東南アジアと韓国(と日本)の人たちは、お互いをこう見てる

 

いま東南アジアの人たちは韓国を、韓国人は東南アジアをどう見ているのか?
韓国のASEAN(東南アジア諸国連合)文化院の発表によると、韓国への印象はわりと良いらしい。

ソウル聯合ニュース(2023/02/14)

ASEAN諸国の韓国への好感度 日本下回るも中国しのぐ

シンガポール、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの6カ国と、韓国国民を対象に行った調査の結果、好感度で81.3点の韓国は日本(85.1点)の少し下で、中国(61.1点)を大きく引き離した。
一方で、ASEAN諸国に対する韓国人の好感度は61.7点と低い。
東南アジアの人たちの視線に比べると、韓国の人たちはASEANにあまり関心がないらしい。

韓国について、東南アジアの人たちが魅力を感じる分野がこれ。

1位:韓国料理(37.0%)
2位:映画・ドラマ(36.3%)
3位:観光名所(33.1%)

ASEANにとって経済的に重要と思う国は、日本(7点満点中6.1点)、アメリカ(6.0点)韓国(5.8点)という結果が出た。
国際関係における重要度も、日本、アメリカ、韓国の順。

ASEAN諸国との関係で韓国人が考える課題は、「観光交流」(42.6%)や「企業投資誘致」(39.8%)が高く、ASEANでは「技術開発協力」(59・5%)や「観光交流」(51.8%)が高かった。
あと韓国では「移住労働者問題」に関心のある人も多い。

こんなアンケート結果を見て思い出した話がある。

 

10年ほど前、韓国企業で働いていた知人の韓国人が、ベトナムの事務所での仕事を命じられて訪越した。
20代だった彼がそこで驚いたのは、ベトナム人従業員の間で韓国人の評判が悪かったこと。
事務所にいる韓国人の上司は自分にエラそうな態度でアレコレ命令するが、お酒やご飯をよくおごってくれるし、相談にものってくれて面倒見はすごくいい。
相手が年下だと態度が大きくなることは、良くも悪くも人間関係における韓国の文化だから、国内の学校や会社でも常識的にある。

でも、上司はベトナム人社員に対しては態度が違う。
「あれをしろ」「~を持ってこい」と上から目線でモノを言って、「おまえは何をやっているんだ!」と人前で怒るから、ベトナム人のプライドを傷つける。
それでいて、食事をおごってじっくり話を聞くという良い面は見せない。
だから結果的にベトナム人には、韓国人の悪い部分だけが印象に残ってしまう。
20代の彼が同じ世代の従業員を食事に誘って話を聞くと、彼らはこんなことを言う。

「あなたのような若い人はいいんですけど、年上の韓国人はわたしたちを見下すからキライです。韓国企業で働くベトナム人はよくそう言いますよ。もちろん個人差はあって、すごく良い上司もいますけどね。」

こんな話を聞いた彼はショックを受けた。が、100%納得できるから反論できない。
その場にいたベトナム人従業員たちには、好きな物を好きなだけ食べさせて彼がすべて払って店を出た。

そのときのことをふり返って、知人はこう話す。

「正直に言うと、わたしもベトナムに対して経済的な利益重視で、彼らの文化や価値観をあまり知ろうと思わなかったんですね。韓国では東南アジアの国に対して、そんな見方があります。でも話を聞いて反省して、上司にも言ってみたんですよ。自分の評価に響くこともありますし、ベトナム人の部下への態度は少し変わりましたね。」

 

日本人も東南アジア諸国には経済優先、ハッキリ言えば「金儲けファースト」の見方をすることが多かった。
それが原因の1つになってインドネシアで激しい「反日デモ」が起きると、日本人は意識を一変させて、東南アジアの文化や価値観について知る努力をするようになった。
これが現在の「日本大好き」のイメージにつながっている。

「反日」暴動もあったけど、今は90%が日本好きのインドネシア

 

東南アジアの国から見たら、日本や韓国には「経済大国」のイメージがあるし、日韓からすると「移住労働者問題」がイメージは強い。
これが“上から目線”の態度にならないように注意しないと、陰口をたたかれたり、また「反日デモ」みたいなブーメランが返ってくるかもしれない。
日本でベトナム人犯罪が多いことは事実でも「だからベトナム人は~」とひとまとめにされると、善良な在日ベトナム人からは「オイマテ」となるのは当然。
一部を一般化するのは間違いだ。
このへんのことは日韓に共通した課題だと思う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。