「韓国海軍が旭日旗に向かって敬礼をするなんて屈辱的だ!」といった国内の猛反発を押し切って、韓国政府は日本で行われた国際観艦式に参加することをきめた。
きょう(11月17)を含めて最近ミサイルを連続で発射していて、核実験まで行うとの予想もある北朝鮮の脅威を考えれば、いま日米韓の防衛協力は欠かせない。
たしかにいまの日韓関係は戦後最悪だ。
とはいえ、国民の生命と財産を守ることは国家にとってもっとも大切な仕事だから、そのためには目をつぶらないといけないこともある。
そんなことから日米韓の首脳がカンボジアで会談を開き、これから3カ国が協力体制を築いて、北朝鮮のミサイル情報をリアルタイムで共有することに合意した。
中央日報(11/14)
韓日米、北ミサイル情報をリアルタイム共有…GSOMIAも上回った
中央日報によるとこれは、「2016年に締結した韓日GSOMIAの現実を上回る破格的な内容」だ。
政治問題では一切譲ることはできなくても、安全保障上の問題では一致協力していく。
旭日旗やレーダー照射をめぐる問題では韓国と激しく対立したけれど、日本はもうすべてを水に流したんだな。
…と思った瞬間が私にもありました。
翌日、産経新聞でこんな記事を発見。(11/15)
海上幕僚長「ボールは韓国側に」 レーダー照射問題
海上自衛隊のトップが記者会見で、2018年に韓国軍の駆逐艦が自衛隊機にレーダーを照射した問題についてこう発言した。
「ボールは韓国側にあると認識している。今後、韓国側から整理された回答があると認識している」
この問題と旭日旗をめぐる問題を取り上げて、「2つの問題が明確にされない限りは防衛交流を推進する状況ではない」と海上幕僚長は強調する。
緊急事態といえる北朝鮮の核・ミサイル問題については情報をリアルタイムで共有するが、日本としては、この問題で韓国がしっかりケジメをつけることは譲れないらしい。
つまり、日本に納得できる説明をしろと。
レーダー照射問題について韓国側は一度は認めても、後から「照射はなかった」などと説明をコロコロ変えて、日本中を呆れさせる。
いつもは割と韓国にやさしい朝日新聞も、このときは社説(日韓防衛摩擦 不毛な悪循環を避けよ)で厳しく批判した。(2018年12月27日)
「発生から時間が経つにつれて韓国側が説明を変えたのは不可解であり、混乱を深めた」
「一連の韓国軍の動きにもし、民族主義的な感情が影を落としているのなら看過できない。」
「民族主義的な感情」というのはいわゆる反日感情のことで、この時これはきっと影響していた。
文政権は日本に対する反発から、韓国側が非を認めて謝罪することはないと最初から決めていたはず。そんなことをしたら、国内で猛烈に叩かれてしまう。
途中から、「自衛隊機が危険な低空飛行をした」と言い出して日本に謝罪を要求するとか、主張や態度が変わったことも、日本には絶対に頭を下げないという結論があったからだろう。
さて、「ボールは韓国側にある」と待っていた日本に、さっそく返事がきたようだ。
聯合ニュース(11/17)
韓国国防部 海自哨戒機への「レーダー照射はなかった」
「わが軍のレーダー照射はなかった」と国防部は日本の主張を全否定した。
でも続けて「今後、韓日関係の推移を見極めながら国防当局間の協議を通じて議論が必要な事案」とも言う。
「2つの問題が明確にされない限りは防衛交流を推進する状況ではない」とする日本側に比べると、やや低姿勢の印象を受ける。
やっぱり、後ろめたさがあるのだろう。
説明責任を求める日本と、何とかそれを避けようとする韓国。
国の安全保障のためなら握手をすることはできても、根本的な対立構造は4年前から変わっていない。
友好的な演出をしつつも、心の中は不信感やイラ立ちでドロドロしている、いまの日韓関係をよく表している。
今回のやり取りを見る限り、このまま逃げ切りをねらう韓国と、それはさせない日本の状況に終わりがまったく見えてこない。
たぶん韓国側は、レーダー照射問題がここまで長引くとは思っていなかった。
観艦式に参加すれば、日本はもう言い出さないとかアマイ見通しをしていた予感。
いまになって、あの時の日本の怒りの深さを思い知ったのでは?
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