いま日本人はベトナム人に対して、どんなイメージを持っているのか?
ヤフーに「ベトナム人」と入れると関連ワードに「犯罪多い」、「実習生」、「雇用」といった言葉が出てくる。
日本にいるベトナム人は40万人ほどとかなり多いから、それなりに犯罪も多くなる。
最近では加害者も被害者もベトナム人というケースもよくあるし、報道を見ると、どっちも「グエン」だったりする。
そんな問題を何とかするために政府も動き出した。
読売新聞(2022/07/29)
「目的と実態が乖離」技能実習制度見直しへ…失踪・暴行・いじめ相次ぎ
日本の会社で働きながら知識や技術を学び、母国へ帰ってからそれを活かして国の発展に貢献する。
働き手が不足している日本の建設業や食品製造業なども助かるから、技能実習制度は理論上はまさにウィン・ウィン。
でも実際にやってみたら、低賃金で重労働というブラック労働を強いられる、受け入れ先で暴行やいじめを受けたといったことから、失踪する実習生が後を絶たない。
2021年に消えた実習生は約7000人もいる。
こうした人のなかには、生活に困って犯罪に走る人もいる。
2017年の実習生の国籍を見ると、ベトナム人が約45%と圧倒的多くて、中国人28.3%、フィリピン人10.1%とつづく。
技能実習制度が日本人のベトナム人観に与える影響はかなり大きそうだ。
「途上国への技術移転」というリッパな目的で制度を始めてみたら、日本で姿を消す外国人実習生が続出するというまさかの現実が生まれてしまった。
日本で働く知人のベトナム人に話を聞くと、その大きな理由にあるのがトンデモナイ額の借金。
ベトナムには教育や研修を行って、日本に実習生を送り出す機関がある。
そのコンセプトはもちろんいい。
でも、「日本で働けばすぐに返せる」、「日本での仕事はすごく楽だ」とテキトーなことを言って、親や親族から借金をさせて、実習生から年収の数倍の手数料や保証金を奪う送り出し機関がある。
ベトナム人や事情にくわしい日本人の情報では、そんな「ブラック送り出し機関」は本当に多い。
そのせいで、借金を背負わされて来日するベトナム人は多く、負債を返さないで帰国することはできないから失踪や不法就労、最悪の場合、犯罪行為に手を染めることがある。
ベトナム人の話では、この送り出し機関はかなりの諸悪の根源だ。
だから今回、国際協力機構(JICA)が専用サイトを開設して、日本での就労を希望するベトナム人に必要な情報を提供し、現地の仲介業者を通さないシステムをつくるらしい。
日本で働き出したものの、失踪したり犯罪行為をするベトナム人はたしかに多い。
これは否定できないし、「日本人にも悪い人はいる」という開き直りの擁護も不可能だ。
同じ状況でも、そんな選択肢をとらないベトナム人もいるから、これは本人の責任だし、受け入れ先の日本企業の責任もある。
ただ、ベトナム人がベトナム人をだます送り出し機関の存在は、一般の日本人にはあまり知られていないと思う。
犯罪が起こると「ベトナム人が悪い!」、「いやいや、問題は受け入れ先にある!」といった声はネットでよく見るが、その背後にある大きな闇に気づいていない人は多い。
今回の見直しによって悪質な機関は淘汰されていくから、日本に来てからの失踪や不法労働、犯罪行為も時間はかかるだろうけど、減っていくだろう。
ベトナム人犯罪に関する報道が、日本人のベトナム人に対するイメージをかなり決定づけているから、ぜひそうなってほしい。
ヤフーに「ベトナム人」と入れて、「犯罪多い」の関連ワードが出てこなくなりますように。
「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
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