前にテレビ番組で、日本で通訳の仕事をしているアメリカ人がこう力説していた。
「温泉の英語訳として『Spa(スパ)』が使われることがよくあります。でも、それは間違いなんですね。スパと日本の温泉文化はまったく別ものなんです!」
そう言われても、そもそも温泉とスパの違いが分からないと、彼の熱い気持ちは理解できない。
そこで、今回はその違いについて書いていこう。
「スパ」という言葉の由来
まず、「スパ(Spa)」という言葉は、ベルギーのリエージュ州にある町の名前に由来する。
このスパという町は、ミネラル豊富な泉が湧き出ることでヨーロッパで知られていて、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーや、ロシア皇帝のピョートル1世が訪れたといわれている。
やがてこの「スパ」という街の名前が普通名詞として広がり、温泉施設をあらわす言葉となった。
アメリカ人が語る「スパ」の実態
スパと温泉の違いなら、日本に住んでいた外国人がよく知っているはずだ。
そう思って、日本に約3年住んでいて、大の温泉ファンというアメリカ人女性に聞いてみた。
結論からいうと、スパは日本の温泉と違って「なんでもアリ」で、総合的なエンタメ施設だ。
アメリカのスパはほかとの差別化を図り、さまざまな個性をアピールする。
だから、日本の温泉のように湯舟だけを提供するのではなく、温水プールや北欧風のサウナ、韓国のチムヂルバンなどがあるという。
それ以外にもスパでは、顔にマスクや泥をつけるフェイシャルトリートメント、体毛を剃る、ネイルを塗るといったサービスがある。
そのアメリカ人の経験からすると、スパでもっとも重視されているのはマッサージで、ここが日本の温泉文化とは大きく違う。
それにスパには内容ごとに複数のコースがあって、目的や予算に応じて客が最適なものを選ぶことができる。
ここも日本の温泉と違うところだ。
ドイツ人が感じた温泉の魅力
日本に住んでいた経験があって、同じく温泉好きのドイツ人男性にも聞いてみた。
まず彼は温泉について、単に湯船に入ることだけではなく、浴衣を着て夜風にあたったり、畳のある部屋でくつろいだりすることを含めて、「最高に気持のよい日本文化」と考えていた。
スパについて言うと、彼が経験したドイツのスパには湯船がなく、ジャグジーがあった。
ジャグジーは横や下から強力な気泡が吹き出る浴槽で、その気泡にはマッサージ効果があるから、筋肉がほぐれてリラックスできる。
ほかにもサウナと冷たいプールがセットになっていて、大量の汗を流したあとにプールに入ると最高に気持ちいい。
ドイツで「温泉」というと、彼の頭にはバーデン=バーデンという都市が思い浮かぶ。
ここは古代ローマ時代から温泉地として有名で、その時代の浴場跡も残っている。
この地名は「入浴」を意味するドイツ語の「Baden」に由来し、音楽家のブラームス、シューマン、シュトラウスもここを気に入っていた。
彼はネットで、インド風のアーユルヴェーダやヨガのあるスパを見たことがあるという。
温泉とスパの共通点と違い
温泉もスパも、疲れた心身の回復やリラックスするという目的は同じだ。
しかし、お湯(湯船)だけで勝負している温泉に対して、スパは基本なんでもありで「客が喜ぶもの全部乗せ」という感じだ。
日本ではバーデン=バーデンを「ドイツの温泉街」と紹介することがある。
でも、この動画を見ると、ここは高級スパリゾート地のようだ。
人類最古の公衆トイレ。古代ローマの温泉とプライバシーという考え

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