世界の中で日本人がほかとは違うことを表すフレーズとして、「日本の常識は世界の非常識」とよく言われる。
良くも悪くもそんな例は多々あって、たとえば仕事に対する価値観は外国人とは違う。
海外から見ると、日本人の仕事に対する“熱”は控えめに言ってクレージーだから、労働が死因になる「Karoshi」については英語版ウィキペディアにくわしい説明がある。
過労死とまではいかないけど、知人のタイ人も日本の会社で働いていて心を病みかけた。
新型コロナの感染拡大や熱中症の増加などで、いま日本の医療関係者はてんやわんやの大忙しだ。
そんなことで、「さいたま市消防局」がツイッターで訴えた内容が、切実すぎると反響を呼んでいる。
【救急隊に食事の時間を!】
救急出場が続くと、救急隊が消防署に帰れない時があります。そんな時は、出場できる体制を取りつつ、救急隊がコンビニ等で飲食物を購入し食事をする事がありますので、ご理解をお願い致します。https://t.co/bwXoKEvRJm#さいたま市消防局 #救急隊 pic.twitter.com/dIT1Q8ikuS— さいたま市消防局 (@Saitama_Shobo) July 26, 2022
具体的にはどの程度か分からないけど、救急隊がコンビニでお茶やおにぎりを買うことに、ご理解を示さない人たちがいるってことでしょコレは。
このお願いは少なくとも、そういう人間を想定しているはず。
これにネット民の声は?
・救急隊に限らず、市役所でも自衛隊でもコンビニ寄ればいいよ
・救急隊員がコンビニ寄ったらいかんのか?初めて知ったわ。なら昼時コンビニに居るサラリーマンは全員不届き者だな。
・食事するだけなのに「署員が仕事せずサボってる」と
チクる奴がいるんやろ
・一食くらい抜いたって死なないだろ
人の命預かる仕事してるのにあまえんなよ
・こういう通報するヤツは日本のインフラに打撃を与える工作員とかなんか?
いまの日本には、フツウの日本人ではもはや理解不能なヤツもいる。
3年前にJR新宿駅で、人が電車と“接触”する事故が起きて(まあ自殺です)、駅員さんが現場をブルーシートで覆って運行再開に必要な作業をしていたところ、シートの内側にスマホを差し込んで撮影する人が続出。
これをやめさせるために「お客さまのモラルに問います。」と駅員が異例のアナウンスをした。
“肉片”を自分のスマホに収めたいと思う人が、このときだけで何人もいたのだ。
消防署に戻る時間もない人たちの事情を無視し、その場に見えるモノだけを切り取って、消防署や役所に「しっかり働け!」と苦情を入れる人がいてもおかしくない。
そんなクレーマーには無視が最適解。
でも、そうも言っていられない人もいるから、こうしてツイッターでメッセージを発信して、予防線を張っているのだろう。
日本の会社で3年ほどサラリーマンをしていて、いまは帰国してタイの会社で働く友人がいる。
まえに久しぶりに彼と話をしていて、「日本に比べて、やっぱりタイっていいな~」と感じることはあるか尋ねると、自由でリラックスできることだという。
日本からタイに戻って生活を再開した彼にとって、日タイの最大の違いは解放感だった。
それじゃまるで、「都市の空気は自由にする」とかいう中世ドイツの農奴みたいじゃん。
彼がリーマンをしていた日本の会社は時間にとても厳しく、出社や会議では1分の遅れも許されないことが常識になっていて、実際みんなそれを守って行動していた。
仕事の期限も厳密だ。
それに間に合わないようなら残業はアタリマエ、それでもヤバいときは土日に出社して仕事を進める。
日本の会社は「仕事ファースト」でプライベートを犠牲にしても、自分をスケジュールに合わせないといけない。
そのことに彼はすごい息苦しさや生きづらさを感じていた。
タイの会社で働き出したら、そんな苦しみがすべて思い出になった。
朝は5分、10分遅れても誰も気にしないから、「すみませんでしたっ」と謝る必要もなく、フツウに席に座って仕事を始めることができる。
彼の住んでいるバンコクでは雨が降ると道路が大渋滞して、いつもより1時間も遅れることもあるから、時間について正確な見通しを立てることがむずかしい。
みんなそのへんの事情は知ってるから、何度も大幅な遅刻でもしない限り、特に何も言わない。
基本的にはその日にすべき仕事をしたら許される。
タイ人の国民性である「マイペンライ」(大丈夫、気にすんな)の精神が職場にもあって、そこが日本人の仕事観と違う。
日本では仕事をする態度にも厳しかった。
いまの会社では勤務中に同僚とおしゃべりを楽しむことができるし、スマホで友人とプライベートのメッセージのやりとりをしてもOK。
ゲームはさすがに怒られる。
決められた仕事をちゃんとできるのであれば、仕事をする姿勢はタイではほとんど問題視されない。
日本の会社だと怒られるようなことが、ここではスルーされる。
窒息しそうなほど苦しい状態から解放され、自然と心がリラックスして、自由を感じたときに「タイへ戻ってきたな~」とつくづく実感すると言う。
この自由の国なら、「救急隊に食事の時間を!」なんて訴えはイラナイ。
バンコクで見た観光バスのドライバー。
乗客を降ろしたあと、自分のバスとそこらの建物(柱?)でハンモックをつって、裸足になって携帯をいじりだした。
この光景は10年以上も前のものだけど、これぐらいの態度は今でも許されると思う。
日本にもいろいろヘンな人間がいるけれど、サービス業でここまで自由になれる人はいないだろう。
路上に各種ゴミが落ちているところも日本とは違う。
【144カ国中142位】昔から他人に冷たい、関わりたくない日本人
コメントを残す