群馬と長野の境に日本を代表する活火山の浅間山がある。
そこが1783年(天明3年)の8月5日、アニメの始まりのような空前絶後の大噴火を起こしやがりました。
上の大迫力の絵(内閣府 防災担当)はこの天明大噴火を描いたもので、このとき日本人がすさまじい衝撃を受けたことが伝わってくる。
近くにあった村は火砕流や土石流の直撃を受けて570人のうち、477人が死亡し、村は壊滅状態となった。
「ナニかおかしい…」と異変に気づき、急いで高地にあった観音堂に避難できた人は何とか命を失わずに済む。
昭和になってからおこなわれた発掘調査で、この観音堂まであとホンの少しの場所から、若い女性がお年寄りの女性を背負うような遺体が発見された。
これは、娘が母親を背負って必死に石段を上ったけれど間に合わず、土石流に巻き込まれたものとみられる。
浅間山から立ちのぼる噴煙は目で確認できる範囲を超え(成層圏に突入するレベル)、関東には軽石や火山灰が降り注ぎ、さらに火砕流、大泥流、洪水などの波状攻撃を受けて、天明大噴火による死者は1600を超えた。
さらに火山灰が地表につもったり、大気にただよう噴出物のせいで日光が地表に届きにくくなり、農作物が育たない。
このことが、食べるものが皆無になって死体に手を伸ばしたという、天明の大飢饉を引き起こす原因になった。
天明浅間山噴火はオランダ商館長によってヨーロッパにも紹介された。
不幸は友だちを連れてくるというが、天明大噴火があった1783年には東北にある岩木山も噴火しやがった。
そればかりか、アイスランドではラキ火山の人類史に残る巨大噴火が発生。
地球のあちこちでドカンドカン噴火して、その塵(チリ)は北半球を覆って冷害をもたらし不作の原因となる。
この災害は、天明の大飢饉で多くの餓死者を出したことにもつながったはずだ。
同時にグリーンランドの氷河から、浅間山の火山灰が確認されたことからも分かるように、日本発の不幸はヨーロッパにも伝わっている。
ラキ火山の大噴火に天明大噴火が加勢してヨーロッパでも大凶作になり、それは1789年にフランス革命が起きる原因の一つになった。(天明大噴火・他国への影響)
火山の噴出物はパスポートなしで自由に移動できるし、不幸は外国人の友人も連れてやって来るから、間接的なことが重なって大厄災も発生する。
けっきょく地球は一つで、世界はつながっているからこうなった。
グリーンランドにまで届く大爆発
若い女性が年配の女性を背負った格好の遺体がある。
ソ連・日本・中国の人肉食。ホロドモール、天明の飢饉、文化大革命。
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