年のうち最も暑くなる7月~8月に、3回の伏日(ポンナル)という日がある。
初伏(2022年は7月16日)に始まり中伏(7月26日)をへて、末伏(8月15日)までの期間は三伏(サンボッ)と言われる地獄の暑さになる。
そんな夏の暑さに負けず、体調を崩すことなく乗り切るためにはどうすればいいか?
それには、食べると体中の精力がみなぎるような「元気はつらつオロナミンC」的なものを食べればいい。ということで韓国では伏日の日には、夏のエネルギー補給として犬肉を食べる風習があった。
”あった”というのは、これはほぼ過去形だから。
最近の韓国では犬肉食を伝統文化と考える人が減ってきて、欧米から非難されて「国の恥」と思ったり、犬を人間の友だちや家族のようにみる人が増えたことで、犬を食べることは野蛮な風習だとぶっ叩かれて、社会から犬肉を出すお店が消えつつある。

特に若い人たちがこの習慣を嫌悪する。
ただ、これを無くすことでは一致していても温度差はあって、20代だった知人の韓国人には、「犬肉なんてありえない。即刻無くすべき」という即断即決の人もいれば、「それで生活してる人もいる。仕事をいきなり奪ってはいけないから、徐々に店をなくしていくべきだ」というマイルドな人もいた。
全員一致で非難したのは、犬の残酷な殺し方だ。
食肉にするには犬の命を奪わないといけない。
それで感電死や首吊りによって窒息死させたり、殴り殺して屠殺する場合があるし、ほかにこんなやり方も。

一部のイヌは、毛皮を取り除くためにブロートーチされ(blow-torched)、あるいは生きたまま沸騰水に投げ込まれる。

大韓民国における犬肉の消費

 

いまなら60代になっている韓国人の日本語ガイドは、むかしは伏日に、犬を袋に入れて木にぶら下げたあと、棒でたたきまくって殺して食べたと話していた。
そんなことは昔は全国的にあったらしく、韓国語には「伏日に犬を殴るように」 という全日本人がドン引きするような言葉がある。

最近は動物愛護運動が盛んになってきたこともあって、伏日(ポンナル)に犬肉を食べる人は減少中だ。
近ごろの主流は「参鶏湯(サムゲタン)」で、SNSには「きょうは伏日です。だから○○店でサムゲタンを食べてま~す。人いっぱい」といった投稿をよく見る。
同じく鶏料理のタッカンマリを食べる人も多い。
いま犬肉スープの「補身湯(ポシンタン)」をSNSにアップしたら、きっと「伏日に犬を殴るように」袋叩きにされる。
「犬肉」とは書きづらいから、メニューに「ヤギ肉」と書くレストランもあるらしい。
大麻を隠語で「チョコ」や「草」と呼ぶような背徳感。

参鶏湯の「参」は高麗人参のことで、鶏の腹の中に高麗人参や鹿茸などの漢方を入れて、ジックリコトコト煮込んだサムゲタンはかなり身体にいい。
伏日の日に精力をつけることを考えれば、犬肉料理の代わりにはもってこいの一品。
時代が変わって伝統と現代的な価値感がぶつかった場合、こうやって形を変えて折り合いをつける方法もアリだ。
変わらないタメには、変わり続けないといけないってやつ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。