【スパと温泉の違い】日本に住んでた外国人が思ったコト

 

グーグルに「スパ 温泉」と入れると、関連ワードのトップに「違い」という言葉が出てくる。
なるほど。
いまの日本では、パスタと温泉の区別のつかない人がこんなに多いのか。
ということじゃなくて、まえにボクが行った日本の温泉地では、外国人向けに「スパ」と訳してあったし、たしかにこの違いは分かりにくい。

こういう時は語源をたどると、違いがハッキリする場合もある。
スパという言葉は、ラテン語の「SANITAS PERAQUA(水による治療)」からできたと紹介するサイトがあって、「ナルホドですね!」と思ったら、英語圏でそんな話はないから、これは日本で考えられた説だと別のサイトに書いてあった。
ネットではこんな根拠を置き去りにした、一見それっぽい“キャッチ―な説”が山ほどあって困る。
実際には、昔からは温泉地として有名なベルギーの都市・スパ(Spa)が語源というのが有力だ。だから、もともと「スパ」には温泉の意味もあったらしい。

 

スパと温泉の違いなら、日本に住んでいたことのある外国人がよく知っている。
日本には3年ほどいて、大の温泉ファンというアメリカ人に聞くと、あちらのスパは日本の温泉と違って「なんでもアリ」だ。
アメリカのスパは差別化を図っていろんな個性をアピールするから、日本の温泉のように画一的ではなくて、湯舟(プール?)、北欧風のサウナ、韓国のチムヂルバンなどがある。
日本の温泉では湯舟だけを提供しているけど、アメリカのスパではそれはサービスのひとつでしかない。
ほかにも、顔にマスクや泥をつけるフェイシャルトリートメント、体毛を剃る、ネイルを塗るといったサービスがある。
そのアメリカ人が思うに、スパでいちばん重視されているのはマッサージで、ここが日本の温泉とは大きく違う。
それにスパにはいろんな内容のコースがあって、客が目的や予算に応じてそれを選ぶところも温泉とは違うと言う。

 

日本に住んでいた経験があって、同じく温泉ラバーのドイツ人にも聞いてみた。
まず彼は温泉については、浴衣を着ることや畳のある部屋でくつろぐことを含めた、最高に気持の良い日本文化と考えている。
スパについて言うと、彼が行ったドイツのスパには温泉はなくてジャグジーがあった。
ジャグジーは横や下から強力な気泡が吹き出る浴槽で、その気泡にはマッサージ効果があるから、筋肉がほぐれてとにかく気持ちイイ。
ほかにもサウナと冷たいプールがセットになっていて、大量の汗を流したあとにプールに入るとこれまた極上の気分。

ドイツで「温泉」というと、彼の頭にはバーデン=バーデンという都市が思い浮かぶ。
ここは古代ローマ時代から温泉地として有名で、その時代の浴場跡も残っている。
この地名は「入浴」を意味するドイツ語の「Baden」に由来し、音楽家のブラームス、シューマン、シュトラウスもここを気に入っていた。
日本でいえば、後白河法皇、小野小町、豊臣秀吉が入浴した有馬温泉レベルか?
ドイツかほかのヨーロッパの国か分からないけど、彼はインド風のアーユルヴェーダやヨガのあるスパをネットで見たことがあると言う。

ということで、温泉もスパも心身の健康回復や増進、リラックスを目的とする施設だ。
でも大ざっぱに違いを言うと、お湯だけで勝負している温泉に対して、スパは基本なんでもアリで、”客がよろこぶモノ全部乗せ”という感じ。

 

日本ではバーデン=バーデンを「ドイツの温泉街」と紹介することもあるけど、この動画を見る限り、ここは高級スパリゾート地だ。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。