1065年のきょう12月28日に、ロンドンにあるウェストミンスター寺院が完成した。(12月28日)
ことし亡くなったエリザベス女王の国葬がここで行われたことからも分かるように、イギリスの王室や国民にとってウェストミンスター寺院は「特別オブ特別」なところ。
日本の学校でよく聞く「キーンコーン カーンコーン」の合図の元ネタはこの教会の鐘の音だから、日本人にとっても完全に無関係というわけでもない。
イギリスにあるその他大勢の教会と違って、ここが”別格”であることは公式ホームページ「History of Westminster Abbey」を見ればわかる。
「It has been the setting for every Coronation since 1066 and for numerous other royal occasions, including sixteen royal weddings.」
ウェストミンスター寺院は1066年以降、すべての戴冠式の舞台となったところで、16組のロイヤルウェディングを含む多くの王室行事が行われてきた。
エドワード5世とエドワード8世を除いて11世紀から現在まで、すべてのイギリス国王がこの教会にある「エドワード懺悔王の礼拝室」で王位に就くことを国民に宣言した。
戴冠式は即位の後にあるから、現在の国王であるチャールズ3世の戴冠式は来年5月に行われる。
このとき王の権威の象徴で、ダイヤモンド・ルビー・サファイアなどが施された「聖エドワード王冠」が聖職者(カンタベリー大主教)によってチャールズ3世の頭上にのせられるから、テレビ中継されるならこれは必見。
有象無象(失礼!)の教会と違って、ウェストミンスター寺院がスペシャルである理由について、公式HPにはこんな説明がある。
「Among the most significant ceremonies that occurred in the Abbey at this period was the coronation of William the Conqueror on Christmas day 1066」
このアビー(ウェストミンスター寺院)の初期に行われた最も重要な儀式は、1066年のクリスマスにあったウィリアム征服王の戴冠式である。
ウェストミンスター寺院は、ノルマンディー公ギヨーム2世によるイングランド征服(ノルマン・コンクエスト)の前、エドワード懺悔王によって建設が始められる。
「ノルマン・コンクエスト」より前の最後の王であるエドワード懺悔王は、先ほどの王冠の由来になった伝説的な王で後世の人々の理想とされた。
1066年のクリスマスの日、イングランド国王になったウィリアム1世が戴冠式でエドワード王の使っていた王冠を頭にのせる。
ウィリアム1世(=ノルマンディー公ギヨーム2世)はフンラス人だから、こうすることで王位を”奪った”のではなく、正当に継承したことを周囲に印象づけたかったのだと思われ。
「征服王」である彼がいまに続くイギリス王室の始まり(開祖)となる。
「エドワード懺悔王の礼拝室」で聖エドワード王冠を使って戴冠式を行うことで、イギリス国王はそれまでの伝統や歴史、正統性を受け継ぐことができるのだ。
その舞台になるのだから、ウェストミンスター寺院は「特別オブ特別」になるしかない。
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