韓国発で日本人を「イラっ」とさせるもの。
その氷山の一角に、世界的に有名になった日本文化は朝鮮半島から伝わったという「韓国起源説」がある。
これまでに飛び出た起源説の範囲は広大で、茶道、空手、桜、剣道、日本刀、盆栽、万葉集、折り紙、法隆寺金堂壁画、味噌、しょう油…と、韓国に起源をもたない日本文化を探すほうがむずかしいほど。
もちろんこれは韓国側の主張で、日本では否定されている。
個人だけではなく、政治家やメディア、学者といった影響力のある人たちがこんなことを言い出すから、社会では広く信じられているらしい。
朝鮮日報・東亜日報・中央日報のような大手マスコミや、学者や有名作家が韓国起源説を公然と主張・報道したり、韓国起源説に基づいて映画が作られたりする。
これをどう思うか、日本に詳しい知人の韓国人に聞くと、「剣道やしょう油が韓国起源というのはバカげてます」とあきれ顔だ。
でも、「え?万葉集や法隆寺の壁画って、韓国人がつくったんじゃないですか?」と真顔で言うから驚いた。
先ほどの日本文化についても、何をどこまで信じているかは個人によって違うから、すべての韓国人が同じ見方をしているわけではない。
こんな韓国起源説については10年以上前から知っていて、すっかり慣れてしまったから、今さらビックリこともない。
なんて思っていたけど、これにはビックリ。
中央日報の記事(2022.11.29)
「韓半島の文化のDNAが伝わり、京都が最高の観光地に」
韓国のある詩人が京都を「世界最高の観光地」と言うのはいいとして、その始まりは日本へ渡った韓半島(朝鮮半島)の文化だというは、言い過ぎというより異世界ファンタジーだ。
その根拠をみると、「~ではないか」というこの人の想像なのだから。
くわしいことはこの記事を。
こんな感じに、「その日本文化の起源は韓国にあった」という説が飛び出すと、日本人からは「はあああ?ふっざけんな!」といった反発の声が一斉に上がる。
こんなやり取りはずっと前からあったし、もう「日韓あるある」の一つと思っていい。
ただこれはコレで「ホントか?」と思って調べると、日本人がその日本文化について、深く知る良い機会になることもあるから、必ずしも悪いことだけではない。
さてこんな日韓の風物詩は、第三者の外国人の目にどう映るのか?
きのうは「ホロコーストの日」だったから、今回はポーランド人の意見を紹介しよう。
第二次世界大戦中、600万人のユダヤ人を虐殺したナチスやヒトラーは、いまでは悪魔の化身として世界中で忌み嫌われている。
そのホロコーストの象徴的な建物が、アウシュヴィッツ(=ビルケナウ)強制収容所。
ヨーロッパの各地からユダヤ人がここへ連れてこられて、毒ガスで殺されたり、死ぬまで強制労働をさせられた。
第二次世界大戦の末期、連合国がナチスを駆逐しながらやってきて1945年1月27日、アウシュビッツ強制収容所を解放した。
これを記念して、国連がこの日が「ホロコーストの日(ホロコーストの犠牲者を想起する国際デー」に定めて、いまでは世界各地で解放の式典が開かれている。
剣道や盆栽、万葉集などの日本文化のルーツは朝鮮半島にあるーー。
悪意はないんだろうけど、韓国側からそんな起源説が出るたびに、「日本文化を奪おうとしている!」「海外に誤解される!」と日本人が怒って”韓国嫌い”が増えていく。
ポーランドは周辺国と陸続きだから、文化をめぐって同じような争いがあるのでは?
そう思って、以前日本に住んでいたポーランド人に意見を聞いてみた。
まずその親日ポーランド人(いまはアメリカ国民)は、もし盆栽の起源が韓国にあると聞けば「へ~そうなんだ」と思い、「いや違う。日本だ!」と聞けば「へ~そうなんだ」と思うだけだと言う。
つまり、生まれた場所には関心ないから、文化の起源なんてどーでもいい。
文化の起源をめぐって、近隣諸国と争いになったという話はポーランドでは聞いたことがなく、その話を聞いて、頭に浮かんだのはアウシュヴィッツ強制収容所だった。
ナチスはあれをポーランドに建てやがったせいで、「ポーランド人もホロコーストを行なった」、「それに加担した」と誤解する外国人がいるらしい。
ホロコーストやナチスの占領政策ではポーランドは被害者なのに、国内に収容所があることで、事実と正反対の歴史認識をする人がいる。
ポーランド人としてこれは見過ごせない。
ホロコーストはナチス=ドイツによるもので、その「起源」を主張する国なんてないから、日韓の「韓国起源説」とは根本的には違う。
でもそのポーランド人からすると、特定の日本文化を外国人が韓国の文化とカン違いして、「ふざけんな!」と日本人が怒る姿は、ホロコーストはポーランド人のしわざだと外国人に誤解されて、「ふざけんな!」と怒るポーランド人と重なる。
文化を”奪われる”ことの反対で、弾圧や虐殺をされたポーランドに戦争犯罪の汚名が着せられる。なんという理不尽。
ナチスの造ったホロコーストの象徴が国内にあるから、ユダヤ人虐殺の立案・実行とはまったく関係ないのに、ポーランドにはネガティブなイメージがつきまとってしまう。
でも、アウシュヴィッツ強制収容所を動かすことはできないし、もうどうしようもない。
「韓国起源説とそれに怒る日本人」について聞いたら、まさかホロコーストの話が出てくるとは思わなかった。
こんな反応はポーランド人だけだ。
文化をめぐる日韓の対立なんてもはやかわいい。
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