韓国人の考え方を理解する言葉:克日とは(日本を克服する)

 

まずはじめに最近のニュースから。

いま大阪が熱い!
らしい。

毎日新聞の記事「NYタイムズ .「今年行くべき世界の52カ所」に大阪選出」にそう書いてある。(2017年1月16日)

ニューヨーク・タイムズ紙の「今年行くべき世界の場所2017」に大阪が選ばれた。
イギリスの旅行ガイドも「今年行くべき世界10都市」に大阪をあげた。
イギリスの出版社「ラフガイド」も、パリやアトランタとともに大阪をチョイス。

さあ、今年は大阪だ。

 

 

釜山の日本総領事館前に、ど~んと慰安婦像が置かれたのはご存じのとおり。

そのことについて、韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官はこんなことを言っている。

「外交関係に関するウィーン条約によれば、他国の公館前に問題となる造形物を設置するのは望ましくない」

 

ぐうの音も出ない正論。
まったくそのとおり。
望ましくないから、日本政府は撤去してくれと要請しているんですけどねえ。

 

でも残念ながら、そんな当たり前が通じないのが韓国という国。

上のような発言をした長官に対し、韓国の野党は「日本の安倍首相の報道官か」と言う。
また、ある議員はこの長官が交わした日韓の慰安婦合意について、「売国行為」と批判しているという。

でも、そんな批判しているだけでいいのか?と怒っているのが朝鮮日報。
「韓国外交、「親日」「売国」批判だけでうまくやれるのか」という社説(2017/01/16)でこんなことを書いている。

韓国国内では「10億円で売った」というあまりにも短絡的な批判が幅を利かせている。

大局的判断が行われるたびに「親日」だとか「売国」などと感情的で単純な批判を続けてばかりいると国は前に進めない。また慰安婦少女像はどこにでも建てることはできるが、日本の公館前に設置することだけは考えなければならない。

「慰安婦少女像はどこにでも建てることはできる」といってもアメリカとかオーストラリアとか、外国で建てるのは本当にやめてほしい。

 

でもそこは韓国。
「他国の公館前に問題となる造形物を設置するのは望ましくない」と国際基準に合ったことを長官が言うと、韓国の議員は「この親日め!」「売国だ!」とレッテルを貼って攻撃する。
気に食わないことを言った相手には、心理的なダメージや屈辱を与えて黙らせようとする。
日本にもそんな風潮はあるけど、韓国には遠くおよばない。

「日本の公館前に設置することだけは考えなければならない」と、素晴らしいことを書いてくれた朝鮮日報の結論はこれだ。

日本との外交関係における根本問題は、何よりもまずわれわれの国力が日本に及ばないことにある。

日本を追い越すには国民の誰もが骨を削るような努力をしなければならないが、デモに参加して感情を表に出すだけでは何も変わらない。政治家も同じだ。

 

なんだ。

「日本大使館と領事館前の少女像を動かそう」じゃないのか。

「(韓国の)国力が日本に及ばないことにある」
「(韓国が)日本を追い越すには」

って、いつもの「克日」の考え方じゃん。

 

でも、忘れないでほしい。
日本は同盟国で敵は北朝鮮のはず。

 

国力・製品・国の品格・スポーツ・ノーベル賞などなど、いろいろなことで「日本に追いつけ・追い越せ」とがんばることを「克日」という。

韓国の新聞を見ていると、この「克日」という言葉が出てくる。

たとえば、中央日報にはこんな記事がある。

克日、結局は国力だ=韓国

これらの諸々の事態は大韓民国の存在が日本に大きく遅れていたから起きたことだ。韓国の過去の歴史の解決能力も最終的には韓国の国力・国の品格にかかっている。

 

これも、「国力・品格で日本に追いつけ追い越せ」という克日。
韓国人の場合、日本と比べると「なにくそ!」とエネルギーが出るんだろう。

克日もいいけどさ、今は慰安婦像を動かさないと日韓関係も動かないと思うよ。

 

韓国のおにぎり。
おいしかったけど、見た目が雑すぎる。
まだまだ克日はできなそう。

 

韓国で克日という考え方が生まれたのは、教科書事件がおきた1982年ごろといわれている。

「克日」というのは、「日本を克服する」という意味だが、当時、国民的な反日気運を収拾させるために考え出された。

日本非難、日本糾弾の民族的なエネルギーはデモなど単なる反日感情の噴出で終わるのではなく、自ら国力を蓄えて日本に勝てるような持続的な「日本克服」の努力につなげなければならないというわけだ。

これが「教科書事件」の最終段階で官民挙げて主張され、反日は収まった。

(韓国人の歴史観 黒田勝弘)

 

この「克日」という言葉や考え方は、どんなときに出てくるのか?
というと、国内で反日感情が高くなってきたとき。

克日という考え方で、反日感情の炎を消すという。

「克日」という言葉で代表されるように、韓国における反日収拾の論理はいつも「国力培養」である。

(韓国人の歴史観 黒田勝弘)

 

そういえば、さっきもこんな言葉が出てきていた。

「まずわれわれの国力が日本に及ばないことにある」
「日本を追い越すには国民の誰もが骨を削るような努力をしなければならない」
「韓国の過去の歴史の解決能力も最終的には韓国の国力・国の品格にかかっている」

これも反日感情を消すために「ならば、日本に追いつかないと。追い越さないと」という克日の考え方を使っている。

この韓国人の考え方はこれまで変わっていない。
これからも克日は変わらないと思う。

ことしも中央日報にこんな記事があった。(2019年08月15日)

文大統領の光復節慶祝辞「誰も揺るがすことができない国」…「克日」あったが「反日」なかった

韓国が日本統治から解放された8月15日の記念スピーチで、文大統領は慰安婦問題や徴用工問題で日本を直接非難するという「反日」はなかった。
代わりに、日本以上の国になろうという「克日」を国民に訴えた。

 

こちらの記事もいかがですか?

韓国 「目次」

日韓関係の歴史を知ろう①戦後最悪からの改善:竹島→慰安婦

釜山の慰安婦像②日本政府の怒り!韓国人の反応・気持ちは?

日韓関係③慰安婦像問題の責任は?韓国政府?国民?釜山市?

日韓の慰安婦問題⑤韓国とアメリカ(米韓関係)、朝鮮戦争の始まり。

慰安婦像問題⑥韓国にとってのアメリカとは(朝鮮戦争)?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。