インドネシア人の「日本の電車はスゴイ!でもイラナイ」のわけ

 

この年末年始、全国で大活躍したのが電車さん。
その歴史は1872(明治5)年10月14日、日本初の鉄道が新橋~横浜間で開業したことに始まって、いまではこの日は「鉄道の日」になっている。
初詣の歴史も似たようなものだ。
これが習慣化したのは明治時代のことだから、実はそれほど古い伝統文化でもないのだ。
鉄道会社が神社がコラボして、「遠くの神社へ初詣に行こう!」キャンペーンを仕掛けたことが成功して、いまでは年始の恒例行事になったという。(初詣
ちなみに鉄道開通から55年後の1927(昭和2)年、上野~浅草間に日本初の本格的な地下鉄(いまの東京メトロ銀座線)が開通した。(日本の地下鉄
当時は「東洋唯一の地下鉄道」と言われ、これはアジアで初めての地下鉄でもある。

 

さて最近、静岡県に住んでいるインドネシア人とバングラデシュ人と一緒に、ハイキングへ行ってきたのですよ。
日本について驚いたことや印象的なことを聞くと、「電車ですね。あれはすごいデス」と2人とも同じことを言う。
彼らは旅行が好きで、これまで東京、京都、北海道、広島、九州など日本各地へ行ったことがある。
日本へ来たころは2人とも、電車が1分単位で正確に到着・発車していることに「信じられない…」と驚がくした。
(異国ではなくて、異世界へ転生した気分だったかも。)
いまではそれも懐かしい思い出で、もうすっかり日本のアタリマエに慣れて何も思わなくなった。
それでも各地を旅行していて、どこでも時間厳守で電車や地下鉄が走っているのを知ると、改めて感心するという。

 

ボクがインドネシアへ行った15年ほど前、ある意味そこは異世界で、現地に住んでいる日本人からは、列車での到着時刻が2~3時間遅れることは珍しくないという話を聞く。
だから予定時刻を基準にして、「13時に到着か。なら13時半に宿にチェックインして、○○と✕✕の観光地へ行こうか」なんて計画を立てても、電車が16時に駅に着いたらすべて無意味になる。だから日本の感覚で、タイトな行動計画を立てるのは厳禁。
現地で知り合った日本人旅行者はこんな経験をした。
彼が電車に乗っていると、とつぜん乗客が「オオ~」と言って拍手を始めるから、何が起こったのか近くのインドネシア人に聞いたら、電車が時間通りに駅に着いたからみんな喜んでいるという。
いろいろとインドネシアらしいエピソードだ。

 

ハイキングに行ったインドネシア人にそんな話をすると、「それはもう昔の話ですね。いまでは技術が進化しましたから、時間に正確に走りますよ。それでも30分ぐらいは遅れますけど」と笑って言う。
日本と同じ正確さで電車が駅に着いたら、それこそビックリで、自分の時計が間違っているのではないかと不安になるらしい。
つづけて彼は「でも、分単位で正確に走らなくていいですよ。10分、15分の遅れなら”時間通り”で、何も問題ありません」と話す。
それぐらいなら友人と話をしたり、スマホをいじっていればいいし、10分間待たされただけで怒るほうがみっともない。
彼から見てインドネシア人の良いところは、いつも心に余裕があって大らかなで、他人が失敗して迷惑がかかったとしても、ほとんど怒らないようなところ。だから多少の誤差なんてイチイチ気にしない。
これについてはバングラデシュ人の意見も一致で、日本の電車の時間厳守は本当に感心するけど、自分にはそこまでの正確性は必要ないと言う。

自動で便座が開くといったトイレの機能もそうだけど、外国人からすると「スゴイ!でも、ウチの国ならここまではイラナイ」と思うことが日本にはたくさんある気がする。
といっても、日本には分単位で正確に電車を走らせる技術があって、それを前提に社会や人が動いているから、これはそのままでいい。
あとは多少遅れてもイライラしないで、時間に大らかなアジア人のメンタリティーにスイッチできるようになればきっと完璧だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。