今週の日曜日、10月2日は国連が定めた「国際非暴力デー」だった。
日本でいちばん有名なインド人といえば誰か?
サイババかもかなり知られているけど最近は話を聞かないから、ここはやっぱり歴史の授業でならう独立運動の指導者・ガンディーでしょ。
イギリスの植民地支配に対して、不当な命令にはダンコ拒否する不服従、そして武器を使わない非暴力の方法で対抗した。
ガンディーはインド製品の使用とイギリス製品の不買を訴えたり、イギリスによって禁止された塩を作るため、支持者と一緒に約400km離れた海岸まで移動する「塩の行進」を行なった。
イギリスの不当な法をあえて破るような、平和的な方法で戦ってインド独立を勝ちとる。
そんなガンディーの誕生日が国連によって「国際非暴力デー」とされた。
「塩の行進」のガンディー
ガンディーの思想や手段は人類にとっての理想だ。
国連でインドの外務大臣はガンディーについて、
「非暴力は人類に残された最大の力である。それは、人類が発明した最大の破壊兵器よりもさらに強力である」
と力強く訴えたのだが、でも実はインドは核保有国だったりする。
そのへんを知り合いのインド人にツッコんだところ、これは矛盾していないと言う。
非暴力・不服従の精神はもちろん素晴らしいものだけど、どんな相手にも通じるジョーカーではない。
イギリスの大学で学んで弁護士になったガンディーは、あの時代のイギリスの価値観や考え方をよく知っていて、「サティヤーグラハ」(非暴力・不服従)が有効だと分かっていたからそれを抵抗運動の手段に採用して、みごとに成功させた。
イギリスは多くのインド人を殺害し残酷な支配をしていた反面、先進的な民主主義の国でもあったから、サティヤーグラハがとてもうまくいった。
でも現実には、それが通じない人間もいる。
(いまならロシアの大統領とか?)
非暴力・不服従が効かない人相手には核兵器が有効。
もちろんそれは使うのではなく、核兵器を持っていて「いつでもオマエたちを破滅させることができるゾ」と威嚇し、相手に攻撃を止めさせることに意味がある。
そんな話をした知人は、ガンディーを称賛するしとても尊敬している。
でも彼は人間で完璧な存在ではないし、批判される部分もあると言う。
インドが核兵器の保有を決めた理由は、独立後に3度も戦争をしたパキスタンが隣にいるから。
インド人の安全にとって最大の危険はパキスタンの存在で、まあそれはパキスタン人もきっと同じ思いだ。
イギリス時代は同じ国だったのに、独立する時、ヒンドゥー教徒の多いインドとイスラム教徒の多いパキスタンに分裂して、それからは最悪の隣人になっている。
ガンディーは全員の立場を尊重して、丁寧に意見を聞きすぎたことで、みんな自由に言いたいことを言えるようになってしまい、かえってヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立を激しくさせた。
当時のガンディーにはカリスマがあったから、強いリーダーシップを発揮していればインド・パキスタンの分裂は防ぐことはできたと彼は考えている。
もちろんガンディーはこの宗教対立に深く注意していた。
塩の運動には宗教色が無いから、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が参加できるという意義があって、両者が協力して独立運動を戦えるようにガンディーは常に考えていた。が、パキスタンの分離独立を止めることはできなかった。
それは知人の言うとおり、ガンディーの「聞く力」がマイナスにはたらいて、かえって調整がむずかしくなったのかもしれない。
インドとパキスタンがいまでも同じ国にいて、これまでの防衛費をほかのことに使うことができたら、いまごろ世界屈指の経済大国になっていたかも。
それを思うとインド人の不満も分かるが、ガンディーでも越えられなかったハードルは人類には無理。
イン・パの分裂は運命や必然だったのだ。
このメガネはガンディーを表している。
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