【ハロウィーン】キリスト教に“ハイジャック”された異教の祭

 

一年のこの日にだけ、死んだ人がこの世に戻ってくるーー。
そんな文化はメキシコの「死者の日」や日本の「お盆」など世界のあちこちにあるもんだ。
キリスト教文化圏のそれがきょう10月31日のハロウィーン
ただキリスト教圏といっても、ハロウィーンは主にアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで行われているだけで、ヨーロッパ大陸ではそんなに盛り上がってはいない。
イギリス人やオーストラリア人に話を聞くと、「あれはアメリカの行事だね」といった感じでやや冷めた言い方をするし、ハロウィーンは国によって温度差がある。

日本語のサイトを見るとハロウィーンの説明がいろいろあって、どれが正解かよくワカラン。
欧米文化については英語版ウィキペディアの説明がわりと正確なので、ここではそれを参考にしよう。
で、そこを見てみると、まずハロウィーン元ネタ(原型)として指摘されているのが、古代ケルト人の新年のイベント「サウィン祭」だ。
秋の収穫が終わって冬の始まりとなるこの時期は、この世とあの世の境界が薄くなる。
これは精霊や妖精である「Aos Sí」(アオス・シー、読み方あってる?)にとっては、現世に入りやすくなることを意味して、アオス・シーがこのころ特に活発に活動した。

This meant the Aos Sí, the ‘spirits’ or ‘fairies’, could more easily come into this world and were particularly active

Halloween

 

人々は食べ物や飲み物、収穫物の一部を外に出しておいて「アオス・シー」に提供し、満足してあの世に返ってもらった。
それがいまでは「アオス・シー」が消えて、死者がこの世に戻ってくるハロウィーンになったという。
死者の霊は悪霊や妖精、悪魔などの姿をしているか、それか死者とともに悪魔や妖精などが地上に現れると考えられていた。
日本でいえばまさに「百鬼夜行」で、自分も仮装をすることでそうした異界のモノどもに気づかれずにすむ。
これが日本でコスプレ祭になった。
また死者が家を訪れることを考えて、食べ物や飲み物を用意しておき、それを食べて満足してお帰りいただく。
仮装した子供が家々をまわって、「Trick or treat(お菓子をくれないと、イタズラするでー)」と言うイベントの元ネタがこれだという説がある。
ほかにも「Souling」やクリスマスに起源があると言われていて、正確なところはダレにもわからない。
ハロウィーンの日に現世をうろつく悪霊が家へ入ってこないように、トップ画像の「ジャック・オー・ランタン」を置いておく。
だからあれは魔除けだ。

 

ということでハロウィーンは、本来はキリスト教とは関係ないのだ。
だから知人のイギリス人は、「ハロウィンはね、キリスト教が異教の祭をハイジャックした(乗っ取った)ものなんだ」と言う。
ヨーロッパの国の中でも、ポーランドはカトリックの影響が強いことで知られている。
ポーランド出身のローマ教皇・ヨハネ・パウロ2世は国民に広く尊敬されているし、ポーランド国民の誇りでもある。
そんな比較的キリスト教に真面目なポーランドでは、ハロウィーンを「異教の祭」、「反キリスト的イベント」と嫌うクリスチャンもいて、若い人たちがパーティーをするぐらいであまり盛り上がってはいない。
ポーランド人の話では、子供たちが家を訪れて「トリック オア トリート!」と言う行為を法律で禁止しようと訴えた野党議員もいたレベル。
間違いなく日本人のほうがハロウィーンに熱心だ。
ということで、ハロウィーンはキリスト教とは関係ない、異教の祭だったことは覚えておこう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。