4・13・666 はなぜ不吉? 日本と欧米の「忌み数」の特徴

 

アメリカ人とガストへ行ってきた。
タブレットからオーダーして、しばらくするとネコ型ロボットが「お待たせしましたにゃ~」とか言って料理を持ってきてくれる。
あの無駄のない動きと安定感、それと愛きょうにはいつも感心させられる。
そんなネコちゃんのサービスは完璧で、何の問題も無かったのだけど、この数字を見て思わず固まってしまった。

 

 

たまたまこの少し前に、「43」は「死産」に通じて縁起が悪いという話を聞いていたから、自然とそれを連想してしまい、ボクの中で一瞬、“お食事気分”が消滅する。
そんな様子を見て「どうしたんだ?」と聞くアメリカ人に説明すると、「最近も銀行でロボットを見たし、日本では機械化が進んでいるけど、日本人はそういう迷信を気にするよな」と笑う。
彼が日本の中学校で働いた時、遠足で使う観光バスの番号で「4」が無く、3号車の次が5号車になっていることに気づく。
先生に理由をたずねると、「4は死に通じて縁起が悪いからだろう」と聞いてビックリしたという。
(たしかに旅行で4号車はできれば避けたい…。)
そのアメリカ人にとっては「4(four)」はただの数字でしかなく、これが気になるかどうかは気分や文化の問題だ。
「34」「83」「93」を見て何とも思わなくても、「産死」「破産」「苦産」だとかなり縁起が悪い。
漢字文化圏だとこういうことがある。

 

アメリカにもこんな 忌み数があるか聞くと、「あるよー」と言って彼は「13」と「666」をあげた。
イエス=キリストが処刑された日が13日の金曜日だった、キリストを裏切ったユダが13番目の弟子だったからといった理由で、キリスト教の文化圏では数字の13や13日の金曜日を嫌がる人もいる。
ただ聖書にそんな記述は無いから、これは都市伝説のレベルでしかない。
でも、気分は人それぞれだから、4を気にする日本人がいるように、13を避ける外国人もいるのだ。

「666」については、新約聖書の『ヨハネの黙示録』にこんな根拠がある。

「賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。」

この獣の数字である「666」については、多くのキリスト教徒を処刑したローマ皇帝ネロを指すとか、いやいやこれはローマ教皇のことだとか諸説ある。

でもとにかく、現代の欧米の大衆文化において「666」は反キリスト、または悪魔を意味するシンボルとして広く認識されているのだ。

In modern popular culture, 666 has become one of the most widely recognized symbols for the Antichrist or, alternatively, the devil.

666

「The number of the beast is 666」

 

2023年の1月には13日の金曜日があった。
といっても神道と仏教の国・日本にそんなことは関係なく、「遺言の日」になっている。
「113」を「い(1)ごんの い(1)み(3) を考える」と読むことでこんな記念日が爆誕したらしい。
*遺言は法律用語では「いごん」と読む。
そして次の14日は「褒め言葉カードの日」だ。
「114」を「良いよ」と読むことで、日本褒め言葉カード協会(なにそれ?)がこんな記念日を制定したとか。
こんな感じに日本では、語呂合わせでできた記念日が山盛りある。

先ほどの、日本語ペラペラのアメリカ人が言うには、表意文字の漢字には同音異義語がたくさんあるから、「43」は縁起が悪いとか、2月2日は「夫婦の日」で結婚式には縁起が良いといった発想が出てくる。
英語にも「four と for」、「I と eye」、「hear と here」といった同音異義語はあるけれど、日本語に比べるとその数はとても少ないらしい。
(個人的には小麦粉の「フラワー(flour)」を、たまに「花(flower)」とカン違いして困る。)

欧米は全体的にキリスト教の強い影響を受けてきたから、そこに由来するものは全体へ波及していって共通の文化となる。
日本・中国・韓国の漢字文化圏だと「死」に通じる「4」は嫌われているが、仏教や儒教などの宗教に起源をもつ共通の忌み数は聞いたことがない。
同じように忌み数があっても、東アジアと欧米ではその背景が違う。
だから文化圏の一歩外へ出たら、その”縁起が悪い”は無効化されるから、「日本人はそういう迷信を気にするよな」となる。

 

 

日本 「目次」

ヨーロッパ 「目次」

【言霊信仰】外国人から見た、日本の迷信の特徴

明治~昭和の日本人の迷信「難病の薬として人肉が効く」

東南アジアを知りましょ! 「目次」 ①

 

4 件のコメント

  • 仏教が韓半島の精神世界を支配したのは1500年以上です。 しかし、現在、大韓民国はわずか500面強の儒教思想に支配されています。”空”思想が核心の仏教はどんなジンクスでも超絶ですが、今日の韓国人は”13日の金曜日”と死と漢字の発音が同じ「4」の字に気を使います。
    さて現在の若い世代は漢字を習っていないので「4」には無感覚な反面、映画やマスコミの影響を受けて「13日の金曜日」をかなり気にしています。

  • 日本に比べて、韓国にはキリスト教徒が多いですから、その影響もあるかもしれませんね。
    それにしても、漢字を知らない影響で「4」が気にならなくなる傾向は面白いです。
    やっぱり忌み数は気分の問題ですね。

  • 上記の私のコメントで”初演”は”超然”を書き間違えたものです。 直して考えてください。

    한글(ハングル)が創製された時期は西暦1443年で、韓国で実生活に使うようになった時期は20世紀初頭です。そのため、漢字を使わないと意味が伝わりにくいことが多いです。しかし、1990年代に入り、過度にハングル専用化が行われ、学校で漢字教育は事実上なくなったのと同じで、韓国社会の知的水準が全般的に低くなる傾向にあります。私は日本語がよく分かりませんが、日本語の新聞には漢字が多くて文章の意味がほとんど把握できて、はっきりと認識できます。
    韓国でもまた漢字教育を始めなければならないようです。

  • 直しておきました。

    >日本語の新聞には漢字が多くて文章の意味がほとんど把握できて、はっきりと認識できます。
    欧米人などほかの外国人は、絵本のように平仮名の多い本が読みやすいと言いますが、中国人や台湾人など漢字文化圏の人はこれと同じことを言います。
    韓国人が漢字の読み書きができれば筆談ができるから、日本人の韓国旅行はもっと楽しくなります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。