「韓国起源説」の起源は、日本に対する文化的優越感の堅持

 

もしそれが事実なら、前半部分をくわしく知りたい。

中央日報(2022.11.29)

「韓半島の文化のDNAが伝わり、京都が最高の観光地に」

詩人の李さんが最近、京都についてのエッセイを出版した。まあとりあえずオメデトウ。
日本統治時代に短歌を学び、生涯で2000首を越える作品を詠んだ母親の言葉を聞いて、李さんはこう決意したという。

「母は私たちの先祖の詩が日本に渡って短歌になったことを知り、『1000年以上消えていた私たちの詩を私だけ書いているんだ』という使命感で短歌を守った」

 

短歌や茶道、桜などの日本文化の起源は朝鮮半島にあるといった説は、韓国メディアで途切れることなく報じられるが、その説には具体的な根拠が無いから日本では通用していない。
古代の日韓関係について韓国では、わが国が日本に進んだ文化を「教えてあげた」といった言い方をすることが多い。
韓国の歴史教科書を翻訳した日本人が「あとがき」で日本の読者に向かって、そんな見方についてこう説明する。

韓国語にも「教える」「伝える」という言い方は、親が子どもに、先生が生徒にといった目上の人が目下の人に使う表現である。こうした表現が日本に対する文化記述に使われているのは、韓国の歴史教育が古代史において文化的優越感を堅持することを目標にしているからである。

「わかりやすい韓国の歴史 (明石書店)」

 

ボクの見た韓国起源説もこんな認識を土台にして、後はその提唱者が想像をふくらませて完成させるというパターンばっか。
だから今回もこれと同じ構図だろうなあと思ったら、同じだった。

百済(ペクチェ)滅亡後、王族や貴族、当時の知識人が京都に移住して花咲かせた文化が千年以上伝統として定着し、命脈が受け継がれてきたではないか。私たちから消えていったものが京都にあり、京都が今日、世界最高の観光地になる土台になった。そのとてつもないDNAが私たちから始まった

 

百済人から助けを求められて、日本は7世紀に「白村江の戦い」で新羅・唐の連合軍と戦ったが敗北し、百済の残存勢力は日本へ逃げてきた。
そして日本が彼らを受け入れたということまでは、歴史の事実だ。

その亡命百済人が日本文化の形成に貢献したことは想像できるとしても、それは具体的にどれぐらいなのか?彼らは日本で何をしたのか?ということはほとんど分かっていない。
そもそも白村江の戦いは663年だから、なんで794年の平安遷都の前に、百済の人たちが京都へ移住したのか理由がサッパリ分からない。
この記事を見ても、「花咲かせた文化」の根拠は「~ではないか」という李さんの推測だ。
京都が世界最高の観光地になったという指摘には同意。
でも、その「土台になった」というのは言い過ぎで、「そのとてつもないDNAが私たちから始まった」というのはもはやファンタジーのレベル。
韓半島のDNAが伝わって京都を最高の観光地にしたという説は、断言できるが、日本では絶対に通用しない。
(でも、韓国起源説の京都バージョンは初めてかも。)

「韓国の歴史教育が古代史において文化的優越感を堅持することを目標にしている」ことを考えると、韓国ではこんな主張もきっと違和感なく受け入れられる。
日本文化の韓国起源説はこうした文化的優越感をくすぐる仕様になっているから、読者にとっては読後感がすごくいい。

日韓のより良い関係を築きたいという李さんはこうも言う。

「多くの日本人が韓国を好きになって許しを求め、膝をついたりもしている」

鳩山由紀夫さん以外に、そんな日本人がいるなんてビックリ。
でも、普通の日本人は許しを求めることなく、対等な立場で韓国人と交流して韓国の歌やドラマを楽しんでいる。全国紙がこういう情報を載せるから、韓国社会に誤解が広がってしまう。

百済の知識人が京都に移住したかどうは知らんけど、こういう起源説はすぐに日本へ伝わる。
すると、

・まーた始まったよ
・どこの時間軸の世界の話なんだろう
・盗用というより乗っ取り

といったネットの反応はマイルドなもので、実際には、ここでは書けないような言葉が飛び交っている。
この手の報道は絶え間なくネットに登場するから、ボディブローのように効いて”嫌韓”が蓄積されていく。
日韓のより良い関係を本当に築きたいと思うなら、まずは「文化的優越感の堅持」から距離を置くべき。
そして想像と事実はしっかり分けて主張したほうがいい。

 

 

日本 「目次」

韓国 「目次」

【韓国側の古代史】服もない原始的な日本に文明を伝えたった

韓国が伝えない話。平昌五輪の成功を支えた日本の職人たち。

韓国人「日本文化の起源は韓国!」←中国人の反応が面白い

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。