明治5年10月31日、日本初のガス灯が横浜で点灯されたことから、本日は「ガスの記念日」になっている。
ちなみに、世界で初めてガス灯が登場したのは1812年のロンドンだ。
明治時代、銀座でガス灯を見た俳人の正岡子規は「まるで昼のよう」と感嘆したという。なかには、「まるで光が闇に打ち勝ったよう」とつぶやいた人がいたかもしれない。いや、いてほしい。
なぜなら今回の記事では、ヒンドゥー教徒にとって最も重要な祭りである「ディワリ」について説明するから。
ハロウィーンの時期になるとインド人がSNSに、「Wish you all the happy Diwali!」といったメッセージと一緒にこんな写真を洪水のように投稿する。
「光(灯明)の列」を意味するディワリ(Diwali)の祭りは、10月終わりから11月始めにあって、ことし2022年は10月24日に行われる。
ヒンドゥー教で重要な神話『ラーマーヤナ』には、シータ姫が魔王ラーヴァナにさらわれた後、英雄王子のラーマが遠征してラーヴァナを倒し、故郷のアヨーディヤに戻ってきたという話がある。
14年ぶりにラーマが帰国すると知って、アヨーディヤの都は歓喜に包まれ、お偉いさんがラーマを迎えるために、こんなインドらしい準備をしろと言う。
国民はひとりのこらず晴着をきるがよい。象には黄金いろの衣をきせ、馬にはくらをおき、真珠をちりばめた皮ごろもをきせるがよい。御者は場所にのって、いそいでグハ王の国へいき、そこでラーマをおむかえせよ。
町の辻つじにうつくしい竹の門をたてよ。国道の一キロごとに黄金いろのバナナをつみかさね、ラーマにしたがってくる猿たちに、思うぞんぶんたべさせなさい。はやくしないとまにあわぬぞ
「ラーマーヤナ 河田清史(レグルス文庫)」
ディワリはラーマがアヨーディヤに凱旋したことを記念し、その偉大な勝利を祝うためにある。
また、ディワリではヒンドゥー教の富の女神ラクシュミーも祀られる。
家をきれいに掃除した後、キャンドルなどで明かりをつけると、ラクシュミーがやってきて幸福や繫栄をもたらしてくれるという。
この祭の時期、インド人は家や街をキラッキラに飾るから、ディワリは「光のフェスティバル」とも呼ばれている。
そんなことから、ディワリの明かりは「闇に対する光の勝利、悪に対する善の勝利、無知に対する知識の勝利」を象徴しているという。
It symbolizes the spiritual “victory of light over darkness, good over evil, and knowledge over ignorance”.
女神ラクシュミー
仏教では「吉祥天」になる。
先日会ったインド人は、ディワリでは「闇に対する光の勝利」の意味が大事にされるから、明るければ明るいほど”お利益”があると言う。
ほかにもこの祭の時には、
・ラクシュミーを迎えるために、家の入り口に色のついた砂で「ランゴリ」というカラフルな模様を描く。
・悪霊や悪魔を追い払うために花火が打ち上げられる。
・家族や友人でプレゼント交換をする。
・食べ物をご近所におすそ分けする。
といったことが行われる。
数年前、ディワリが近づいたころ、浜松に住む知人のインド人から、「イオンで買い物をしたいから、私を連れて行ってほしい」とのメールがきた。
ディワリはヒンドゥー教の暦で新年にあたり、その時期に一時帰国する彼は、家族や親戚、友人のためにプレゼントを用意したいと言う。
それで車で一緒に市内のイオンへ行くと、彼が服や靴、おもちゃなどを買いまくって、5~6万ほどの爆買いをしたから驚いた。
ディワリで人びとはプレゼント交換をするから、インド人にとってこれぐらいの買い物は普通のことらしい。
めでたいディワリの祭りに買い物をすると、縁起が良いとされるから、自動車や家電製品がよく売れる。
インド人が一年で一番テンションが上がって、ハッピーになる時がディワリ。
日本でいうなら、「盆と正月が一緒に来たよう」という状態と思われる。
ただ、これはヒンドゥー教徒にとって重要な祭りで、イスラム教徒やキリスト教徒は基本的に関係ないから、「全インド人の祭り」ということではない。
ディワリなどのヒンドゥー教の祭りでは、よく家の入口にランゴリが描かれる。こうすることによって、ラクシュミーがその家に祝福を与え、家族は幸せになれるとか。
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