カリフォルニアの米国人に比べ、日本人がイイと思う理由

 

1542年のきょう9月28日、初めてヨーロッパ人が米カルフォルニアに上陸した。
その記念となる第一号はポルトガルの航海士で、名をフアン・ロドリゲス・カブリリョという。
女王カリフィアのいる空想上の天国にちなんで付けられたというカルフォルニアは、いまでは全米一デカい州になって面積でいえば日本とほぼ同じ。
経済力ならなんと世界第5位だ。
2017年のカリフォルニアの州内総生産額(GSP)は2兆7,470億ドルで、GDPで比較するとこんな感じ。

1位:アメリカ(19兆3,906億ドル)
2位:中国(12兆146億ドル)
3位:日本(4兆8,721億ドル)
4位:ドイツ(3兆6,848億ドル)

経済規模はイギリスやフランスより大きいし、トータルでカリフォルニア州の持つ力は世界中の多くの国の上をいく。
その最大都市ロサンゼルスには映画の聖地ハリウッドやディズニーランド、ユニバーサルスタジオなどなど世界的に有名な観光地が詰まっている。
アメリカ最大の日本人街リトルトーキョーがあるのもここだ。
夢と活気に満ちた「Los Angeles」という都市名はスペイン語の「天使たち」に由来する。

 

そんなロサンゼルス市のすぐ近くで、同じロサンゼルス郡にあるトーランス市に友人(30代・女性)が住んでいる。
グアム出身の彼女はむかし日本の高校で英語を教えていて、いまではトーランスで何の仕事か知らんけど、とにかく日々がんばって働いていると思う。
そんなアメリカ人とこのまえ話をした。
すると「世界中のおいしい食べ物はあるし、刺激的な人もたくさんいるし、ロスってマジ最高。」とマウントをとられるかと思ったら、「日本の生活のほうがずっと良かった。できればまた戻りたい。」と弱音を吐く。
なぜなのか?

 

彼女はグアムで生まれ育って浜松に5年ほどいて、フィリピンにちょっと住んでいた後、ロサンゼルスへ移動してもう何年か住んでいる。
これまでわりとのんびりした環境にいて、それに馴染んでいる彼女にとってロサンゼルスでの生活はとにかく忙しいし疲れる。
それに人も社会もすごく冷たくヤな感じと言うから、その理由を聞くとこんな話をする。

ここはアメリカ有数の大都市で仕事やチャンスにあふれているから、自分のように外部からたくさんの人移住してくるし、同じぐらいの人が出ていく。
だから人の移り変わりがすごく激しい。
ロサンゼルスで出会う人は野心や競争心が強くて、「この人と付き合ったら自分にどんなメリットがあるのか?」と利益を優先して人間関係を築こうとする。
できるだけ多くのことを得ようとするから、気を付けないと「ギブ&テイク」じゃなくて「テイク&テイク」になる。
それに「ギブ&テイク」の感覚も自分とは違う。
例えばグアムやフィリピンでは自分が車を出すと、友人はその時にガス代を払わなくても、それを借りとして覚えていて、次にその人が車を出してくれる。
でもロサンゼルスでは、誰かを車に乗せてガス代が20ドルかかったとしたら、相手はキッチリその代金だけを渡したり、気持ちとして50セント上乗せして「貸し借りゼロ」にしようとする。
ここの人たちはそれでいいのだろうけど、いつもその場で清算するようなやり方は自分には合わなくてとても寂しい。
だからここで本当の友人つくることは、すごくすごくむずかしい。

日本では車を運転したことがないから、ガス代のことは分からない。
でも日本人はちょっとした親切を「借り」として感じて、それを忘れずにいるから、ふとした時に返ってくる。
そういうことがすごく嬉しいけど、ロサンゼルスでそれは期待できない。
それに日本人は誠実で、予定があると事前に日時や場所などの細かい段取りを決めて、当日はそのとおり行動する。
ここで会う人は大ざっぱに「来週の土曜日にあなたの家へ行くね」と言って、当日来ないことが何度かあった。
もっと良いイベントを見つけると、簡単に約束をキャンセルするのがホントにイヤ。
日本人は言ったことは守るから、キャンセルはまず無かった。

ロサンゼルスには出会いの機会がたくさんあるから、簡単に人を“切って”、もっと良さそうな人と関係を結ぶ人がよくいる。
日本人についてあえて嫌なところを挙げるとしたら、シャイで自分の気持ちをはっきり言わないから、何を考えているか分からないこと。
それに相手がアメリカ人だと「無料英会話講師」にして、自分の人間性をあまり重視してくれないこと。
そういうことにはイラっとくることもあったけど、損得主義のロサンゼルスの人間よりはずっとマシ。
日本では気持ちの良い関係を築くことができた。
そういうドライな人は白人に多くて、フィリピン系や日系人だと感覚が近いから、そういう人たちと一緒にいることが多い。

 

アジア系アメリカ人がロサンゼルスに住んでいて、そんな不満を言っていたとジョージア州にいるアメリカ人に話して、どう思うか聞いてみた。
隣の家まで10mほど離れていて、家族以外の人を見かけない日もあるような、のんびりした田舎に住んでいるそのアメリカ人は彼女の立場に同情する。

「ロサンゼルスに住みたいと思う人は、強い目的のある野心的な人が多いと思う。ボストンやニューヨークもそうだけど、ロサンゼルスの人には冷たいイメージがある。いま自分のいるところでは人の移動がほとんどないし、ご近所付き合いもあって助け合いもあるから、大都市とは人も生活環境もまったく違う。」

日本の地方都市出身で「成り上がってやる!!」なんて野望は無く、のんびりした生活が好きな人がロスへ行っちゃうと、このアメリカ人と同じように寂しい思いをする予感。感じるのはそれこそ日本ロス。
ロサンゼルスが合ってる人が日本の地方都市に住むと、刺激が少なくて退屈で文句ばかり出て来るかも。
とにかく「住めば都」ということでも無い。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。