新幹線の飯テロ トルコ人が日本人以上に不快感を感じたわけ

 

11月11日は「11 11」と、まるで箸が並んでいるように見えることから「いただきますの日」。
さらに「(11)」とすると、豚の鼻になるということで「豚まんの日」でもある。
2つ合わせると「豚まんをいっただきまーす」となるのだけど、世界にはそれができない人もいるのだ。

知り合いのトルコ人(20代・女性)が大阪へ遊びに行って、久しぶりに友だちと会って楽しい週末をすごした後、静岡(現実)に戻るために新幹線に乗った。
その車内で”事件”は起きる。
席に座ってスマホゲームをしていると、いままで嗅いだことのないニオイが漂ってきて鼻をくすぐる。
前の席でダレかがナニかを食べていることはわかったが、「それは何ですか?」と聞くわけにもいかないから、美味しそうなニオイの正体は最後までナゾのまま。

後日、会社でそんな話すると、「それはきっと551蓬莱の豚まんだ」と日本人の同僚が”犯人”を特定する。
仕事なんかで大阪へ行くと、名物の豚まんとビールを買って乗り込んで、新幹線で至福のひと時を楽しむ日本人はけっこう多い。
でも、新幹線の中で「豚まん/たこ焼き+アルコール」の自己主張はとても強いから、無理やりそのニオイ嗅がされる人にとっては迷惑でしない。
それで、その行為を「豚まんテロ」と批判する人もいる。

そんな感じに同僚は、これは日本を二分する議論になっていると説明した後、「あなたはどう思った?」と聞いてくる。
その時はニオイの正体が気になっただけで、すぐにゲームに集中したから特に何も思わなかったけど、いま日本人と答え合わせをして、豚まんと知って衝撃を受けるトルコ人。
たこ焼きだったらよかったのに。

国民の99%がイスラム教徒と言われるトルコでは、イスラム教の影響がとにかくデカい。
だから自分はムスリム(イスラム教徒)ではなくて、無宗教と考えているこのトルコ人でも、ブタを禁忌とするイスラム教の考え方から、「豚肉は汚れている」というイメージが頭の中に定着してしまい、絶対に口にしたくないと思っている。
だからニオイは別にいいのだけど、その正体が”豚”と聞かされて「うわ…」と気分が悪くなった。

日本人にとって「汚(穢)れた肉」というのは思い浮かばないが、食文化の違う国で列車に乗ったら、隣の人がウ〇虫やゴキ〇リを使った食べ物を美味しそうに食べていて、そのニオイが嫌でも鼻や口から入ってくるようなものか?
気分としては、控えめに言って最悪だ。

衝撃の事実でも、彼女はイスラム教徒ではないから「きもっ」と思ってそれでオワリ。
でも、厳格なイスラム教徒にとって「豚まん+ビール」の組み合わせは、タブーを同時に2つも破る神をも怖れぬ行為だから、ニオイだけでも許せない人はいるだろうと彼女は話す。
たしかにそれは人によっては迷惑を超えて、本格的な”テロ行為”になるかもしれないが、ここは日本だからアキラメロン。

 

 

日本 「目次」

日本でも土葬を! イスラム教徒の願いを外国人はどう思う?

今はラマダン月、イスラーム教徒の断食生活とは?様子や目的。

イスラム教を知ろう! 「中東・イスラム」カテゴリーの目次 ① 

イスラム教を知ろう! 「中東・イスラム」カテゴリーの目次 ②

【日本の花火】外国人にとっての魅力・日本だけの雰囲気

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。