【ファンタの歴史】なんでナチス=ドイツで生まれたか?

 

あっつい夏に飲みたくなるのが冷え冷えファンタ。
その魅力はミツバチさえ夢中になるほどらしい。

 

 

将棋でいうなら飛車と角、サッカーなら翼君と岬君のようなペア、飲料界でそんな双璧をあげるとしたら満場一致でコーラとファンタだ。しらんけど。
このファンタという名前は「すばらしい、すてきな」を表す英語の「fantastic」が由来になっている。と思っていた人は認識を改めてほしい。
これはドイツでうまれた飲み物だ。

 

飲食物の名称はマジ大事。
名前と本体は不可分だから、ネーミングで失敗すると消費者は商品を手に取ってくれない。
カルピスも「Calpis」だと「Cow Piss(牛のおしっこ)」に聞こえてしまうから、アメリカでは「Calpico(カルピコ)」になった。

日本語と英語の違いで成功/失敗した商品:酒・パイ・カルピス

 

その点「ファンタ」なら、これを見たり聞いたりして、拒否感や不快感を感じる人はいないだろう。
これが世界的なヒット商品になった要因になっているはず。
ただこれが生まれた時代と国は、人類にとっては「最低最悪」と言えるほど不幸だった。

 

 

コカ・コーラ社がドイツで飲料水の生産を始めたのは1929年のこと。
はじめはイマイチだった売り上げもナチス政権下の時代、1930年代に大きく伸びた。
でも1939年にナチスがポーランド爆撃を行って第二次世界大戦がはじまると、アメリカとの関係が終了したことで、ドイツはアメリカ本国からコカ・コーラの原液を輸入することができなくなった。

コーラにかわる新しい炭酸飲料の開発に迫られたドイツ・コカ・コーラは、国内で安定してとれるリンゴと、チーズなど乳製品を作るときに生まれる乳清などをミックスした飲み物を考案した。

味は「果汁入りオレンジジュース : コーラ : レモンジュース を 0.375 : 0.375 : 0.25 位の割合で混合したようなもの」とされている。後年知られる「ファンタ」とは相当に異なったものであった。

ファンタ

 

「ファンタ」の商品名はドイツ語の「Fantasie(想像力)」に由来する。
これがドイツ国民に受けたことで、コーラを作れず経営不振におちいっていたドイツ・コカ・コーラは救われた。
ケガして出場できない翼君に代わって、岬君をピッチに出したら無双してくれたようなもの。

いまの世界中にあるファンタはドイツのこの飲み物を起源として、1950年代にイタリアのコカ・コーラ現地法人(か関連会社)の作った「ファンタ・オレンジ」が始まりだ。
ドイツ在住の日本人のブログではナチスやその戦争を連想させるとして、ファンタは戦後のドイツで製造中止になったと書いてある。

2015年にドイツでファンタ誕生75周年を記念して、当時のものを再現したファンタを売り出したとき、テレビCMで「古き良き時代の感覚」(the feeling of the Good Old Times)と言ってしまった。
ナチス時代にそれは不適切だと批判を受けて、広告はすぐに変更。
だから戦後のドイツで、ナチスを理由にファンタの製造がストップした可能性は十分ある。

とにかくミツバチも思わずキャップを開けてしまうファンタは、コーラの代わりとしてドイツで生まれた飲み物だった。

 

 

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8 件のコメント

  • > このファンタという名前は「すばらしい、すてきな」を表す英語の「fantastic」が由来になっている。と思っていた人は認識を改めてほしい。
    > これはドイツでうまれた飲み物だ。
    > 「ファンタ」の商品名はドイツ語の「Fantasie(想像力)」に由来する。

    確かにその通りなんですが、英語の「fantastic」もドイツ語の「Fantasie(=英語ではfantasy)」も、同じラテン語「fantasticus(空想、想像)」に由来する言葉だから、あながちその英語が間違いとも言い切れませんね。
    そういえばイタリア語の「ファンタジスタ(fantasista)」は、ファンタが大好きなサッカー選手、じゃなくって、まるで想像上の出来事のように素晴らしいプレーをするサッカー選手のことを言うのでしたね。

  • <<< ドイツで、ナチスを理由にファンタの製造がストップした可能性は十分ある。

    じゃあ、ドイツはジェット旅客機やロケット、ヘリコプターを使うな!
     ジェット機とロケット、ヘリコプターはナチス時代の発明なのだから。

  • > >ジェット機とロケット、ヘリコプターはナチス時代の発明なのだから。
    > これは要確認ですね。

    どの段階をもって「発明した」と定義するかにもよるのですが。ジェット機、ロケット、ヘリコプターのいずれも「単なる実験模型や試作機ではなく実用化された」のは、確かに、ナチス・ドイツでのことです。
    第二次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した米国は、それらの成果を(人材も含めて)ほとんど米国へ持ち帰りました。その一人、戦後にドイツから米国へ移住したロケット技術者フォン・ブラウンは、長きにわたって米国のロケット開発を指導し、米国の航空宇宙産業・弾道ミサイル技術を世界一の水準に押し上げたのです。

  • 内容が事実であることを示すなら、信頼できる根拠を提示することがなにより大事です。
    ファクトチェックが行われている辞書や全国紙の記述を引用するだけでいいと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。