もしこれが本当なら問題だ。
東京新聞の社説(2022年10月3日)
職務質問と差別 外国人標的は許されぬ
東京弁護士会が日本に住む外国人を対象に行った調査したところ、過去5年間で警察官から職務質問を受けた人が約63%いて、このうち約77%の人は、自分が不審な行為をしていなかったと思っていた。
多くの外国人が肌の色などで職質の対象にされたと訴え、「外人に人権などない」と暴言を吐かれた人もいたという。
それで東京新聞は「事実なら差別だ。警察は調査結果を深刻に受けとめねばならない」とお怒りだ。
職質の法的根拠(警察官職務執行法二条)はこれだ。
「異常な挙動や周囲の事情から合理的に判断して、何らかの犯罪を犯したり、犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由」がある場合、警察官は任意で職務質問をしていいことになっている。
“任意”といっても実際には拒否すると、ますます怪しまれて厳しく追求されることが多いらしい。
これは相手を犯罪者と疑ってかかる行為で、時間もとられるからハッピー要素は何もない。
ただ、「事実なら差別だ」という仮定の話だから、日本の警察が外国人差別をしていると確定されたワケではない。
でも去年、警察が職質で外国人を差別的に扱ったという報告があったと、アメリカ大使館が日本にいるアメリカ人に警告してニュースになった。
時事通信(2021年12月07日)
職質で人種差別的扱いか 在日米大使館が警告
日本の警察官に排外主義や人種差別の感情があるのか?
それは知りようがないけれど、まわりの外国人の話を聞く限り、肌の色と職務質問には関係がある。
例えば浅黒い肌のタイ人は自転車に乗っていると、半年に1回ぐらいの割合で「ちょっと君、」と警察官に呼び止められて職質をされた。
でも、見た目は日本人と同じ肌の色をしている中国系タイ人は、同じ地域に3年ほど住んでいて警察官に声をかけられたことは1度も無い。
また、アラブ人の血があって褐色の肌をしているイギリス人も、自転車に乗っているだけでよく職質を受けたと怒っていた。一方、同じ町に住む白人のイギリス人にはそんな不愉快な経験は皆無。
知り合いの外国人の話を聞くと、肌の色と職務質問には因果関係があるように思う。
アラブ人の血のあるイギリス人はSNSにこんなメッセージを書き込んだ。
「This is the second time in one week I’ve been stopped by the Japanese police for no reason and asked random questions. I don’t care what anyone says. This is bullying and it’s not part of their job to harass foreign people.」
何の理由もなく日本の警察に呼び止められて、質問されたのは1週間でこれで2度目。これはいじめで、外国人に嫌がらせをするのは警察の仕事ではないーー。
このコメントを見て友人の欧米人は、確かに日本の警察は外国人への対応が違うと非難する。
しかしタイ人のほうは、警官の職務質問を差別的とは思っていなかった。
「どんなふうに答えれば早く終わるか、コツをつかんだから特に気にしません。タイの警察みたいにワイロを要求することが無いですし、日本の警察は信頼できます。食べ放題のレストランで、テーブルにスマホを置いたまま料理を取りに行くとか、日本は本当に治安が良いです。」
とホメたうえで、「不法滞在をしている外国人はたくさんいますし、犯罪をする人も多いですから職質も仕方ないですよ」とサラリと言う。
東京弁護士会や東京新聞が「それは外国人差別だ!」と怒りそうなことを外国人が口にする。
日本人では言えない事を平然と言ってのける。そこにシビれることも、あこがれるコトも無いけれどそんなことは以前にもあった。
浜松市内で自動車の窓ガラスが割られて、カーナビを盗まれる事件が連続して起きた時、
「それ、きっとブラジル人のしわざですよ。日本人はそんな荒っぽいやり方をしませんから。」
と知人のブラジル人が言うと、ほかのブラジル人も「そうそう」とうなづく。
その場にいた日本人は苦笑いをするしかない。
「異常な挙動や周囲の事情から合理的に判断して」といっても、結局は警察官の“カン”だろうし、同じ出来事でも、それをどう感じるかはその人の主観に大きく左右される。
アイマイ要素が多いから、日本の警察が外国人に対して差別的だと断定することはできない。
でも、昼間に自転車に乗っているだけで「何らかの犯罪を犯したり、犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由」と判断されるのはやっぱりおかしい。
そして日本に住む外国人の話を聞くと、その確率が肌の色で違うということは確かにあるような気がする。
ちなみに、ここ最近の日本は多くの外国人を受けれ入れているけど、治安は以前に比べて良くなっている。
読売新聞の記事(2022/02/03)
刑法犯は戦後最少でも6割が「治安が悪くなった」…警察庁調査、無差別殺傷が影響か
刑法犯は2002年の約285万件をピークに減少を続けていき、2021年は約57万件と5分の1になった。
でもアンケートをとると、「治安が悪くなった」と回答した人が6割を超える。
悪化しているのは実際の治安ではなくて「体感治安」だった。
アメリカの人種差別⑦NYは肌の色で警官に射殺される確率が違う
人種と民族の違い。黒人の日本人(民族)がいて「ふつう」の時代
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