お金の価値がどんどんドンドン下がっていって、やがて「見ろ!札がゴミのようだ!」となる現象をインフレーションという。
その代表例が、日本のネットでよくネタにされる「ジンバブエ・ドル」。
アフリカにあるジンバブエでは、インフレーションがわけのわからんレベルで進行していって、2009年には「100兆ジンバブエドル」という子供銀行のような現実離れした紙幣が登場した。
3万円ほどだった100兆ジンバブエドルの価値は急激に下がり続けて、最終的には0.3円になったという。
そんなことで、ジンバブエは日本のネットでは「しくじり国家」なんて言われている。
ヨーロッパ経済を引っ張るドイツにも、歴史を見ればそんな時期があった。
伝説の100兆ジンバブエドル
いまフリマを見たら2万円で売ってた。
およそ900万人の死者を出した第一次世界大戦は1918年11月11日、ドイツが降伏したことで終わった。
*日本の「ポッキーの日」は世界的には第一次世界大戦の休戦記念日だ。
翌1919年に開かれたパリ講和会議で、ドイツは連合国から天文学的な賠償金を要求され、国民総所得の2.5倍(1913年)にあたる1320億金マルクを30年間にわたって払い続けることとなる。
大戦で最も大きな被害を受けたフランスはドイツに対して「鬼」のように厳しく、多額の賠償金で自国を復興させ、同時に安全保障の面からドイツの弱体化をねらった。
これがドイツをインフレ地獄へ導く。
この賠償金の支払いが原因でマルクの価値は墜落していき、1923年には「1ドル=4兆2105億マルク」という“ジンバブエ状態”になる。(第一次世界大戦の賠償)
そして「見ろ!札がゴミのようだ!」という空前絶後のインフレーションに突入し、国民生活は崩壊した。
一般庶民は貯蓄を失うなど深刻な状態となっていた。食料を手に入れられず、子供の栄養失調や餓死が続出した。マルクの購買力が半日で半分から3分の1になるため、賃金や給与は支給直後に物に替えなければならなかった。
1923年に発行された50兆マルク紙幣
こんなハイパーインフレから脱却して、どん底経済から立ち直るため、ドイツは1923年のきょう11月15日に臨時通貨レンテンマルクを発行した。
もうお金に価値が無いから、20世紀のドイツで物々交換が行われるようになる。
そんな混乱や生活苦から、政府に対する国民の怒りや不満は増大していき、1923年にミュンヘン一揆が起こると、その中心人物と見なされたヒトラーが”英雄視”されるようになる。
ミュンヘン一揆は結果的にナチスが勢力を増大し、政権を握るターニングポイントとなった。
連合国はやりすぎたのだ。
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